2024年09月27日
9月25日(水) 汐首・276峰
汐首山と周辺での山野草探訪は、当会の定番行事になっている。今回も秋の草花と果実の観察を目的に、訪れたことがない276峰まで足をのばした。参加は22名。
函館市汐首町の林道車止めゲート前を9時35分に出発。棲み付いている半野生馬に餌を与えるハイカーが居るので、馬に噛まれる事案が起きていると聞く。餌をやらないでもらいたい。
(青い雨具は落とし物かな。)

林道の脇には、秋の果実や花が次々に現れてきた。[左上]カマツカ(鎌柄)の実は秋に赤く熟して、小さなリンゴのようで甘酸っぱい。[右上]ノブドウ(野葡萄)の実は食用にならない、[左下]ヤマブドウ(山葡萄)の実は酸っぱいが生食できる、[右下]赤色が鮮やかなヒロハテンナンショウ(広葉天南星)の実。

[左上]ミツバウツギ(三葉空木)の実、[右上]ガマズミ(莢蒾)の実は霜が降りる頃になると白い粉をふいて甘くなる、[左下]アキグミ(秋茱萸)の実、[右下]ヤマナシ(山梨)は食用として栽培される和ナシの野生種。

花などは、[左上]ツリガネニンジン(釣鐘人参)、[右上]エゾゴマナ(蝦夷胡麻菜)、[左下]ヤマハッカ(山薄荷)、[右下]フユノハナワラビ(冬の花蕨)。

林道を外れて、C213の三叉路へ向かうショートカットの山道に入る。

三叉路付近は、多くの種類の山野草が花や実を付けていた。[上の二つ]紅白のコハマギク(小浜菊)、[左下]エゾフウロ(蝦夷風露)の花、[右下]エゾフウロの紅葉。

[左上]トウゲブキ(峠蕗)の名残り花、[右上]ウツボグサ(靫草)の名残り花、[左下]ハナイカリ(花碇)の花、[右下]ヒメヤブラン(姫薮蘭)の実。

ウメバチソウ(梅鉢草)の花が、たくさん咲いていた。

馬が歩く道を辿って、287峰に登る。

287峰の頂上近くから、汐首山方面を振り返る。通信施設の塔が二つ見える。

途中で見かけたものは、[左上]二度咲きのエゾヤマツツジ(蝦夷山躑躅)の花、[右上]センブリ(千振)の花、[左下]カマキリ(蟷螂)は秋に産卵して翌年の春に孵化する、[右下]カマキリの成虫は冬を越せない。

287峰の頂上から東方向の展望。蓬内川の谷を挟んで目指す276峰と隣りの292峰、遠くに恵山と海向山が見える。

頂上にある一本の古木。美瑛町にある有名な「セブンスターの木」をもじって、「ゴールデンバットの木」とでも呼ぼうか。

287峰を下がって276峰に向かう林道が分かれる三叉路の周辺に、20頭ほどの半野生馬が群れていた。何頭か、餌をねだるように近づいてきた。

276峰に向かう林道を辿る。

[左上]ヤマグリ(山栗)の実(いが)、[右上]カシワ(柏)の実、[左下]ミズナラ(水楢)の実(どんぐり)、[右下]アオダモ(青梻)の翼果は熟すと風に吹かれて舞っていく。

林道を外れて、送電線下の巡視路に入る。ここでも植物観察に余念がない。

右の樹林の中に付けられた山道を、少し歩く。

送電線下の巡視路に戻る。[上の二つ]トモエシオガマ(巴塩竈)の花、[左下]オオノアザミ(大野薊)の花、[右下]トウゲブキ(峠蕗)の実(綿毛)。

巡視路を登る。先に見える二本目の電柱が頂上の一角。

276峰の緩い頂上を少し過ぎて、東肩から向かいの292峰を眺める。
送電線の下を横切る道はこれまで辿ってきたのと同じ林道で、右の先は弁才町の集落に下がっていく。

南方向を眺める。汐首山三角点の南東にある通信鉄塔が見える。

津軽海峡を航行する貨物船。

276峰の東肩でランチ。

近くの林内に立つブナの木。

276峰を後にして、林の中を少し歩く。サルメンエビネの葉が群落を成していた。

戻る途中の林道から、汐首山方面を眺める。

林道や送電線巡視路で見かけた果実。[左上]ハイイヌガヤ(這犬榧)の実は成熟まで二年掛かるそうだが飴色になると甘味があって生食できる(少しヤニっぽいが)、[右上]マツブサ(松房)の実は黒く熟すと美味しそうだが酸味が強い、[左下]ツルウメモドキ(蔓梅擬)の実は晩秋に黄色く熟して3つに裂け、赤い果肉が現れる。[右下]サンカクヅル(三角蔓)の実は黒く熟すと生で食べられる。

復路も馬の群れを交わす。

帰りの林道で見かけた花や実。[左上]キオン?(黄苑)の名残り花、[右上]カキラン(柿蘭)の実の先端にある黒い部分は花の跡、[左下]センニンソウ(仙人草)は実をつける時期になると羽毛状の「ヒゲ」が生えて、これを風にのせて実を散布させる、[右下]マツムシソウ(松虫草)の花。

オヤマボクチ(雄山火口)の花。

下海岸と遠くに函館山。右下は、林道で見かけたセンチコガネ(雪隠金亀子、雪隠黄金虫)。

林道から函館山が見えるところで集合写真を撮る。

13時30分、林道車止めゲートに到着。挨拶を済ませて、個々に帰路に就いた。
287峰頂上の北西にあるC272の三叉路から276峰まで、会山行として初めての道を辿った。いつもの探訪場所では見かけなかったトモエシオガマの花やハイイヌガヤの実などが観察でき、楽しいコースであった。
函館市汐首町の林道車止めゲート前を9時35分に出発。棲み付いている半野生馬に餌を与えるハイカーが居るので、馬に噛まれる事案が起きていると聞く。餌をやらないでもらいたい。
(青い雨具は落とし物かな。)

林道の脇には、秋の果実や花が次々に現れてきた。[左上]カマツカ(鎌柄)の実は秋に赤く熟して、小さなリンゴのようで甘酸っぱい。[右上]ノブドウ(野葡萄)の実は食用にならない、[左下]ヤマブドウ(山葡萄)の実は酸っぱいが生食できる、[右下]赤色が鮮やかなヒロハテンナンショウ(広葉天南星)の実。

[左上]ミツバウツギ(三葉空木)の実、[右上]ガマズミ(莢蒾)の実は霜が降りる頃になると白い粉をふいて甘くなる、[左下]アキグミ(秋茱萸)の実、[右下]ヤマナシ(山梨)は食用として栽培される和ナシの野生種。

花などは、[左上]ツリガネニンジン(釣鐘人参)、[右上]エゾゴマナ(蝦夷胡麻菜)、[左下]ヤマハッカ(山薄荷)、[右下]フユノハナワラビ(冬の花蕨)。

林道を外れて、C213の三叉路へ向かうショートカットの山道に入る。

三叉路付近は、多くの種類の山野草が花や実を付けていた。[上の二つ]紅白のコハマギク(小浜菊)、[左下]エゾフウロ(蝦夷風露)の花、[右下]エゾフウロの紅葉。

[左上]トウゲブキ(峠蕗)の名残り花、[右上]ウツボグサ(靫草)の名残り花、[左下]ハナイカリ(花碇)の花、[右下]ヒメヤブラン(姫薮蘭)の実。

ウメバチソウ(梅鉢草)の花が、たくさん咲いていた。

馬が歩く道を辿って、287峰に登る。

287峰の頂上近くから、汐首山方面を振り返る。通信施設の塔が二つ見える。

途中で見かけたものは、[左上]二度咲きのエゾヤマツツジ(蝦夷山躑躅)の花、[右上]センブリ(千振)の花、[左下]カマキリ(蟷螂)は秋に産卵して翌年の春に孵化する、[右下]カマキリの成虫は冬を越せない。

287峰の頂上から東方向の展望。蓬内川の谷を挟んで目指す276峰と隣りの292峰、遠くに恵山と海向山が見える。

頂上にある一本の古木。美瑛町にある有名な「セブンスターの木」をもじって、「ゴールデンバットの木」とでも呼ぼうか。

287峰を下がって276峰に向かう林道が分かれる三叉路の周辺に、20頭ほどの半野生馬が群れていた。何頭か、餌をねだるように近づいてきた。

276峰に向かう林道を辿る。

[左上]ヤマグリ(山栗)の実(いが)、[右上]カシワ(柏)の実、[左下]ミズナラ(水楢)の実(どんぐり)、[右下]アオダモ(青梻)の翼果は熟すと風に吹かれて舞っていく。

林道を外れて、送電線下の巡視路に入る。ここでも植物観察に余念がない。

右の樹林の中に付けられた山道を、少し歩く。

送電線下の巡視路に戻る。[上の二つ]トモエシオガマ(巴塩竈)の花、[左下]オオノアザミ(大野薊)の花、[右下]トウゲブキ(峠蕗)の実(綿毛)。

巡視路を登る。先に見える二本目の電柱が頂上の一角。

276峰の緩い頂上を少し過ぎて、東肩から向かいの292峰を眺める。
送電線の下を横切る道はこれまで辿ってきたのと同じ林道で、右の先は弁才町の集落に下がっていく。

南方向を眺める。汐首山三角点の南東にある通信鉄塔が見える。

津軽海峡を航行する貨物船。

276峰の東肩でランチ。

近くの林内に立つブナの木。

276峰を後にして、林の中を少し歩く。サルメンエビネの葉が群落を成していた。

戻る途中の林道から、汐首山方面を眺める。

林道や送電線巡視路で見かけた果実。[左上]ハイイヌガヤ(這犬榧)の実は成熟まで二年掛かるそうだが飴色になると甘味があって生食できる(少しヤニっぽいが)、[右上]マツブサ(松房)の実は黒く熟すと美味しそうだが酸味が強い、[左下]ツルウメモドキ(蔓梅擬)の実は晩秋に黄色く熟して3つに裂け、赤い果肉が現れる。[右下]サンカクヅル(三角蔓)の実は黒く熟すと生で食べられる。

復路も馬の群れを交わす。

帰りの林道で見かけた花や実。[左上]キオン?(黄苑)の名残り花、[右上]カキラン(柿蘭)の実の先端にある黒い部分は花の跡、[左下]センニンソウ(仙人草)は実をつける時期になると羽毛状の「ヒゲ」が生えて、これを風にのせて実を散布させる、[右下]マツムシソウ(松虫草)の花。

オヤマボクチ(雄山火口)の花。

下海岸と遠くに函館山。右下は、林道で見かけたセンチコガネ(雪隠金亀子、雪隠黄金虫)。

林道から函館山が見えるところで集合写真を撮る。

13時30分、林道車止めゲートに到着。挨拶を済ませて、個々に帰路に就いた。
287峰頂上の北西にあるC272の三叉路から276峰まで、会山行として初めての道を辿った。いつもの探訪場所では見かけなかったトモエシオガマの花やハイイヌガヤの実などが観察でき、楽しいコースであった。
2024年09月18日
9月15日(日) 乙部岳
乙部町と厚沢部町の境界に位置する標高1016.9mの乙部岳。山頂にはレーダー雨雪量観測所があるので、麓からでも大きな白いドームが見える。ちょうど渡島半島の中心部に位置するので、渡島半島の北から南まで道南エリアの山々が一望でき、天気が良ければ噴火湾越しに道央圏・ニセコエリアの山々も望むことができる。参加は10名。
沢コースの登山口を7時40分にスタート。

「行者洞」に到着。

前夜から早朝までの雨で水量が心配だったが、いつもより少し多いくらいか。

何回目だろう、渡渉がつづく。滑る~。

どこにでもあるノブキ。でも、よく見ると可憐。

天狗岩の陰に可憐なダイモンジソウが。

天狗岩が見えれば尾根はもうすぐ。笹刈りはされているが、トラバース斜面が滑る。

尾根に上がってやっと一息。ここから九郎岳(969.8m、行かないが・・・)までは、ものすごい藪!登山道はあるのか。

ここから多少のアップダウンはあるが、頂上まで気持ちの良い尾根歩きが始まる(撮影は下山時)。

途中、うっすらと雲が途切れ、噴火湾が見えた。

12時6分、頂上に到着。

頂上にある立派な案内板。道南ぐるりと見えるみたいだが、生憎と頂上は雲の中。

12時45分、下山を始める。

尾根コース下山途中、振り返ると見事なドームが。

いつもの「メガネ(OKサイン?)」の木。紅葉にはまだ早い。

ジイソブ(ツルニンジン)。

ツルアリドオシの赤い実が、両コース分岐を過ぎたあたりから足元にいっぱい。

お疲れさまでしたー。15時15分、九郎嶽社の鳥居に着きました。

変化に富んだ沢コース。渡渉が終わると、天狗岩までの急登が待っている。大変だが、なんだか面白い。下山の尾根コースも今年はしっかり笹刈りがされていて、気持ちよく歩かせていただいた。ありがとうございました。
前年9月10日に乙部岳を訪れた際の様子は、こちらをクリック(タップ)してご覧ください。このときの登山道は、沢コース・尾根コースとも笹が被って、歩きにくい状態でした。
沢コースの登山口を7時40分にスタート。

「行者洞」に到着。

前夜から早朝までの雨で水量が心配だったが、いつもより少し多いくらいか。

何回目だろう、渡渉がつづく。滑る~。

どこにでもあるノブキ。でも、よく見ると可憐。

天狗岩の陰に可憐なダイモンジソウが。

天狗岩が見えれば尾根はもうすぐ。笹刈りはされているが、トラバース斜面が滑る。

尾根に上がってやっと一息。ここから九郎岳(969.8m、行かないが・・・)までは、ものすごい藪!登山道はあるのか。

ここから多少のアップダウンはあるが、頂上まで気持ちの良い尾根歩きが始まる(撮影は下山時)。

途中、うっすらと雲が途切れ、噴火湾が見えた。

12時6分、頂上に到着。

頂上にある立派な案内板。道南ぐるりと見えるみたいだが、生憎と頂上は雲の中。

12時45分、下山を始める。

尾根コース下山途中、振り返ると見事なドームが。

いつもの「メガネ(OKサイン?)」の木。紅葉にはまだ早い。

ジイソブ(ツルニンジン)。

ツルアリドオシの赤い実が、両コース分岐を過ぎたあたりから足元にいっぱい。

お疲れさまでしたー。15時15分、九郎嶽社の鳥居に着きました。

変化に富んだ沢コース。渡渉が終わると、天狗岩までの急登が待っている。大変だが、なんだか面白い。下山の尾根コースも今年はしっかり笹刈りがされていて、気持ちよく歩かせていただいた。ありがとうございました。
前年9月10日に乙部岳を訪れた際の様子は、こちらをクリック(タップ)してご覧ください。このときの登山道は、沢コース・尾根コースとも笹が被って、歩きにくい状態でした。
2024年09月10日
9月8日(日) 黒松内岳
九月に入っても日中の最高気温が函館で28~29℃と暑い日が続いていたが、昨年より一週間ほど早く黒松内岳(740.0m)を訪れて、秋の風情を楽しんだ。付近は、日本のブナ分布の北限として知られる。参加は15名。
朝から快晴で、日なたでは暑さを感じる中、8時28分に出発。この日は珍しく、登山口に停めたのは我々の車だけであった(途中で後発の単独行と二人組の登山者に行き交っただけ)。

出だしからトドマツ植林地の急な登りが続く。

樹相は次第にブナに代わる。登山道は手入れがされて歩きやすいが、数か所で太い倒木を回り込んだり乗り越えたり。

東隣りのブナ林尾根は、まだ緑一色。

五合目下の急な登りで見かけた植生。[左]小さな葉っぱの虫食い穴から地面に落ちた笹葉に映る面白い影、[左下]ツルシキミ(蔓樒)の実、[右下]白いキノコ。

五合目からは傾斜が緩くなり、左右を見る余裕が出る。見かけた植生は、[左上]たぶんジイソブ(爺蕎)、本名ツルニンジン(蔓人参)の花、[右上]同じくジイソブの実、[左下]キンミズヒキ(金水引)の花、[右下]ミヤマアキノキリンソウ(深山秋の麒麟草)の別名はコガネギク(黄金菊)。

六合目(標高点528の少し手前)で、北東から東方向の展望が開ける。北東にはニセコ連峰と羊蹄山(山の説明は頂上からの写真で…)。

同じく、東方向には左端に昆布岳の頭と、右に写万部山方面(これの説明も頂上の写真で…)。

六合目から七合目まで、気持ち良いブナ林の尾根歩き。

七合目の先が森林限界になっており、頂上と雪崩斜面の全容が見渡せる。

急登の手前で見かけた木の実。[左上]たくさん付いていたブナ(橅)の実、[右上]ナナカマド(七竈)の実は羆も食べるようだ(9月1日、狩場山)、[左下]珍しい瑠璃色(コバルトブルー)の実はサワフタギ(沢蓋木)か、[右下]この時期定番のオオカメノキ(大亀の木)の実。

標高差190m余りの急な登りに取り付く。

急登の手前と途中で見かけた植生。[左上]ヤマハハコ(山母子)の花、[右上]エゾオヤマリンドウ(蝦夷御山竜胆)の花、[左下]トウゲブキ(峠蕗)の名残り花、[右下]実を付け始めたサラシナショウマ(晒菜升麻)か。

紅葉を2枚。[左]ハナヒリノキ(嚏の木)、[右]チシマフウロ(千島風露)。

コブ状の地形を登る。

南方向に見えた近くの山々。左は二股山(568.7m、二等三角点、点名:二股岳)、右は美利河丸山(674.1m、三等三角点、点名:丸山)。

二股山の向こう、遠くに北海道駒ヶ岳の双耳峰も。左は砂原岳(1112.2m、一等三角点、点名は同じ)、右は剣ヶ峯(1131m)。

北方向には、寿都湾岸に建つ風車群と、積丹半島の山々。

頂上直下で一株だけ見かけたエゾノホソバトリカブト(蝦夷細葉鳥兜)の花と蕾。

10時57分、頂上に到着。西北西に大平山(1190.7m、一等三角点、点名も同じ)がすっきりと望めた。左端のコブは標高点1109の第二ピークで、この下の石灰岩地帯に希少な植物が残されている。

南西には長万部岳(972.6m、三等三角点、点名も同じ)。頂上の周りには、たくさんのトンボ(アキアカネか)が飛び回っていた。

頂上から東方向に、辿ってきた尾根と写万部山方面を眺める。幌扶斯山は「ほろぷすさん」と読む。この山の手前の谷中に、秘境駅として名高い「小幌駅」がある。写万部山の右奥、うっすらと見えるのは鷲別岳(911.1m、別名:室蘭岳)。

頂上から北西には、ニセコ連峰から羊蹄山、昆布岳に至る大展望。羊蹄山は、日本百名山などに「後方羊蹄山(しりべしやま)」として選定されている。

羊蹄山(左)と昆布岳(右)をズームアップで。昆布岳のすぐ左奥に頭を出すのは尻別岳(1107.3m)。

ニセコ連峰もズームアップでどうぞ。手前は黒松内町中心部の市街地。

頂上で、恒例の集合写真を撮る。

一時間ほどゆっくり休んで、12時ちょうどに下山を開始。フィックスロープの通過は一人ずつとして、急斜面を慎重に下る。下部の急斜面では、月例会で学習しているセフルレスキュー・コンパニオンレスキューの一環として、プルージックノットによる自己確保下降を3名が実体験してみた。

13時52分、駐車場に到着して、無事に下山を終えた。車止めゲートから奥に続く林道を辿って、重滝(しげたき)の見物に出かけた。こちらはゲートからすぐの「ぶな滝沢」を落ちる小滝。

15分ほどで重滝に到着。岩盤を滑り落ちる水の流れが美しい。

重滝を背景に、集合写真をもう1枚。

林道を辿る途中で見られた花。[左]クロバナノヒキオコシ(黒花引起し)は黒紫色の小さな花、[右上]ミゾソバ(溝蕎麦)は葉の形から別名「牛の額(うしのひたい)」、[右下]キツリフネ(黄釣舟)。

重滝から戻って挨拶を済ませ、林道を道道9号線(寿都黒松内線)のトイレがある路側帯駐車場に出て再度集合。各車の無事到着を確認して、解散した。
この日、山近くのアメダス黒松内では最高気温30.4℃を観測した。日なたでは暑さに閉口したが、たまに吹く微かな涼風が心地よかった。半径70~80kmまでの雄大な展望が得られ、山座同定も楽しめた、大満足の山行であった。
朝から快晴で、日なたでは暑さを感じる中、8時28分に出発。この日は珍しく、登山口に停めたのは我々の車だけであった(途中で後発の単独行と二人組の登山者に行き交っただけ)。

出だしからトドマツ植林地の急な登りが続く。

樹相は次第にブナに代わる。登山道は手入れがされて歩きやすいが、数か所で太い倒木を回り込んだり乗り越えたり。

東隣りのブナ林尾根は、まだ緑一色。

五合目下の急な登りで見かけた植生。[左]小さな葉っぱの虫食い穴から地面に落ちた笹葉に映る面白い影、[左下]ツルシキミ(蔓樒)の実、[右下]白いキノコ。

五合目からは傾斜が緩くなり、左右を見る余裕が出る。見かけた植生は、[左上]たぶんジイソブ(爺蕎)、本名ツルニンジン(蔓人参)の花、[右上]同じくジイソブの実、[左下]キンミズヒキ(金水引)の花、[右下]ミヤマアキノキリンソウ(深山秋の麒麟草)の別名はコガネギク(黄金菊)。

六合目(標高点528の少し手前)で、北東から東方向の展望が開ける。北東にはニセコ連峰と羊蹄山(山の説明は頂上からの写真で…)。

同じく、東方向には左端に昆布岳の頭と、右に写万部山方面(これの説明も頂上の写真で…)。

六合目から七合目まで、気持ち良いブナ林の尾根歩き。

七合目の先が森林限界になっており、頂上と雪崩斜面の全容が見渡せる。

急登の手前で見かけた木の実。[左上]たくさん付いていたブナ(橅)の実、[右上]ナナカマド(七竈)の実は羆も食べるようだ(9月1日、狩場山)、[左下]珍しい瑠璃色(コバルトブルー)の実はサワフタギ(沢蓋木)か、[右下]この時期定番のオオカメノキ(大亀の木)の実。

標高差190m余りの急な登りに取り付く。

急登の手前と途中で見かけた植生。[左上]ヤマハハコ(山母子)の花、[右上]エゾオヤマリンドウ(蝦夷御山竜胆)の花、[左下]トウゲブキ(峠蕗)の名残り花、[右下]実を付け始めたサラシナショウマ(晒菜升麻)か。

紅葉を2枚。[左]ハナヒリノキ(嚏の木)、[右]チシマフウロ(千島風露)。

コブ状の地形を登る。

南方向に見えた近くの山々。左は二股山(568.7m、二等三角点、点名:二股岳)、右は美利河丸山(674.1m、三等三角点、点名:丸山)。

二股山の向こう、遠くに北海道駒ヶ岳の双耳峰も。左は砂原岳(1112.2m、一等三角点、点名は同じ)、右は剣ヶ峯(1131m)。

北方向には、寿都湾岸に建つ風車群と、積丹半島の山々。

頂上直下で一株だけ見かけたエゾノホソバトリカブト(蝦夷細葉鳥兜)の花と蕾。

10時57分、頂上に到着。西北西に大平山(1190.7m、一等三角点、点名も同じ)がすっきりと望めた。左端のコブは標高点1109の第二ピークで、この下の石灰岩地帯に希少な植物が残されている。

南西には長万部岳(972.6m、三等三角点、点名も同じ)。頂上の周りには、たくさんのトンボ(アキアカネか)が飛び回っていた。

頂上から東方向に、辿ってきた尾根と写万部山方面を眺める。幌扶斯山は「ほろぷすさん」と読む。この山の手前の谷中に、秘境駅として名高い「小幌駅」がある。写万部山の右奥、うっすらと見えるのは鷲別岳(911.1m、別名:室蘭岳)。

頂上から北西には、ニセコ連峰から羊蹄山、昆布岳に至る大展望。羊蹄山は、日本百名山などに「後方羊蹄山(しりべしやま)」として選定されている。

羊蹄山(左)と昆布岳(右)をズームアップで。昆布岳のすぐ左奥に頭を出すのは尻別岳(1107.3m)。

ニセコ連峰もズームアップでどうぞ。手前は黒松内町中心部の市街地。

頂上で、恒例の集合写真を撮る。

一時間ほどゆっくり休んで、12時ちょうどに下山を開始。フィックスロープの通過は一人ずつとして、急斜面を慎重に下る。下部の急斜面では、月例会で学習しているセフルレスキュー・コンパニオンレスキューの一環として、プルージックノットによる自己確保下降を3名が実体験してみた。

13時52分、駐車場に到着して、無事に下山を終えた。車止めゲートから奥に続く林道を辿って、重滝(しげたき)の見物に出かけた。こちらはゲートからすぐの「ぶな滝沢」を落ちる小滝。

15分ほどで重滝に到着。岩盤を滑り落ちる水の流れが美しい。

重滝を背景に、集合写真をもう1枚。

林道を辿る途中で見られた花。[左]クロバナノヒキオコシ(黒花引起し)は黒紫色の小さな花、[右上]ミゾソバ(溝蕎麦)は葉の形から別名「牛の額(うしのひたい)」、[右下]キツリフネ(黄釣舟)。

重滝から戻って挨拶を済ませ、林道を道道9号線(寿都黒松内線)のトイレがある路側帯駐車場に出て再度集合。各車の無事到着を確認して、解散した。
この日、山近くのアメダス黒松内では最高気温30.4℃を観測した。日なたでは暑さに閉口したが、たまに吹く微かな涼風が心地よかった。半径70~80kmまでの雄大な展望が得られ、山座同定も楽しめた、大満足の山行であった。
2024年09月04日
9月1日(日) 狩場山(千走新道コース~茂津多コース)
道南の最高峰である狩場山(1520.2m)は千走(ちはせ)新道を利用して往復するのが一般的だが、今回は下りに茂津多(もつた)コースを利用した。参加は5名。
前日は函館を車2台で出発し、せたな町を経由して、1台を茂津多コース下山口にデポ。車1台で島牧村に向かい、女性陣は民宿に、男性陣はキャンピングカーで道の駅に泊まった。
当日は5名がキャンピングカーで賀老高原キャンプ場に向かい、朝陽を受けた南狩場山方面を眺めながら、車内で民宿作成のお握り弁当を頂いた(豪華「ウニ」付き)。

千走新道コース入口を6時32分に出発。

登山道にはさっそく、秋の植生が姿を現してきた。[左上]ツバメオモト(燕万年青)の青色と黒色の実、[右上]ナナカマド(七竈)の実、[左下]オオカメノキ(大亀の木)の実、[右下]ウド(独活)の実の姿は線香花火のよう。

五合目付近の這松帯を登る。

登山道で見かけた黒いカタツムリ「ブドウマイマイ」。

六合目手前から南東方向、手前に二つの谷を挟んで聳えるメップ岳(二等三角点、点名:目名岳)とカスベ岳(三等三角点、点名:粕部岳)。両山とも登山道がないので、無積雪期は沢、積雪期は尾根を伝って登られる。

六合目手前に設置された熊除けの鐘。「誰がために鐘は鳴る」。

六合目先の下部花畑に到着。大平山と羊蹄山の饗宴が見られる。

花畑から南狩場山方面を見上げる。上部の稜線に雲がかかってきたが、暫くして消散した。

花畑とその前後で見られた植生は、[左上]サラシナショウマ(晒菜升麻)の花、[右上]ハクサンボウフウ(白山防風)の花、[左下]ハイオトギリ(這弟切)の実とウメバチソウ(梅鉢草)の花、[右下]エゾカンゾウ(蝦夷萱草)の実。

南方の遠くに、遊楽部岳(1277m、一等三角点、点名:見市岳)の大きな山容が美しい。
青空には凸レンズ状の高積雲が浮かんでいる。上空の強風を知らせる形状の雲で、この日の9時には札幌の上空6668mで西南西30.9メートル毎秒の強い風が観測されていた。

真駒内コース(ほぼ廃道)との合流点を過ぎたところから仰ぐ、南狩場山の岩壁と左に狩場山頂上。
![南狩場山と本峰頂上[左奥] 南狩場山と本峰頂上[左奥]](//img01.naturum.ne.jp/usr/s/a/n/sangakuclub2/20240901-L%E7%8B%A9%E5%A0%B4%E5%B1%B1k%E5%8D%97%E7%8B%A9%E5%A0%B4%E5%B1%B1%E3%81%A8%E6%9C%AC%E5%B3%B0%E9%A0%82%E4%B8%8A%5B%E5%B7%A6%E5%A5%A5%5Dk.jpg)
南狩場山の尾根から、困難な沢登りで名を知られる須築(すっき)川源流部と、茂津多コースが通る尾根を望む。右端に前山(1260.5m)が見えている。

たおやかな頂上台地を登る。

頂上台地で見られたのは、[左]イワイチョウ(岩銀杏)の名残り花、[右]ハイオトギリ(這弟切)の花と実。

数日来の大雨で、たっぷりと水を湛えた親沼。

10時20分、狩場山頂上に到着。一等三角点(点名:狩場岳)が設置されている。単独行の男性にシャッターを押してもらい、全員が集合写真に納まる。

頂上から北北東に、フモンナイ岳(1337.6m、三等三角点、点名:普門内)と、遠くに積丹半島。

北東には、羊蹄山とニセコの山々。

南東には、遠く北海道駒ヶ岳の双耳峰。右手前はメップ岳(頂上は三つのピークの左側)。

10時38分、頂上から茂津多コースに向かう。

少し進むと西側の好展望が得られた。左に瀬棚海岸と、遠くに奥尻島。中央から右の山塊にある最も高い山(屋根型の頂部稜線)は1002.5峰(三等三角点、点名:島歌山)。

足元の岩場に下降する手前で、茂津多コースを背景に集合写真を撮る。中央やや左の尾根分岐がこれから向かう前山(1260.5m、三等三角点、点名:乙骨内)、右端の枝の陰はオコツナイ岳(1170.6m、三等三角点、点名:乙内岳)。前山の三角点名に、支尾根繋がりのオコツナイと付いているのは面白い。

岩場を慎重に下降し、ホッと一息ついて頂上を振り返る。

コースの前方に見えるピークは、1289峰。

笹が伸びた登山道の左脇に、羆の寝床らしい丸い痕跡(笹が倒れている)があった。

1289峰を越えると、もう一つコブが見えた(1295峰)。

稜線で見られたハナヒリノキ(嚏の木)の紅葉。

前山が見えた。右はオコツナイ岳。

コースが通る尾根のすぐ右に、面白い姿の岩峰が見えた。向かいの尾根の左はフモンナイ岳。

狩場山頂上からちょうど2時間で、大きな岩が重なる前山の頂上に到着。ここでランチタイムとする。頂上からのコースは背の高い笹が被って、気分良く過ごせる場所がなかった。

狩場山の頂上を仰ぐ。右に見える2つのコブを越えてきた。

前山の三角点は灌木帯の中にあった。ここでも集合写真を一枚。

この前後で、羆の落とし物を頻繁に目にした。この落とし物には消化されていないナナカマドの実が入っている。山道の脇にあるハイマツも、実(マツボックリ)がほとんど食べられていた。

向かう先の尾根は、幅広い台地状になっている。狩場山は旧い楯状火山で、粘性の小さい玄武岩質の溶岩が広範囲に流れて広い裾野を形成した。

前山の前後で見られた植生は、[左上]ゴゼンタチバナ(御前橘)の実、[右上]エゾノホソバトリカブト(蝦夷細葉鳥兜)の花か、[左下]チシマフウロ(千島風露)の花、[右下]イブキトラノオ(伊吹虎の尾)の花。

C1054の山道の脇に、ひっそりとたたずむ茂津多小沼。小沼というには少し広い。

沼の畔で見かけたイトトンボ。

標高点661にある水場の前後から、ブナの樹が現れてきた。

樹林内で見られた木の実は、[左]大きく張り出した翼を持つヒロハツリバナ(広葉吊花)の実、[右]サルナシ(猿梨)の実。

幅広く刈り払われた山道になると、ゴールまでもう少し。

幹に空洞が広がったブナの老木。

16時32分、茂津多コースの出口に到着して下山を終了した。千走新道コース入口からの行程は、ちょうど10時間であった。

前日にデポしておいた車で、茂津多岬灯台を見学に行った。海面から灯台頂部までの高さ(標高)が290mの日本一高い灯台だとか。灯台の光は43.5km先の沖合まで届くという。灯台の前で、最後の集合写真を撮る。

茂津多岬から車1台に相乗りして、千走新道コース入口に停めた車を回収に向かった(片道約38km)。回収後は車2台に分乗し、島牧村から黒松内町経由で帰宅した。途中、長万部町のガソリンスタンドに閉店13分前に滑り込んで給油し、八雲町の日帰り温泉には閉店30分前に駆け込んで汗を流した。
距離10.3kmに及ぶ長い長い茂津多コースの下りは、地形や植生の変化があってなかなか面白く、好天に恵まれて気持ち良く辿ることができた。ただし、頂上直下の岩場の急下降や、前山までの細い笹付き稜線の通過に神経を使った。全体に背丈の高い笹が被っており、羆の落とし物も多数あって(多いところでは数mおきに)、笛や熊除けホーン(機械音)で存在を知らせながら歩くという、ワイルドなコースでもあった。
前日は函館を車2台で出発し、せたな町を経由して、1台を茂津多コース下山口にデポ。車1台で島牧村に向かい、女性陣は民宿に、男性陣はキャンピングカーで道の駅に泊まった。
当日は5名がキャンピングカーで賀老高原キャンプ場に向かい、朝陽を受けた南狩場山方面を眺めながら、車内で民宿作成のお握り弁当を頂いた(豪華「ウニ」付き)。

千走新道コース入口を6時32分に出発。

登山道にはさっそく、秋の植生が姿を現してきた。[左上]ツバメオモト(燕万年青)の青色と黒色の実、[右上]ナナカマド(七竈)の実、[左下]オオカメノキ(大亀の木)の実、[右下]ウド(独活)の実の姿は線香花火のよう。

五合目付近の這松帯を登る。

登山道で見かけた黒いカタツムリ「ブドウマイマイ」。

六合目手前から南東方向、手前に二つの谷を挟んで聳えるメップ岳(二等三角点、点名:目名岳)とカスベ岳(三等三角点、点名:粕部岳)。両山とも登山道がないので、無積雪期は沢、積雪期は尾根を伝って登られる。

六合目手前に設置された熊除けの鐘。「誰がために鐘は鳴る」。

六合目先の下部花畑に到着。大平山と羊蹄山の饗宴が見られる。

花畑から南狩場山方面を見上げる。上部の稜線に雲がかかってきたが、暫くして消散した。

花畑とその前後で見られた植生は、[左上]サラシナショウマ(晒菜升麻)の花、[右上]ハクサンボウフウ(白山防風)の花、[左下]ハイオトギリ(這弟切)の実とウメバチソウ(梅鉢草)の花、[右下]エゾカンゾウ(蝦夷萱草)の実。

南方の遠くに、遊楽部岳(1277m、一等三角点、点名:見市岳)の大きな山容が美しい。
青空には凸レンズ状の高積雲が浮かんでいる。上空の強風を知らせる形状の雲で、この日の9時には札幌の上空6668mで西南西30.9メートル毎秒の強い風が観測されていた。

真駒内コース(ほぼ廃道)との合流点を過ぎたところから仰ぐ、南狩場山の岩壁と左に狩場山頂上。
![南狩場山と本峰頂上[左奥] 南狩場山と本峰頂上[左奥]](http://img01.naturum.ne.jp/usr/s/a/n/sangakuclub2/20240901-L%E7%8B%A9%E5%A0%B4%E5%B1%B1k%E5%8D%97%E7%8B%A9%E5%A0%B4%E5%B1%B1%E3%81%A8%E6%9C%AC%E5%B3%B0%E9%A0%82%E4%B8%8A%5B%E5%B7%A6%E5%A5%A5%5Dk.jpg)
南狩場山の尾根から、困難な沢登りで名を知られる須築(すっき)川源流部と、茂津多コースが通る尾根を望む。右端に前山(1260.5m)が見えている。

たおやかな頂上台地を登る。

頂上台地で見られたのは、[左]イワイチョウ(岩銀杏)の名残り花、[右]ハイオトギリ(這弟切)の花と実。

数日来の大雨で、たっぷりと水を湛えた親沼。

10時20分、狩場山頂上に到着。一等三角点(点名:狩場岳)が設置されている。単独行の男性にシャッターを押してもらい、全員が集合写真に納まる。

頂上から北北東に、フモンナイ岳(1337.6m、三等三角点、点名:普門内)と、遠くに積丹半島。

北東には、羊蹄山とニセコの山々。

南東には、遠く北海道駒ヶ岳の双耳峰。右手前はメップ岳(頂上は三つのピークの左側)。

10時38分、頂上から茂津多コースに向かう。

少し進むと西側の好展望が得られた。左に瀬棚海岸と、遠くに奥尻島。中央から右の山塊にある最も高い山(屋根型の頂部稜線)は1002.5峰(三等三角点、点名:島歌山)。

足元の岩場に下降する手前で、茂津多コースを背景に集合写真を撮る。中央やや左の尾根分岐がこれから向かう前山(1260.5m、三等三角点、点名:乙骨内)、右端の枝の陰はオコツナイ岳(1170.6m、三等三角点、点名:乙内岳)。前山の三角点名に、支尾根繋がりのオコツナイと付いているのは面白い。

岩場を慎重に下降し、ホッと一息ついて頂上を振り返る。

コースの前方に見えるピークは、1289峰。

笹が伸びた登山道の左脇に、羆の寝床らしい丸い痕跡(笹が倒れている)があった。

1289峰を越えると、もう一つコブが見えた(1295峰)。

稜線で見られたハナヒリノキ(嚏の木)の紅葉。

前山が見えた。右はオコツナイ岳。

コースが通る尾根のすぐ右に、面白い姿の岩峰が見えた。向かいの尾根の左はフモンナイ岳。

狩場山頂上からちょうど2時間で、大きな岩が重なる前山の頂上に到着。ここでランチタイムとする。頂上からのコースは背の高い笹が被って、気分良く過ごせる場所がなかった。

狩場山の頂上を仰ぐ。右に見える2つのコブを越えてきた。

前山の三角点は灌木帯の中にあった。ここでも集合写真を一枚。

この前後で、羆の落とし物を頻繁に目にした。この落とし物には消化されていないナナカマドの実が入っている。山道の脇にあるハイマツも、実(マツボックリ)がほとんど食べられていた。

向かう先の尾根は、幅広い台地状になっている。狩場山は旧い楯状火山で、粘性の小さい玄武岩質の溶岩が広範囲に流れて広い裾野を形成した。

前山の前後で見られた植生は、[左上]ゴゼンタチバナ(御前橘)の実、[右上]エゾノホソバトリカブト(蝦夷細葉鳥兜)の花か、[左下]チシマフウロ(千島風露)の花、[右下]イブキトラノオ(伊吹虎の尾)の花。

C1054の山道の脇に、ひっそりとたたずむ茂津多小沼。小沼というには少し広い。

沼の畔で見かけたイトトンボ。

標高点661にある水場の前後から、ブナの樹が現れてきた。

樹林内で見られた木の実は、[左]大きく張り出した翼を持つヒロハツリバナ(広葉吊花)の実、[右]サルナシ(猿梨)の実。

幅広く刈り払われた山道になると、ゴールまでもう少し。

幹に空洞が広がったブナの老木。

16時32分、茂津多コースの出口に到着して下山を終了した。千走新道コース入口からの行程は、ちょうど10時間であった。

前日にデポしておいた車で、茂津多岬灯台を見学に行った。海面から灯台頂部までの高さ(標高)が290mの日本一高い灯台だとか。灯台の光は43.5km先の沖合まで届くという。灯台の前で、最後の集合写真を撮る。

茂津多岬から車1台に相乗りして、千走新道コース入口に停めた車を回収に向かった(片道約38km)。回収後は車2台に分乗し、島牧村から黒松内町経由で帰宅した。途中、長万部町のガソリンスタンドに閉店13分前に滑り込んで給油し、八雲町の日帰り温泉には閉店30分前に駆け込んで汗を流した。
距離10.3kmに及ぶ長い長い茂津多コースの下りは、地形や植生の変化があってなかなか面白く、好天に恵まれて気持ち良く辿ることができた。ただし、頂上直下の岩場の急下降や、前山までの細い笹付き稜線の通過に神経を使った。全体に背丈の高い笹が被っており、羆の落とし物も多数あって(多いところでは数mおきに)、笛や熊除けホーン(機械音)で存在を知らせながら歩くという、ワイルドなコースでもあった。