2023年07月29日
7月26日(水) 恵山・C300草原
恵山(617.6m)の南西山麓から高原コースを辿って標高300mの草原まで上がり、この時期の山野草を観察した。参加はフリーを含めて23名。
駐車場を9時35分に出発。コース入り口でサルナシ(猿梨、別名:コクワ)のアーチをくぐる。

ミズナラ(水楢)などの広葉樹林帯をゆっくりと登っていく。この付近に自生するヤマジノホトトギス(山路の杜鵑草)の花や蕾は、エゾシカにすっかり食べられてしまった。

孤高のイチヤクソウ(一薬草)。

キノコ類が目立つ時期になってきた。[左上]シロオニタケ、[右上]タマゴタケ、[左下]名前不明①、[右下]名前不明②。

C280付近で登山道の傾斜が緩くなり、やや開けた場所の日陰で休憩をとる。

C300付近まで上がると、最初のトウゲブキ(峠蕗)の群落が広がっていた。ただし、これはまだ「序の口」。

まだ蕾も付いているので、しばらくは花を楽しめそう。


温泉ポンプ中継所がある場所は、C315ほどの緩い峠になっている。

サラサドウダン(更紗灯台)なども生える広葉樹林を緩く下がっていくと、C300草原に近くなったところでトウゲブキの大群落が現れた。

大群落の西縁(樹林帯の際)を進んでいくメンバー。これだけの密度でも、普段より何となく花の数が少ないように感じられた。

群れないでスックと「独り立ち」している株も美しい。


一面黄色の野原の中で、ウツボグサ(靭草)の花の紫色が鮮やか。

さらに先に進むと、増水時は水溜まりになる窪地が点在する草原になる。立ち止まった先頭グループは右方向を眺めているが…。

目の前には、噴煙を上げる荒々しい山肌の恵山。前日(7月25日)、NHKの人気番組「にっぽん百低山」のロケが行われた。本放送は8月に入ってからとのこと。

トウゲブキを痛めないように囲んで、恒例の全体集合写真を撮る。えっ、どちらが綺麗かだって?

トウゲブキの花を訪れていた昆虫2態。何故かどちらも、オレンジ色と黒色の模様を持っていた。[左]ヨツスジハナカミキリか(?)、[右]ナミヒョウモン。

今回はここを終点として、草原で早めのランチタイムをとる。


下山途中で観察した山野草の花。シソ科のミソガワソウ(味噌川草)の名前は、木曽川の支流の味噌川に由来するという。

ラン科のエゾスズラン(蝦夷鈴蘭)。花が緑色なのでアオスズラン(青鈴蘭)とも。

高さ10~15cmの細長い花茎の先に開いた、薄い黄緑色で直径7~9mmほど(一円玉の直径の半分以下)の小さい花を何輪も見つけた。容姿はラン科で、唇弁に紅紫色の斑紋がある。葉まで確認したメンバーは少なかったが、Wtさんの判定によるとコイチヨウラン(小一葉蘭)らしいとのこと。名前のとおり、葉は地面近くに1枚だけ付ける。
初めて見たというメンバーが大多数だった。何しろ、何気なく歩いていると気にも留めないほどに小さい。

13時ちょうど、駐車場に戻って下山を終えた。道の駅「なとわ・えさん」に移動して休憩と買い物。海岸から恵山を眺める。吹き上がる煙は、「函館恵山地熱プロジェクト」で行っている地熱資源量調査による。
「なとわ」とは、津軽地方や道南地方の方言で、「あなたとわたし」の意味。

函館市内に戻る途中で日浦岬の海岸部切り通しに立ち寄り、ここでも野草を観察した。この付近は、火成岩による柱状節理が発達している。

たくさん観察できた野草の中から、三色(トリコロール)の花を紹介。先ず、青い花はシソ科のナミキソウ(浪来草)。名の由来は、波の打ち寄せる海岸に生えることによる(波来そう?)。花の形が波の押し寄せる様子にも似ている。

白い花は、ナデシコ科のエゾマンテマ(蝦夷マンテマ)。北海道の海岸から低山の岩場などに自生するが、心無い盗掘で数が減っているという。「マンテマ」の名前の由来は、渡来した同種の当初の名称「マンテマン」が転訛したものと考えられているそうな。

赤い花は、岩場に咲いたナデシコ科のエゾカワラナデシコ(蝦夷河原撫子)。

日浦岬で解散して、三々五々帰宅の途に就いた。最高気温が30℃前後と道南にしては暑い日和であったが、山中から海岸まで夏の山野草をのんびりと観察することができた。
途中で買い求めたソフトクリームの美味しかったこと(早く食べないと融けて垂れてくる…)。
昨年の同コースの様子はこちらをどうぞ。
駐車場を9時35分に出発。コース入り口でサルナシ(猿梨、別名:コクワ)のアーチをくぐる。

ミズナラ(水楢)などの広葉樹林帯をゆっくりと登っていく。この付近に自生するヤマジノホトトギス(山路の杜鵑草)の花や蕾は、エゾシカにすっかり食べられてしまった。

孤高のイチヤクソウ(一薬草)。

キノコ類が目立つ時期になってきた。[左上]シロオニタケ、[右上]タマゴタケ、[左下]名前不明①、[右下]名前不明②。

C280付近で登山道の傾斜が緩くなり、やや開けた場所の日陰で休憩をとる。

C300付近まで上がると、最初のトウゲブキ(峠蕗)の群落が広がっていた。ただし、これはまだ「序の口」。

まだ蕾も付いているので、しばらくは花を楽しめそう。


温泉ポンプ中継所がある場所は、C315ほどの緩い峠になっている。

サラサドウダン(更紗灯台)なども生える広葉樹林を緩く下がっていくと、C300草原に近くなったところでトウゲブキの大群落が現れた。

大群落の西縁(樹林帯の際)を進んでいくメンバー。これだけの密度でも、普段より何となく花の数が少ないように感じられた。

群れないでスックと「独り立ち」している株も美しい。


一面黄色の野原の中で、ウツボグサ(靭草)の花の紫色が鮮やか。

さらに先に進むと、増水時は水溜まりになる窪地が点在する草原になる。立ち止まった先頭グループは右方向を眺めているが…。

目の前には、噴煙を上げる荒々しい山肌の恵山。前日(7月25日)、NHKの人気番組「にっぽん百低山」のロケが行われた。本放送は8月に入ってからとのこと。

トウゲブキを痛めないように囲んで、恒例の全体集合写真を撮る。えっ、どちらが綺麗かだって?

トウゲブキの花を訪れていた昆虫2態。何故かどちらも、オレンジ色と黒色の模様を持っていた。[左]ヨツスジハナカミキリか(?)、[右]ナミヒョウモン。

今回はここを終点として、草原で早めのランチタイムをとる。


下山途中で観察した山野草の花。シソ科のミソガワソウ(味噌川草)の名前は、木曽川の支流の味噌川に由来するという。

ラン科のエゾスズラン(蝦夷鈴蘭)。花が緑色なのでアオスズラン(青鈴蘭)とも。

高さ10~15cmの細長い花茎の先に開いた、薄い黄緑色で直径7~9mmほど(一円玉の直径の半分以下)の小さい花を何輪も見つけた。容姿はラン科で、唇弁に紅紫色の斑紋がある。葉まで確認したメンバーは少なかったが、Wtさんの判定によるとコイチヨウラン(小一葉蘭)らしいとのこと。名前のとおり、葉は地面近くに1枚だけ付ける。
初めて見たというメンバーが大多数だった。何しろ、何気なく歩いていると気にも留めないほどに小さい。

13時ちょうど、駐車場に戻って下山を終えた。道の駅「なとわ・えさん」に移動して休憩と買い物。海岸から恵山を眺める。吹き上がる煙は、「函館恵山地熱プロジェクト」で行っている地熱資源量調査による。
「なとわ」とは、津軽地方や道南地方の方言で、「あなたとわたし」の意味。

函館市内に戻る途中で日浦岬の海岸部切り通しに立ち寄り、ここでも野草を観察した。この付近は、火成岩による柱状節理が発達している。

たくさん観察できた野草の中から、三色(トリコロール)の花を紹介。先ず、青い花はシソ科のナミキソウ(浪来草)。名の由来は、波の打ち寄せる海岸に生えることによる(波来そう?)。花の形が波の押し寄せる様子にも似ている。

白い花は、ナデシコ科のエゾマンテマ(蝦夷マンテマ)。北海道の海岸から低山の岩場などに自生するが、心無い盗掘で数が減っているという。「マンテマ」の名前の由来は、渡来した同種の当初の名称「マンテマン」が転訛したものと考えられているそうな。

赤い花は、岩場に咲いたナデシコ科のエゾカワラナデシコ(蝦夷河原撫子)。

日浦岬で解散して、三々五々帰宅の途に就いた。最高気温が30℃前後と道南にしては暑い日和であったが、山中から海岸まで夏の山野草をのんびりと観察することができた。
途中で買い求めたソフトクリームの美味しかったこと(早く食べないと融けて垂れてくる…)。
昨年の同コースの様子はこちらをどうぞ。
2023年07月24日
7月23日(日) 当別丸山
トラピスト修道院の裏山で、北斗市と木古内町の境界に立つ丸山(482.3m、通称「当別丸山」)を、通常の東尾根コースで訪れた。参加は16名。
北斗市三ツ石地区の修道院に向かう直線道路は「ローマへの道」と名付けられ、杉並木の間から正面に中世ゴシック風の建物が見える日本離れした風景。

修道院裏手の駐車場を9時47分に出発。牧草地を回り込んで、白樺やナナカマドなどの並木道を辿る。

大きなヤマユリ(山百合)の花が、強い芳香を漂わせていた。

「ルルドの洞窟」へのショートカット階段を上る。

「ルルドの洞窟」のモルタル壁面は改修工事中。

洞窟から山道に入る。展望台への分岐を過ぎた脇で、キノコとシダの葉が花のような造形を作っていた。

展望台経由の登山道との合流点付近にある杉の大木は、通称「パワーの木」。太い幹には、20年ほど前にクマゲラに開けられたと思われる人の顔以上の大きな穴が3箇所あったそうだが、今はほぼ自力修復していることに因む。

ブナ林内の木漏れ日が射す尾根道は、暑さを忘れさせてくれる。

尾根道で見かけた植生は、[左]イチヤクソウ(一薬草)の花、[右]シャクジョウソウ(錫杖草)はギンリョウソウ(銀竜草)と同じく葉緑素をもたない腐生植物で全体が淡い黄褐色、名の由来は姿が僧や修験者の持つ錫杖(金属環がついた杖)に似ていることから。

さらに、[左]ホウキタケの仲間、[右]アクシバ(灰汁柴)の花は深く4裂してクルクルっと外側に巻く。

尾根上部の傾斜が急な地点を過ぎたところで、転滑落の危険箇所を安全に通過するためのロープワークを実習した。全員が手を動かして「八の字結び(エイトノット)」や「マスト結び(クローブヒッチ、インクノット)」を作ってみた。「八の字結び」を一定間隔で作ったザイルを急な登山道に設置して、下山時に状況を確かめた。

尾根道から頂上までに見られた花は、[左上]アオチドリ(青千鳥)、[右上]クロバナヒキオコシ(黒花引起)、ヒキオコシの名の由来は弘法大師が病で倒れた旅人にこの草を煎じて飲ませたところ、その病人が起き上がったという薬効伝説から、[左下]ヨツバヒヨドリ(四葉鵯)、[右下]オカトラノオ(丘虎の尾)。

11時43分、頂上に到着。一等三角点(点名:当別丸山)が設けられ、すぐ近くに台上部に指標鋲、側面に「第七号天測点 地理調査所」の銘板が取り付けられたコンクリート製の四角柱が残されている。
天測点とは、三角測量で求められた位置座標を規正する天文測量を行うため一等三角点のすぐそばに設けられた基準点で、全国48箇所(北海道内8箇所)で1954年(昭和29年)から観測がなされたが、その後は機器の軽量化により天測点を設置することはなくなったという。
天測点から真北あるいは真南へ数km離れた場所には、測量機材を正確な方位に設置するため子午線標という目印の石柱がペアで設置されており、当別丸山の子午線標は真北に約6km離れた鏡山の西、標高142mあたりにあるらしい。

頂上でランチをとってから、恒例の全体集合写真に納まる。手前の山名標識は、当クラブの会員だった故・Jiさんの手による。

頂上で夏の風情を味わう。キアゲハ、夏の山、夏の空…。



12時15分、頂上を後にして、ブナ林の尾根を下がっていく。

途中の登山道脇で、ラン科のツチアケビ(土木通)の花を見つけた。葉緑素を持たず、菌類からすべての養分を得て生活する腐生植物。

展望台に立ち寄る。新しい標識に描かれた「ゆずりは(譲葉)」は、春には枝先に黄緑色の若葉が生え、その下に花が咲いて、古くなった葉が垂れ下がって落ちる。古くから子孫繁栄を象徴する縁起の良い木とされ、正月飾りに使われる。有毒なアルカロイドを含むため、エゾシカなどは食さない。

展望台から修道院の全景が俯瞰できる。

葛登支岬灯台(かっとしみさきとうだい)と、函館湾を挟んで函館山も見えた。この灯台は北海道で4番目に古く、道南では最初に建設されたそうで、初点灯は1885年(明治18年)12月15日とのこと。トラピスト修道院(正式名称は「厳律シトー会燈台の聖母トラピスト大修道院」)が創立されたのは11年後の1896年(明治29年)で、「燈台の聖母…」は明るい光を照らし続ける葛登支岬灯台のように世の中を明るくとの願いを込めて付けられたと言う。

下山で見られたほかの野草は、[左上]シラネアオイ(白根葵)の実、[左下]ジャコウソウ(麝香草)の花、[右]二度目登場のヤマユリ(山百合)の花。

「ルルドの洞窟」の前も好い展望が得られる。函館山(334m)と函館市中心部を望む。

ここからは作業道(車道)を下った。

道路脇で見かけた花々。[左上]ツルアジサイ(蔓紫陽花)の花の白いガク片は4枚、[右上]コウライテンナンショウ(高麗天南星)が実を付けてきた、[左下]オオウバユリ(大姥百合)の花もそろそろ終わり、実を付けたものも、[右下]キンミズヒキ(金水引)。

牧草地から当別丸山の頂上方面を仰ぐ。すっかり夏らしい空になっていた。

13時35分、駐車場に到着して下山を終了した。挨拶を終えて解散したが、すぐに修道院正面駐車場に停め、 直営店で購入した濃厚な味のソフトクリーム(スプーンの代わりにトラピストクッキーが付く)を味わってから帰宅の途に就いた。
登り始めは霧っぽい空だったが、次第にすっきりとした青空に変わり、函館では今夏3番目に高い29.3℃の最高気温を観測した。気温の割に爽やかな天候のもと、ゆったりと自然を味わうことができた。
登山道を相前後して、会友のImさんを始めとする北登会の皆さんが草刈り(鎌による手刈り)に当たっておられた。ここの登山道の保全にいつも尽力されていることに感謝です。
北斗市三ツ石地区の修道院に向かう直線道路は「ローマへの道」と名付けられ、杉並木の間から正面に中世ゴシック風の建物が見える日本離れした風景。

修道院裏手の駐車場を9時47分に出発。牧草地を回り込んで、白樺やナナカマドなどの並木道を辿る。

大きなヤマユリ(山百合)の花が、強い芳香を漂わせていた。

「ルルドの洞窟」へのショートカット階段を上る。

「ルルドの洞窟」のモルタル壁面は改修工事中。

洞窟から山道に入る。展望台への分岐を過ぎた脇で、キノコとシダの葉が花のような造形を作っていた。

展望台経由の登山道との合流点付近にある杉の大木は、通称「パワーの木」。太い幹には、20年ほど前にクマゲラに開けられたと思われる人の顔以上の大きな穴が3箇所あったそうだが、今はほぼ自力修復していることに因む。

ブナ林内の木漏れ日が射す尾根道は、暑さを忘れさせてくれる。

尾根道で見かけた植生は、[左]イチヤクソウ(一薬草)の花、[右]シャクジョウソウ(錫杖草)はギンリョウソウ(銀竜草)と同じく葉緑素をもたない腐生植物で全体が淡い黄褐色、名の由来は姿が僧や修験者の持つ錫杖(金属環がついた杖)に似ていることから。

さらに、[左]ホウキタケの仲間、[右]アクシバ(灰汁柴)の花は深く4裂してクルクルっと外側に巻く。

尾根上部の傾斜が急な地点を過ぎたところで、転滑落の危険箇所を安全に通過するためのロープワークを実習した。全員が手を動かして「八の字結び(エイトノット)」や「マスト結び(クローブヒッチ、インクノット)」を作ってみた。「八の字結び」を一定間隔で作ったザイルを急な登山道に設置して、下山時に状況を確かめた。

尾根道から頂上までに見られた花は、[左上]アオチドリ(青千鳥)、[右上]クロバナヒキオコシ(黒花引起)、ヒキオコシの名の由来は弘法大師が病で倒れた旅人にこの草を煎じて飲ませたところ、その病人が起き上がったという薬効伝説から、[左下]ヨツバヒヨドリ(四葉鵯)、[右下]オカトラノオ(丘虎の尾)。

11時43分、頂上に到着。一等三角点(点名:当別丸山)が設けられ、すぐ近くに台上部に指標鋲、側面に「第七号天測点 地理調査所」の銘板が取り付けられたコンクリート製の四角柱が残されている。
天測点とは、三角測量で求められた位置座標を規正する天文測量を行うため一等三角点のすぐそばに設けられた基準点で、全国48箇所(北海道内8箇所)で1954年(昭和29年)から観測がなされたが、その後は機器の軽量化により天測点を設置することはなくなったという。
天測点から真北あるいは真南へ数km離れた場所には、測量機材を正確な方位に設置するため子午線標という目印の石柱がペアで設置されており、当別丸山の子午線標は真北に約6km離れた鏡山の西、標高142mあたりにあるらしい。

頂上でランチをとってから、恒例の全体集合写真に納まる。手前の山名標識は、当クラブの会員だった故・Jiさんの手による。

頂上で夏の風情を味わう。キアゲハ、夏の山、夏の空…。



12時15分、頂上を後にして、ブナ林の尾根を下がっていく。

途中の登山道脇で、ラン科のツチアケビ(土木通)の花を見つけた。葉緑素を持たず、菌類からすべての養分を得て生活する腐生植物。

展望台に立ち寄る。新しい標識に描かれた「ゆずりは(譲葉)」は、春には枝先に黄緑色の若葉が生え、その下に花が咲いて、古くなった葉が垂れ下がって落ちる。古くから子孫繁栄を象徴する縁起の良い木とされ、正月飾りに使われる。有毒なアルカロイドを含むため、エゾシカなどは食さない。

展望台から修道院の全景が俯瞰できる。

葛登支岬灯台(かっとしみさきとうだい)と、函館湾を挟んで函館山も見えた。この灯台は北海道で4番目に古く、道南では最初に建設されたそうで、初点灯は1885年(明治18年)12月15日とのこと。トラピスト修道院(正式名称は「厳律シトー会燈台の聖母トラピスト大修道院」)が創立されたのは11年後の1896年(明治29年)で、「燈台の聖母…」は明るい光を照らし続ける葛登支岬灯台のように世の中を明るくとの願いを込めて付けられたと言う。

下山で見られたほかの野草は、[左上]シラネアオイ(白根葵)の実、[左下]ジャコウソウ(麝香草)の花、[右]二度目登場のヤマユリ(山百合)の花。

「ルルドの洞窟」の前も好い展望が得られる。函館山(334m)と函館市中心部を望む。

ここからは作業道(車道)を下った。

道路脇で見かけた花々。[左上]ツルアジサイ(蔓紫陽花)の花の白いガク片は4枚、[右上]コウライテンナンショウ(高麗天南星)が実を付けてきた、[左下]オオウバユリ(大姥百合)の花もそろそろ終わり、実を付けたものも、[右下]キンミズヒキ(金水引)。

牧草地から当別丸山の頂上方面を仰ぐ。すっかり夏らしい空になっていた。

13時35分、駐車場に到着して下山を終了した。挨拶を終えて解散したが、すぐに修道院正面駐車場に停め、 直営店で購入した濃厚な味のソフトクリーム(スプーンの代わりにトラピストクッキーが付く)を味わってから帰宅の途に就いた。
登り始めは霧っぽい空だったが、次第にすっきりとした青空に変わり、函館では今夏3番目に高い29.3℃の最高気温を観測した。気温の割に爽やかな天候のもと、ゆったりと自然を味わうことができた。
登山道を相前後して、会友のImさんを始めとする北登会の皆さんが草刈り(鎌による手刈り)に当たっておられた。ここの登山道の保全にいつも尽力されていることに感謝です。
2023年07月21日
7月19日(水) 汐首岬(山野草探訪)
当クラブの自然部企画で定番の汐首山(290.6m、三等三角点、点名:同じ)を含む岬一帯を訪れ、この時期の山野草をゆったりと観察した。参加は23名。
函館市汐首町の作業道ゲート前を9時36分に出発。ゲートの手前にエゾニワトコ(蝦夷接骨木)の赤い実がなっていた。右奥に函館山が霞んでいる。

ゲートに掲示された注意看板。岬一帯には野性馬(飼育を放棄された馬)が群れで棲んでいる。人参などを与える人がいるようだが、餌をくれると思って近づく馬から危害を加えられる恐れがある。

作業道を進んでいくと、色とりどりの山野草が次々と現れた。[左上]エゾカワラナデシコ(蝦夷河原撫子)、[右上]カセンソウ(歌仙草)は雅な名前だが牧野富太郎は「由来は不明」としている。手元の野草図鑑では、同じキク科のオグルマ(御車、小車、緒車)がいにしえの高貴な人が乗った牛車(ぎっしゃ)の車輪を意味するので、よく似たこの花は牛車に乗る歌仙(すぐれた歌人)を連想させるとあった、[左下]トリアシショウマ(鳥足升麻)、[右下]クサフジ(草藤)。

ナワシロイチゴ(苗代苺)の実が熟し始めていた。何粒かを頂く。

樹木の果実も成長していた。[左上]キンギンボク(金銀木)、別名ヒョウタンボク(瓢箪木)の実は有毒、[右上]サルトリイバラ(猿捕茨)は、これが繁茂したところへ追いやられると猿さえも脱出できず、人間に捕らえられてしまうという意味合い、[左下]ガマズミ(莢蒾)の実は、秋に赤く熟すと食用になる、[右下]マユミ(檀・真弓・檀弓)の青い実。

サルナシ(猿梨)、別名コクワの実は秋の代表的な恵み。

再び花を4態。[左上]ハマフウロ(浜風露)はエゾフウロ(蝦夷風露)の変種で蕚(がく)片に長い毛はほとんど見られず、花びら5枚の付け根がかなり重なっている、[右上]ノコギリソウ(鋸草)の花にはピンク色のものも、[左下]オカトラノオ(丘虎の尾)は5弁の小さな花の集合体、[右下]イヌトウバナ(犬塔花)もしくはクルマバナ(車花)。

蝶も2態。[左]イチモンジチョウ(一文字蝶)、[右]ナミヒョウモン(並豹紋)。

花弁が白いエゾカワラナデシコ(蝦夷河原撫子)を見つけた。

C210の三叉路分岐から、作業道をショートカットして草原を登る。

西方向に続く下海岸の先に、層雲(海霧)を被った函館山(334m)。

みたび、草原や作業道に咲いていた花4態。[左上]ウツボグサ(靫草)は、毛ばだった花穂を靫(うつぼ:矢を携帯する用具)に見立てた、[右上]キリンソウ(麒麟草)、[左下]ヒロハノカワラサイコ (広葉河原柴胡)、[右下]ウスベニツメクサ(薄紅爪草)は帰化植物。

センチコガネ(雪隠金亀子、雪隠黄金虫)の金属光沢がある翅を含む動物(キタキツネか)のフン。センチコガネはフンコロガシと同じく、動物のフンなどに集まる糞虫(ふんちゅう)の一種。

海霧が漂う津軽海峡を航行するコンテナ船。

層雲(海霧)が覆う恵山(617.6m)をズームで。

足もとの草原は一面、帰化植物のフランスギクで占領されていた。

野性馬の一団は、汐首山から東にのびる尾根で草を食んでいた。仔馬も元気そう。


三角点がある汐首山の頂上で全体集合写真を撮る。久しぶり(最長1年1か月ぶり)に会山行に参加した会員も。

北北東に6.7km離れた丸山龍神宮の山(400m)は、標高こそ低いが鋭角の三角形が目立つ。林業関係者のみならず、津軽海峡で操業する漁師さんからも崇められてきた。

お目当てのマツムシソウ(松虫草)が咲いていた。白い花弁のものも発見。


草原と作業道を辿って288峰(通称「203高地」)に向かい、三叉路下のC200コルでランチタイムとする。


ここまでの草原で見られた黄色い花4態。[左上]ハイキンポウゲ(這金鳳花)、[右上]ハイオトギリ(這弟切)、[左下]トウゲブキ(峠蕗)、[右下]エゾノカワラマツバ(蝦夷河原松葉)。

白い飛行機雲と黒っぽい飛行機雲(「穴あき飛行機雲」か)が現れた。飛行した高度(湿度)の違いに依ると思われる。

ホソバノキソチドリ(細葉木曽千鳥)はラン科、小さな薄紫色の花のヒメヤブラン(姫薮蘭)はキジカクシ科。

お目当てのひとつだったノハナショウブ(野花菖蒲)は、花が終わりかけていた。

これもお目当てのママコナ(飯子菜)。花の下唇に「ご飯粒」が二つあるので、「飯子菜」との説が一般的。

C200コルから下山を始める。見上げる空にはきれいな日暈と飛行機雲。

下山途中で見かけたシュロソウ(棕櫚草)の花。葉の付け根にシュロのような毛がある。

ヤマナシ(山梨)の実。果実を食用として栽培される和ナシの野生種だそうだが、日本国内では気候が温暖な本州中部地方以南と四国、九州に自生とされる。はて、これは?

13時37分、林道ゲートに到着。ランチタイムを含めて、ちょうど4時間の逍遥であった。人数確認と挨拶を済ませて、現地で解散した。
多くの山野草を目にすることができたが、ブログにすべて載せられなかったことをご容赦ください。
函館市汐首町の作業道ゲート前を9時36分に出発。ゲートの手前にエゾニワトコ(蝦夷接骨木)の赤い実がなっていた。右奥に函館山が霞んでいる。

ゲートに掲示された注意看板。岬一帯には野性馬(飼育を放棄された馬)が群れで棲んでいる。人参などを与える人がいるようだが、餌をくれると思って近づく馬から危害を加えられる恐れがある。

作業道を進んでいくと、色とりどりの山野草が次々と現れた。[左上]エゾカワラナデシコ(蝦夷河原撫子)、[右上]カセンソウ(歌仙草)は雅な名前だが牧野富太郎は「由来は不明」としている。手元の野草図鑑では、同じキク科のオグルマ(御車、小車、緒車)がいにしえの高貴な人が乗った牛車(ぎっしゃ)の車輪を意味するので、よく似たこの花は牛車に乗る歌仙(すぐれた歌人)を連想させるとあった、[左下]トリアシショウマ(鳥足升麻)、[右下]クサフジ(草藤)。

ナワシロイチゴ(苗代苺)の実が熟し始めていた。何粒かを頂く。

樹木の果実も成長していた。[左上]キンギンボク(金銀木)、別名ヒョウタンボク(瓢箪木)の実は有毒、[右上]サルトリイバラ(猿捕茨)は、これが繁茂したところへ追いやられると猿さえも脱出できず、人間に捕らえられてしまうという意味合い、[左下]ガマズミ(莢蒾)の実は、秋に赤く熟すと食用になる、[右下]マユミ(檀・真弓・檀弓)の青い実。

サルナシ(猿梨)、別名コクワの実は秋の代表的な恵み。

再び花を4態。[左上]ハマフウロ(浜風露)はエゾフウロ(蝦夷風露)の変種で蕚(がく)片に長い毛はほとんど見られず、花びら5枚の付け根がかなり重なっている、[右上]ノコギリソウ(鋸草)の花にはピンク色のものも、[左下]オカトラノオ(丘虎の尾)は5弁の小さな花の集合体、[右下]イヌトウバナ(犬塔花)もしくはクルマバナ(車花)。

蝶も2態。[左]イチモンジチョウ(一文字蝶)、[右]ナミヒョウモン(並豹紋)。

花弁が白いエゾカワラナデシコ(蝦夷河原撫子)を見つけた。

C210の三叉路分岐から、作業道をショートカットして草原を登る。

西方向に続く下海岸の先に、層雲(海霧)を被った函館山(334m)。

みたび、草原や作業道に咲いていた花4態。[左上]ウツボグサ(靫草)は、毛ばだった花穂を靫(うつぼ:矢を携帯する用具)に見立てた、[右上]キリンソウ(麒麟草)、[左下]ヒロハノカワラサイコ (広葉河原柴胡)、[右下]ウスベニツメクサ(薄紅爪草)は帰化植物。

センチコガネ(雪隠金亀子、雪隠黄金虫)の金属光沢がある翅を含む動物(キタキツネか)のフン。センチコガネはフンコロガシと同じく、動物のフンなどに集まる糞虫(ふんちゅう)の一種。

海霧が漂う津軽海峡を航行するコンテナ船。

層雲(海霧)が覆う恵山(617.6m)をズームで。

足もとの草原は一面、帰化植物のフランスギクで占領されていた。

野性馬の一団は、汐首山から東にのびる尾根で草を食んでいた。仔馬も元気そう。


三角点がある汐首山の頂上で全体集合写真を撮る。久しぶり(最長1年1か月ぶり)に会山行に参加した会員も。

北北東に6.7km離れた丸山龍神宮の山(400m)は、標高こそ低いが鋭角の三角形が目立つ。林業関係者のみならず、津軽海峡で操業する漁師さんからも崇められてきた。

お目当てのマツムシソウ(松虫草)が咲いていた。白い花弁のものも発見。


草原と作業道を辿って288峰(通称「203高地」)に向かい、三叉路下のC200コルでランチタイムとする。


ここまでの草原で見られた黄色い花4態。[左上]ハイキンポウゲ(這金鳳花)、[右上]ハイオトギリ(這弟切)、[左下]トウゲブキ(峠蕗)、[右下]エゾノカワラマツバ(蝦夷河原松葉)。

白い飛行機雲と黒っぽい飛行機雲(「穴あき飛行機雲」か)が現れた。飛行した高度(湿度)の違いに依ると思われる。

ホソバノキソチドリ(細葉木曽千鳥)はラン科、小さな薄紫色の花のヒメヤブラン(姫薮蘭)はキジカクシ科。

お目当てのひとつだったノハナショウブ(野花菖蒲)は、花が終わりかけていた。

これもお目当てのママコナ(飯子菜)。花の下唇に「ご飯粒」が二つあるので、「飯子菜」との説が一般的。

C200コルから下山を始める。見上げる空にはきれいな日暈と飛行機雲。

下山途中で見かけたシュロソウ(棕櫚草)の花。葉の付け根にシュロのような毛がある。

ヤマナシ(山梨)の実。果実を食用として栽培される和ナシの野生種だそうだが、日本国内では気候が温暖な本州中部地方以南と四国、九州に自生とされる。はて、これは?

13時37分、林道ゲートに到着。ランチタイムを含めて、ちょうど4時間の逍遥であった。人数確認と挨拶を済ませて、現地で解散した。
多くの山野草を目にすることができたが、ブログにすべて載せられなかったことをご容赦ください。
2023年07月18日
7月16日(日) 羊蹄山(京極コース)
二年ぶりの羊蹄山(最高地点:1898m、松浦武四郎の命名:後方[シリヘ]羊蹄[シ]山、アイヌ名:マッカリヌプリ)を、京極コースから登降した。参加は5名。
ニセコ町のロッジに4名が前泊し、1名は函館から深夜発のゆっくり運転でロッジに到着・合流。5時に、揃って京極コース登山口に向かう。ロッジの駐車場で体長12cmくらいのナメクジが見送ってくれた。体の模様や太さ、目の長さから見る限り、道南に定着している大型のヤマナメクジではなさそう。

前夜までまとまった雨が降ったが、朝には上がった。曇り空ではあるが、羊蹄山の全容が一時的に姿を現した。京極コースの駐車場を5時32分に出発。駐車場には我々の2台を含めて7台の車が停まっていた。

砂利敷の農道を少し歩いて、カラマツ植林地の登山道に入る。

すぐに迎えてくれたのはオオウバユリ(大姥百合)。

二合目までに見られた植生は、実を付けたサンカヨウ(山荷葉)。

爽やかな空色の蕚(がく)片を付けたエゾアジサイ(蝦夷紫陽花)。こんな色の空にならないものか…。

ヨツバヒヨドリ(四葉鵯)は、アサギマダラなどが盛んに蜜を吸う。

林道を二回横切った先の二合目で休憩。湿度が高く、風がないので蒸し暑い。水分と塩分をしっかりと補給する。

ミヤマアキノキリンソウ(深山秋麒麟草)の別名はコガネギク(黄金菊)。

四合目を発つ。この先、登山道の傾斜がますますきつくなってくる。

五合目の上で北東側の展望が開け、無意根山から喜茂別岳に至る山並が見えた。少し北寄りに余市岳(1488.0m)も。しかし、展望が得られたのはこれが最後で、あとは雲の中。

ゴゼンタチバナ(御前橘)。花をつけるゴゼンタチバナの葉は6枚だが、4枚葉は花をつけない。

京極コースには一合目から九合目まで、すべてに標識が付けられており、行動の目安になってありがたかった(「まだ○合目かと気落ちする」との声も…)。それぞれの標識に異なる「一文」が添えられている。秀逸なのは、六合目の「忍耐の一歩 努力の前進」。

八合目を過ぎると、ヨツバシオガマが見られた。

ハイオトギリ(這弟切)もあちこちに。

マルバシモツケ(丸葉下野)。シモツケは、今の栃木県(旧国名:下野[しもつけ])で発見されたことから。

九合目の少し下から、登山道は岩れき帯を登る。

岩とれきの環境で成長するイワブクロ(岩袋、別名:タルマイソウ[樽前草])。

メアカンキンバイ(雌阿寒金梅)は、道東の山の他に大雪山系や十勝連峰でも見られるそうだが、羊蹄山が分布の南限だという。

チシマフウロ(千島風露)。

火口壁の上の稜線に出て、一等三角点(1892.7m、点名:真狩岳[アイヌ名のマッカリヌプリに依る])を過ぎて最高地点に向かう。右下の火口(父釜)内は霧で見えない。

稜線で見つけたコケモモ(苔桃)。

11時35分、念願の頂上(最高地点)に到着。ほかの登山者に頼み、笑顔で集合写真に納まる。初登頂は2名。

最高地点直下、「御鉢巡り」道の少し上でランチタイムとする。脇に咲いていたウメバチソウ(梅鉢草)。

同じくウコンウツギ(鬱金空木)。

同じくイワギキョウ(岩桔梗)。
最高地点直下で休んでいる登山者の間をエゾシマリスが駆け回っていてびっくりした。動きが速いので写真に撮ることはできなかった。

12時20分、下山を開始。雨上がりの道は滑りやすいので、緊張感を保ちながら足場を慎重に選んでゆっくりと下りた。九合目付近の岩れき帯斜面で撮ったメアカンキンバイを、アンコールで掲載。

ヤマブキショウマ(山吹升痲)。

16時15分、登山口に無事到着して、下山を終了した。滑りやすい泥の道と格闘した様子が、登山靴とロングスパッツの汚れから見てとれるだろうか。

車1台は真狩村の温泉経由、もう1台は直行で、安全運転に徹して帰宅の途に就いた。
雨上がりで湿度が高く、八合目あたりまでは風が弱くて蒸し暑かった。標高差1473mのコースは、滑りやすいこともあってやや厳しい登降であった。展望には恵まれなかったものの、意外とたくさんの山野草に出会えて、充実した山行であった。
二年前、晴天時に喜茂別コースを登ったときの様子は、こちらをどうぞ。
ニセコ町のロッジに4名が前泊し、1名は函館から深夜発のゆっくり運転でロッジに到着・合流。5時に、揃って京極コース登山口に向かう。ロッジの駐車場で体長12cmくらいのナメクジが見送ってくれた。体の模様や太さ、目の長さから見る限り、道南に定着している大型のヤマナメクジではなさそう。

前夜までまとまった雨が降ったが、朝には上がった。曇り空ではあるが、羊蹄山の全容が一時的に姿を現した。京極コースの駐車場を5時32分に出発。駐車場には我々の2台を含めて7台の車が停まっていた。

砂利敷の農道を少し歩いて、カラマツ植林地の登山道に入る。

すぐに迎えてくれたのはオオウバユリ(大姥百合)。

二合目までに見られた植生は、実を付けたサンカヨウ(山荷葉)。

爽やかな空色の蕚(がく)片を付けたエゾアジサイ(蝦夷紫陽花)。こんな色の空にならないものか…。

ヨツバヒヨドリ(四葉鵯)は、アサギマダラなどが盛んに蜜を吸う。

林道を二回横切った先の二合目で休憩。湿度が高く、風がないので蒸し暑い。水分と塩分をしっかりと補給する。

ミヤマアキノキリンソウ(深山秋麒麟草)の別名はコガネギク(黄金菊)。

四合目を発つ。この先、登山道の傾斜がますますきつくなってくる。

五合目の上で北東側の展望が開け、無意根山から喜茂別岳に至る山並が見えた。少し北寄りに余市岳(1488.0m)も。しかし、展望が得られたのはこれが最後で、あとは雲の中。

ゴゼンタチバナ(御前橘)。花をつけるゴゼンタチバナの葉は6枚だが、4枚葉は花をつけない。

京極コースには一合目から九合目まで、すべてに標識が付けられており、行動の目安になってありがたかった(「まだ○合目かと気落ちする」との声も…)。それぞれの標識に異なる「一文」が添えられている。秀逸なのは、六合目の「忍耐の一歩 努力の前進」。

八合目を過ぎると、ヨツバシオガマが見られた。

ハイオトギリ(這弟切)もあちこちに。

マルバシモツケ(丸葉下野)。シモツケは、今の栃木県(旧国名:下野[しもつけ])で発見されたことから。

九合目の少し下から、登山道は岩れき帯を登る。

岩とれきの環境で成長するイワブクロ(岩袋、別名:タルマイソウ[樽前草])。

メアカンキンバイ(雌阿寒金梅)は、道東の山の他に大雪山系や十勝連峰でも見られるそうだが、羊蹄山が分布の南限だという。

チシマフウロ(千島風露)。

火口壁の上の稜線に出て、一等三角点(1892.7m、点名:真狩岳[アイヌ名のマッカリヌプリに依る])を過ぎて最高地点に向かう。右下の火口(父釜)内は霧で見えない。

稜線で見つけたコケモモ(苔桃)。

11時35分、念願の頂上(最高地点)に到着。ほかの登山者に頼み、笑顔で集合写真に納まる。初登頂は2名。

最高地点直下、「御鉢巡り」道の少し上でランチタイムとする。脇に咲いていたウメバチソウ(梅鉢草)。

同じくウコンウツギ(鬱金空木)。

同じくイワギキョウ(岩桔梗)。
最高地点直下で休んでいる登山者の間をエゾシマリスが駆け回っていてびっくりした。動きが速いので写真に撮ることはできなかった。

12時20分、下山を開始。雨上がりの道は滑りやすいので、緊張感を保ちながら足場を慎重に選んでゆっくりと下りた。九合目付近の岩れき帯斜面で撮ったメアカンキンバイを、アンコールで掲載。

ヤマブキショウマ(山吹升痲)。

16時15分、登山口に無事到着して、下山を終了した。滑りやすい泥の道と格闘した様子が、登山靴とロングスパッツの汚れから見てとれるだろうか。

車1台は真狩村の温泉経由、もう1台は直行で、安全運転に徹して帰宅の途に就いた。
雨上がりで湿度が高く、八合目あたりまでは風が弱くて蒸し暑かった。標高差1473mのコースは、滑りやすいこともあってやや厳しい登降であった。展望には恵まれなかったものの、意外とたくさんの山野草に出会えて、充実した山行であった。
二年前、晴天時に喜茂別コースを登ったときの様子は、こちらをどうぞ。
2023年07月17日
7月16日(日) 北斗毛無山
今回は、羊蹄山に参加しない会員のために企画。5月に橋整備と倒木処理、6月に笹刈りを終えた登山道をゆっくり登った。参加は9名。
天気予報は曇りであったが、登山口で少し雨模様。降りやむのを期待し、当面レインウェアを着て8時25分に出発。

前日の雨の影響で本流の水量は結構多くなっている。この吊り橋の付近で蝦夷岩魚(エゾイワナ)が釣れるが、今日は水量が多く魚影は確認できなかった。


蒸し暑いため、少し雨が弱まってきたことから、すぐレインウェアを脱ぐことにした。

檜沢の滝の下で、急登前の休憩をとる。
旧道との分岐からここまで、先頭が通行の邪魔になる草を鎌で手刈りしながら進んだ。


滝付近の急登開始。足下が濡れて滑りやすいので、ゆっくり確実に登る。


到着した大石の沼は水量十分。

7合目で休憩。

山頂に11時40分到着。花を観賞しながらゆっくり登っても、3時間15分で登頂できた。


山頂でランチタイム。ソーメンを持ってきた方がいた。とてもおいしそうに食べていた。ひとの食べているものが、何でもおいしそうに見えてしまう。
山頂付近は雲でまったく景色は見えなかったが、山頂から少し下がると木地挽山方向が見えた。

6月25日の刈り払いで道は快適に整備されているが、倒木の難所が何箇所もある。

倒木を、潜るべきか跨ぐべきか? 各自が最も楽な方法を瞬時に判断する。


北斗毛無山の花々。最初はベニバナイチヤクソウ(紅花一薬草)。

タケシマラン(竹縞蘭)の実。

サンカヨウ(山荷葉)の実。

エゾアジサイ(蝦夷紫陽花)。

珍しいオニノヤガラ(鬼の矢柄)。緑葉のない蘭で、地下の菌根(ショウガのような太い塊茎)がナラタケ菌と共生して養分を作る。「矢柄」は、弓矢のまっすぐな棒の部分を言う。

アリドオシラン(蟻通蘭)。

ハイオトギリ(這弟切)。

オオウバユリ(大姥百合)。

アカゲラの食痕を2枚。


キツリフネ(黄釣舟)。

イチヤクソウ(一薬草)。

12時15分に山頂から下山開始。14時20分に駐車場到着。2時間5分で下りることができた。
雨は出発時だけで、ほとんど濡れることは無かった。
山頂付近ではウシアブにつきまとわれ何度か刺されそうになったが、振り払って何とか回避できた。
雲が多く山々を遠望できなかったが、今回も沢山の花々を堪能することができた。
駐車場に戻り、怪我がなかったことを確認。挨拶の後解散して、帰宅の途に就いた。
天気予報は曇りであったが、登山口で少し雨模様。降りやむのを期待し、当面レインウェアを着て8時25分に出発。

前日の雨の影響で本流の水量は結構多くなっている。この吊り橋の付近で蝦夷岩魚(エゾイワナ)が釣れるが、今日は水量が多く魚影は確認できなかった。


蒸し暑いため、少し雨が弱まってきたことから、すぐレインウェアを脱ぐことにした。

檜沢の滝の下で、急登前の休憩をとる。
旧道との分岐からここまで、先頭が通行の邪魔になる草を鎌で手刈りしながら進んだ。


滝付近の急登開始。足下が濡れて滑りやすいので、ゆっくり確実に登る。


到着した大石の沼は水量十分。

7合目で休憩。

山頂に11時40分到着。花を観賞しながらゆっくり登っても、3時間15分で登頂できた。


山頂でランチタイム。ソーメンを持ってきた方がいた。とてもおいしそうに食べていた。ひとの食べているものが、何でもおいしそうに見えてしまう。

山頂付近は雲でまったく景色は見えなかったが、山頂から少し下がると木地挽山方向が見えた。

6月25日の刈り払いで道は快適に整備されているが、倒木の難所が何箇所もある。

倒木を、潜るべきか跨ぐべきか? 各自が最も楽な方法を瞬時に判断する。


北斗毛無山の花々。最初はベニバナイチヤクソウ(紅花一薬草)。

タケシマラン(竹縞蘭)の実。

サンカヨウ(山荷葉)の実。

エゾアジサイ(蝦夷紫陽花)。

珍しいオニノヤガラ(鬼の矢柄)。緑葉のない蘭で、地下の菌根(ショウガのような太い塊茎)がナラタケ菌と共生して養分を作る。「矢柄」は、弓矢のまっすぐな棒の部分を言う。

アリドオシラン(蟻通蘭)。

ハイオトギリ(這弟切)。

オオウバユリ(大姥百合)。

アカゲラの食痕を2枚。


キツリフネ(黄釣舟)。

イチヤクソウ(一薬草)。

12時15分に山頂から下山開始。14時20分に駐車場到着。2時間5分で下りることができた。
雨は出発時だけで、ほとんど濡れることは無かった。
山頂付近ではウシアブにつきまとわれ何度か刺されそうになったが、振り払って何とか回避できた。
雲が多く山々を遠望できなかったが、今回も沢山の花々を堪能することができた。
駐車場に戻り、怪我がなかったことを確認。挨拶の後解散して、帰宅の途に就いた。
2023年07月12日
7月9日(日) 大千軒岳(知内川コース)
大千軒岳(1071.9m)は渡島半島南西部の最高峰で、千軒平に立つ十字架が印象的な山。2年ぶりに知内川コースから頂上を目指した。

6:30 登山口で長ぐつ・沢靴をはき、登山靴は背負ってスタート準備。すでに3台の乗用車とマイクロバスで訪れた登山者が先行。

7:00 狭戸(せばど)は、今のところ気持ち良い森林浴。

途中登山道が崩れていて、迂回しながらアップダウンの繰り返し。

7:40 もうすぐ「広い河原」、水は少なめ。

まだ、渡渉あり~。

8:25 石崎越の沢で長ぐつをデポ。あっちこっちに先行者の長ぐつもあり。

8:55 千軒地域の金堀を管理するための松前藩直轄の番所跡。キリシタン殉教の地としても知られており、例年7月最終日曜にミサが行われている。

ロープ場が数か所。まるでアスレチックス!こんなところ、あったかしら?

9:50 やっと「休み台」に到着!暑くて休みたい?

さらに続く急登。徐々に頂上稜線がちらほら見えてくる。「ガンバレ岩」が見えてきたらあと少し。

そろそろ見えてきた頂上方面~。イブキトラノオだ~。

11:05 「千軒平」に到着。一面に広がるエゾカンゾウのお花畑。休憩しているのは先行者グループ。

さあ、あと一息で頂上へ。

11:45 頂上に到着! 直下の千軒清水で水をいただき、下山。

途中の花々。ぐるりと、左上→ツルアリドオシ、右上→ミヤマホツツジ、右下→タカネナデシコ、左下→エゾカンゾウ。

ぐるりと、左上→イブキトラノオ、右上→エゾシオガマ、右下→終わりかけのエゾノハクサンイチゲ(?)、左下→ミヤマキヌタソウ。

もう、だれもいない・・・。ゆっくりしたいけれど、熊さんの領域です、サッサと帰りましょう。また来られるかな~。
16:30 登山口着。
アップダウンあり、急登あり、渡渉ありと、ワイルドに楽しませていただきました。暑さにヘロヘロになりながらも、千軒平のお花畑に癒された山行でした。大変さを忘れて、また登りたくなる山です。
6:30 登山口で長ぐつ・沢靴をはき、登山靴は背負ってスタート準備。すでに3台の乗用車とマイクロバスで訪れた登山者が先行。

7:00 狭戸(せばど)は、今のところ気持ち良い森林浴。

途中登山道が崩れていて、迂回しながらアップダウンの繰り返し。

7:40 もうすぐ「広い河原」、水は少なめ。

まだ、渡渉あり~。

8:25 石崎越の沢で長ぐつをデポ。あっちこっちに先行者の長ぐつもあり。

8:55 千軒地域の金堀を管理するための松前藩直轄の番所跡。キリシタン殉教の地としても知られており、例年7月最終日曜にミサが行われている。

ロープ場が数か所。まるでアスレチックス!こんなところ、あったかしら?

9:50 やっと「休み台」に到着!暑くて休みたい?

さらに続く急登。徐々に頂上稜線がちらほら見えてくる。「ガンバレ岩」が見えてきたらあと少し。

そろそろ見えてきた頂上方面~。イブキトラノオだ~。

11:05 「千軒平」に到着。一面に広がるエゾカンゾウのお花畑。休憩しているのは先行者グループ。

さあ、あと一息で頂上へ。

11:45 頂上に到着! 直下の千軒清水で水をいただき、下山。

途中の花々。ぐるりと、左上→ツルアリドオシ、右上→ミヤマホツツジ、右下→タカネナデシコ、左下→エゾカンゾウ。

ぐるりと、左上→イブキトラノオ、右上→エゾシオガマ、右下→終わりかけのエゾノハクサンイチゲ(?)、左下→ミヤマキヌタソウ。

もう、だれもいない・・・。ゆっくりしたいけれど、熊さんの領域です、サッサと帰りましょう。また来られるかな~。
16:30 登山口着。
アップダウンあり、急登あり、渡渉ありと、ワイルドに楽しませていただきました。暑さにヘロヘロになりながらも、千軒平のお花畑に癒された山行でした。大変さを忘れて、また登りたくなる山です。
2023年07月04日
7月2日(日) 目国内岳~パンケ沼~岩内岳縦走
ニセコ連峰西部の目国内岳(1220m)から、パンケ沼(パンケメクンナイ湿原、952m)を経て岩内岳(1085m)までを縦走した。このコースは昨年7月10日にも計画したが、雨天予想のため中止した経緯がある。参加は4名。
新見峠(標高点747)付近の駐車場に車を停め、8時5分に登山口を出発。樹林と笹で展望のない山道を30分弱登ったところで振り返ると、右にシャクナゲ岳(1074m)、左にチセヌプリ(1134.2m)、その間にちょこんとニセコアンヌプリ(1308.0m)南峰の頭が見えた。

登山口からマイヅルソウ(舞鶴草)ばかりが目に付いたが、暫くすると他の山野草も目に入ってきた。[左上]エゾカンゾウ(蝦夷萱草)、[右上]ハナニガナ(花苦菜)、[左下]ゴゼンタチバナ(御前橘)、[右下]ゼンマイ(薇)の花=胞子。

前目国内岳頂上の手前から左後方(南南東方向)に、特徴的な山容の昆布岳(1044.9m)が見えた。

背後(東南東方向)には、シャクナゲ岳とチセヌプリの間から、ニセコアンヌプリ南峰と羊蹄山の頂部も。

8時55分、前目国内岳(980.5m)の頂上に到着。前方(西方向)に初めて、岩峰を載せた目国内岳が姿を現した。

右前方(北西方向)には最後に目指す岩内岳。

10分ほど休憩し、目国内岳に向けて標高差80mほど下がり320mを登る。コルから少し上がったところで、前目国内岳を振り返る。右奥の手前は新見峠から反対側に登る尾根上の白樺山(950m)で、そのすぐ左後方に見える三角形は大沼の北に聳える無名の1000峰。

「岩ノ門」と名付けられた大きな岩の間を通り抜ける。

目国内岳の登りで見られた花々。[左上]マルバシモツケ(丸葉下野)、[右上]タケシマラン(竹縞蘭)、[左下]ハイオトギリ(這弟切)、[右下]エゾシオガマ(蝦夷塩釜)。

目国内岳頂部の岩峰が近づいてきた。

振り返ると、左の前目国内岳はずいぶんと足下になり、ニセコ連峰の山々から羊蹄山までが見通せた。

日本百低山のニセコアンヌプリと日本百名山の羊蹄山(別名:後方羊蹄山[しりべしやま])をズームでツーショット。

途中で見かけた山野草は、先ずチシマフウロ(千島風露)の群落。

この4輪だけ見かけたウコンウツギ(鬱金空木)。

ほかには、[左上]ツマトリソウ(褄取草)、[右上]アカモノ(赤物)、[左下]イワツツジ(岩躑躅)、[右下]コケモモ(苔桃)。

目国内岳の頂上直下を登る。登山道には大きな岩塊が重なっているので慎重に。

10時42分、目国内岳の頂上(最高点のすぐ下)に到着し、集合写真を撮る。

すぐに目国内岳を後にして、パンケ沼(パンケメクンナイ湿原)に向けて標高差270mほど下がる。湿原がある谷を挟んで、雷電山や遠くに997.2峰(三等三角点、点名:敷島内)などが眺められた。

稜線続きの右手には、湿原から登り返す岩内岳も。

ツツドリとウグイスの鳴き声が聞こえる、静かなパンケ沼(パンケメクンナイ湿原、C952)に到着。

ぬかる足元に注意してゆっくり歩きながら、山野草を観察する。[左上]カラマツソウ(落葉松草)、[右上]イワイチョウ(岩銀杏)、[左下]ハクサンチドリ(白山千鳥)、[右下]ヒオウギアヤメ(檜扇文目、檜扇菖蒲)は朝開いて夕方にはしぼんでしまう。

群落を成す山野草もたくさんあった。こちらはワタスゲ(綿菅)。

湿原の泥炭層にできる池塘(ちとう)もあちこちに…。富山県立山の弥陀ヶ原にある池塘は、「餓鬼ノ田圃(がきのたんぼ)」と呼ばれる。早稲を植えた水田に似ていることから、昔の人々は地獄に落ちた餓鬼が飢えを凌ぐために耕作している田圃だと考えたそうな。

エゾカンゾウ(蝦夷萱草)の群落。

チングルマ(稚児車)はバラ科の落葉小低木。花が咲き終わってできる種子のついた長い綿毛も、「毛槍」のようで美しい。

シナノキンバイ(信濃金梅)の群落。

湿原と岩内岳への登りで見かけた花など。[左上]シナノキンバイ(信濃金梅)、[右上]モウセンゴケ(毛氈苔)、[左下]ショウジョウバカマ(猩々袴)、[右下]ベニバナイチゴ(紅花苺)。

湿原を見下ろせる場所で遅めのランチタイム(20分間)をとり、岩内岳に向けて標高差150m余りを登る。

岩内岳~雷電山縦走路との合流点に至る間に、3か所で雪田を渡った。渡り終えた先に続く登山道が分かりにくい場合があるので注意。

縦走路との合流点(三叉路)付近から眺めた雷電山(奥の円い頂き)。

越えてきた目国内岳と、右下に広がるパンケメクンナイ湿原。

岩内岳の頂上直下を登るHtさん。

14時10分、岩内岳の頂上に到着し、目国内岳を背景に集合写真を撮る。ニセコ連峰と羊蹄山は、残念ながら雲に隠れて望めなかった。


10分ほど休憩して頂上を後にする。少し下がると雲の下に出て、岩内町中心部方面が見えた。向こうは積丹半島の山並み。

16時36分、旧岩内スキー場駐車場下の道道840号線に到着して、下山を終了した。タクシーを呼んで新見峠付近の駐車場に戻り、ゆっくり速度で帰宅の途に就いた。
計画から二年越しで実施できた縦走山行は、途中で一時的に弱い雨に降られたものの、ほぼ快適な気温で見通しも割と効き、蚊もブヨも少なかった。見渡す景観に変化があり、目国内岳への登りやパンケメクンナイ湿原では想像していた以上に多くの山野草に出会えて、たいへん満足した山行であった。
【おまけ】
最後の岩内岳頂上から東方向の展望が利かなかったので、5年前の秋に自主山行で岩内岳を訪れた際、頂上から撮ったニセコ連峰・羊蹄山方面の景観を紹介します(2018年10月2日、Ay撮影)。

新見峠(標高点747)付近の駐車場に車を停め、8時5分に登山口を出発。樹林と笹で展望のない山道を30分弱登ったところで振り返ると、右にシャクナゲ岳(1074m)、左にチセヌプリ(1134.2m)、その間にちょこんとニセコアンヌプリ(1308.0m)南峰の頭が見えた。

登山口からマイヅルソウ(舞鶴草)ばかりが目に付いたが、暫くすると他の山野草も目に入ってきた。[左上]エゾカンゾウ(蝦夷萱草)、[右上]ハナニガナ(花苦菜)、[左下]ゴゼンタチバナ(御前橘)、[右下]ゼンマイ(薇)の花=胞子。

前目国内岳頂上の手前から左後方(南南東方向)に、特徴的な山容の昆布岳(1044.9m)が見えた。

背後(東南東方向)には、シャクナゲ岳とチセヌプリの間から、ニセコアンヌプリ南峰と羊蹄山の頂部も。

8時55分、前目国内岳(980.5m)の頂上に到着。前方(西方向)に初めて、岩峰を載せた目国内岳が姿を現した。

右前方(北西方向)には最後に目指す岩内岳。

10分ほど休憩し、目国内岳に向けて標高差80mほど下がり320mを登る。コルから少し上がったところで、前目国内岳を振り返る。右奥の手前は新見峠から反対側に登る尾根上の白樺山(950m)で、そのすぐ左後方に見える三角形は大沼の北に聳える無名の1000峰。

「岩ノ門」と名付けられた大きな岩の間を通り抜ける。

目国内岳の登りで見られた花々。[左上]マルバシモツケ(丸葉下野)、[右上]タケシマラン(竹縞蘭)、[左下]ハイオトギリ(這弟切)、[右下]エゾシオガマ(蝦夷塩釜)。

目国内岳頂部の岩峰が近づいてきた。

振り返ると、左の前目国内岳はずいぶんと足下になり、ニセコ連峰の山々から羊蹄山までが見通せた。

日本百低山のニセコアンヌプリと日本百名山の羊蹄山(別名:後方羊蹄山[しりべしやま])をズームでツーショット。

途中で見かけた山野草は、先ずチシマフウロ(千島風露)の群落。

この4輪だけ見かけたウコンウツギ(鬱金空木)。

ほかには、[左上]ツマトリソウ(褄取草)、[右上]アカモノ(赤物)、[左下]イワツツジ(岩躑躅)、[右下]コケモモ(苔桃)。

目国内岳の頂上直下を登る。登山道には大きな岩塊が重なっているので慎重に。

10時42分、目国内岳の頂上(最高点のすぐ下)に到着し、集合写真を撮る。

すぐに目国内岳を後にして、パンケ沼(パンケメクンナイ湿原)に向けて標高差270mほど下がる。湿原がある谷を挟んで、雷電山や遠くに997.2峰(三等三角点、点名:敷島内)などが眺められた。

稜線続きの右手には、湿原から登り返す岩内岳も。

ツツドリとウグイスの鳴き声が聞こえる、静かなパンケ沼(パンケメクンナイ湿原、C952)に到着。

ぬかる足元に注意してゆっくり歩きながら、山野草を観察する。[左上]カラマツソウ(落葉松草)、[右上]イワイチョウ(岩銀杏)、[左下]ハクサンチドリ(白山千鳥)、[右下]ヒオウギアヤメ(檜扇文目、檜扇菖蒲)は朝開いて夕方にはしぼんでしまう。

群落を成す山野草もたくさんあった。こちらはワタスゲ(綿菅)。

湿原の泥炭層にできる池塘(ちとう)もあちこちに…。富山県立山の弥陀ヶ原にある池塘は、「餓鬼ノ田圃(がきのたんぼ)」と呼ばれる。早稲を植えた水田に似ていることから、昔の人々は地獄に落ちた餓鬼が飢えを凌ぐために耕作している田圃だと考えたそうな。

エゾカンゾウ(蝦夷萱草)の群落。

チングルマ(稚児車)はバラ科の落葉小低木。花が咲き終わってできる種子のついた長い綿毛も、「毛槍」のようで美しい。

シナノキンバイ(信濃金梅)の群落。

湿原と岩内岳への登りで見かけた花など。[左上]シナノキンバイ(信濃金梅)、[右上]モウセンゴケ(毛氈苔)、[左下]ショウジョウバカマ(猩々袴)、[右下]ベニバナイチゴ(紅花苺)。

湿原を見下ろせる場所で遅めのランチタイム(20分間)をとり、岩内岳に向けて標高差150m余りを登る。

岩内岳~雷電山縦走路との合流点に至る間に、3か所で雪田を渡った。渡り終えた先に続く登山道が分かりにくい場合があるので注意。

縦走路との合流点(三叉路)付近から眺めた雷電山(奥の円い頂き)。

越えてきた目国内岳と、右下に広がるパンケメクンナイ湿原。

岩内岳の頂上直下を登るHtさん。

14時10分、岩内岳の頂上に到着し、目国内岳を背景に集合写真を撮る。ニセコ連峰と羊蹄山は、残念ながら雲に隠れて望めなかった。


10分ほど休憩して頂上を後にする。少し下がると雲の下に出て、岩内町中心部方面が見えた。向こうは積丹半島の山並み。

16時36分、旧岩内スキー場駐車場下の道道840号線に到着して、下山を終了した。タクシーを呼んで新見峠付近の駐車場に戻り、ゆっくり速度で帰宅の途に就いた。
計画から二年越しで実施できた縦走山行は、途中で一時的に弱い雨に降られたものの、ほぼ快適な気温で見通しも割と効き、蚊もブヨも少なかった。見渡す景観に変化があり、目国内岳への登りやパンケメクンナイ湿原では想像していた以上に多くの山野草に出会えて、たいへん満足した山行であった。
【おまけ】
最後の岩内岳頂上から東方向の展望が利かなかったので、5年前の秋に自主山行で岩内岳を訪れた際、頂上から撮ったニセコ連峰・羊蹄山方面の景観を紹介します(2018年10月2日、Ay撮影)。
