2022年11月15日
11月12日(土)~13日(日) 北海道登山研究集会参加報告
北海道勤労者山岳連盟主催の第51回北海道登山研究集会が,札幌市で3年ぶりに開催された。コロナ禍によって,2020年は全面中止,2021年は講演会のみの開催となっていた。今年も相変わらずコロナの感染は続いており,研究集会開催前には道内の新規感染者が急増していた。このような状況だったので,函館からは会長一人の参加となった。集会の模様を報告する。
1日目(12日・土曜日):記念講演会「遭難の本と危機管理」(講師:「山と渓谷」元編集長 神長幹雄氏)
参加者84名,18時開演。日本の登山のあり方を「遭難」という観点から先ず歴史的におさえ,大衆化が進むにつれて遭難の実態も変わってきたこと,それとともに危機管理のあり方も変わらざるを得なくなったことを,ご自分が直接・間接に関わられた本の内容を中心に話された。
講演会は途中休憩もなく,一気に20時過ぎまで続いた。本の中では公開できなかった生々しい話や写真などもあった。登山家の実体験とはまた違った,編集者としての視点がなかなか新鮮だった。
2日目(13日・日曜日):分科会
事前の予定では4つの分科会が開催されるはずであったが,自然保護部門の第4分科会は演者のコロナ感染により中止となった。「日高山脈襟裳地域の国立公園化に向けた動き」というテーマだったので,少し覗いてみようかと思っていたので残念だった。私が参加したのは遭難対策部門の第2分科会。


第2分科会の参加者は41名。最初の写真にある通り,「事故事例から学ぶ」「全国遭難対策会議の報告」「連盟救助隊の活動報告」「北海道雪崩研究会からの報告」という大きく4つのテーマで進められた。順に簡単に報告する。
1.事故事例から学ぶ:
事例となったのは今年の論文報告集に掲載された3月21日「キロロリゾート」での事故だった。事故の詳細とそれから学ぶべきことが報告され,参加者からの質問も2・3あった。当日はこの事故に遭った本人も来場されており,話す予定ではなかったそうだが,期せずして語ることになり,リアルな話が聞けた。発表の後では本人からその後の体調のことなども聞くことができ,参考になった。
2.全国遭難対策会議の報告:
三つの県連からの死亡事故報告が紹介された。宮崎県連からは宮崎県大崩(おおくえ)山系・鉾岳頂上付近での心筋梗塞の事故(3人パーティ)。狭心症で医者から止められていたにもかかわらず,ニトログリセリンを持って山に向かい,他の二人はそれを知らなかった。佐賀県連からは八ヶ岳の積雪期遭難事故(3人パーティ)。ヤマップの夏のデータに基づいて冬に登山し,装備も不足して遭難した。兵庫県連からは伯耆大山での冬期遭難事故(2人パーティ)。亡くなった人はもともとシャリバテになり易かった上に,ナイフリッジから強風にあおられて滑落した。
3.連盟救助隊の活動報告:
今年度の訓練と新技術の導入が詳しく報告された。今年の秋の訓練は12日午前に実施され,函館から間に合うなら見学したかったのだが,時間的に相当遅れるため断念した。その日の訓練の模様も詳しく報告されたので内容は分かったが,できれば実際に見たかった。
4.北海道雪崩研究会からの報告:
前半は「雪崩講習会の紹介」,昼休みを挟んだ後半は「雪崩事故から学ぶ」について発表があった。「雪崩講習会の紹介」は講習会で行われるリスクマネージメントの一つとして「弱層テスト」の実際が詳しく紹介された。「雪崩事故から学ぶ」では主に道内での雪崩事故を参考に,どのような点が事故につながったかを分析した。当会も冬山に登るので参考になる点は多くあった。ただ大事なのは雪崩の起こりそうなところは歩かないことだ。
以上が第2分科会の報告だが,登山文化部門の第1分科会では「山がテーマの歌や音楽」(参加者15名)。

海外登山部門の第3分科会では,「コロナが明けたら海外登山に行こう」というテーマで,アジアの登山について紹介された(参加者26名)。
閉会の辞では,参加者が例年に比べて少なかったそうだが,「コロナの感染のことを考えると,主催者としてはコントロールできる範囲内でホッとした」という感想を漏らされていた。
1日目(12日・土曜日):記念講演会「遭難の本と危機管理」(講師:「山と渓谷」元編集長 神長幹雄氏)
参加者84名,18時開演。日本の登山のあり方を「遭難」という観点から先ず歴史的におさえ,大衆化が進むにつれて遭難の実態も変わってきたこと,それとともに危機管理のあり方も変わらざるを得なくなったことを,ご自分が直接・間接に関わられた本の内容を中心に話された。
講演会は途中休憩もなく,一気に20時過ぎまで続いた。本の中では公開できなかった生々しい話や写真などもあった。登山家の実体験とはまた違った,編集者としての視点がなかなか新鮮だった。
2日目(13日・日曜日):分科会
事前の予定では4つの分科会が開催されるはずであったが,自然保護部門の第4分科会は演者のコロナ感染により中止となった。「日高山脈襟裳地域の国立公園化に向けた動き」というテーマだったので,少し覗いてみようかと思っていたので残念だった。私が参加したのは遭難対策部門の第2分科会。

第2分科会の参加者は41名。最初の写真にある通り,「事故事例から学ぶ」「全国遭難対策会議の報告」「連盟救助隊の活動報告」「北海道雪崩研究会からの報告」という大きく4つのテーマで進められた。順に簡単に報告する。
1.事故事例から学ぶ:
事例となったのは今年の論文報告集に掲載された3月21日「キロロリゾート」での事故だった。事故の詳細とそれから学ぶべきことが報告され,参加者からの質問も2・3あった。当日はこの事故に遭った本人も来場されており,話す予定ではなかったそうだが,期せずして語ることになり,リアルな話が聞けた。発表の後では本人からその後の体調のことなども聞くことができ,参考になった。
2.全国遭難対策会議の報告:
三つの県連からの死亡事故報告が紹介された。宮崎県連からは宮崎県大崩(おおくえ)山系・鉾岳頂上付近での心筋梗塞の事故(3人パーティ)。狭心症で医者から止められていたにもかかわらず,ニトログリセリンを持って山に向かい,他の二人はそれを知らなかった。佐賀県連からは八ヶ岳の積雪期遭難事故(3人パーティ)。ヤマップの夏のデータに基づいて冬に登山し,装備も不足して遭難した。兵庫県連からは伯耆大山での冬期遭難事故(2人パーティ)。亡くなった人はもともとシャリバテになり易かった上に,ナイフリッジから強風にあおられて滑落した。
3.連盟救助隊の活動報告:
今年度の訓練と新技術の導入が詳しく報告された。今年の秋の訓練は12日午前に実施され,函館から間に合うなら見学したかったのだが,時間的に相当遅れるため断念した。その日の訓練の模様も詳しく報告されたので内容は分かったが,できれば実際に見たかった。
4.北海道雪崩研究会からの報告:
前半は「雪崩講習会の紹介」,昼休みを挟んだ後半は「雪崩事故から学ぶ」について発表があった。「雪崩講習会の紹介」は講習会で行われるリスクマネージメントの一つとして「弱層テスト」の実際が詳しく紹介された。「雪崩事故から学ぶ」では主に道内での雪崩事故を参考に,どのような点が事故につながったかを分析した。当会も冬山に登るので参考になる点は多くあった。ただ大事なのは雪崩の起こりそうなところは歩かないことだ。
以上が第2分科会の報告だが,登山文化部門の第1分科会では「山がテーマの歌や音楽」(参加者15名)。
海外登山部門の第3分科会では,「コロナが明けたら海外登山に行こう」というテーマで,アジアの登山について紹介された(参加者26名)。
閉会の辞では,参加者が例年に比べて少なかったそうだが,「コロナの感染のことを考えると,主催者としてはコントロールできる範囲内でホッとした」という感想を漏らされていた。