2023年07月24日
7月23日(日) 当別丸山
トラピスト修道院の裏山で、北斗市と木古内町の境界に立つ丸山(482.3m、通称「当別丸山」)を、通常の東尾根コースで訪れた。参加は16名。
北斗市三ツ石地区の修道院に向かう直線道路は「ローマへの道」と名付けられ、杉並木の間から正面に中世ゴシック風の建物が見える日本離れした風景。

修道院裏手の駐車場を9時47分に出発。牧草地を回り込んで、白樺やナナカマドなどの並木道を辿る。

大きなヤマユリ(山百合)の花が、強い芳香を漂わせていた。

「ルルドの洞窟」へのショートカット階段を上る。

「ルルドの洞窟」のモルタル壁面は改修工事中。

洞窟から山道に入る。展望台への分岐を過ぎた脇で、キノコとシダの葉が花のような造形を作っていた。

展望台経由の登山道との合流点付近にある杉の大木は、通称「パワーの木」。太い幹には、20年ほど前にクマゲラに開けられたと思われる人の顔以上の大きな穴が3箇所あったそうだが、今はほぼ自力修復していることに因む。

ブナ林内の木漏れ日が射す尾根道は、暑さを忘れさせてくれる。

尾根道で見かけた植生は、[左]イチヤクソウ(一薬草)の花、[右]シャクジョウソウ(錫杖草)はギンリョウソウ(銀竜草)と同じく葉緑素をもたない腐生植物で全体が淡い黄褐色、名の由来は姿が僧や修験者の持つ錫杖(金属環がついた杖)に似ていることから。

さらに、[左]ホウキタケの仲間、[右]アクシバ(灰汁柴)の花は深く4裂してクルクルっと外側に巻く。

尾根上部の傾斜が急な地点を過ぎたところで、転滑落の危険箇所を安全に通過するためのロープワークを実習した。全員が手を動かして「八の字結び(エイトノット)」や「マスト結び(クローブヒッチ、インクノット)」を作ってみた。「八の字結び」を一定間隔で作ったザイルを急な登山道に設置して、下山時に状況を確かめた。

尾根道から頂上までに見られた花は、[左上]アオチドリ(青千鳥)、[右上]クロバナヒキオコシ(黒花引起)、ヒキオコシの名の由来は弘法大師が病で倒れた旅人にこの草を煎じて飲ませたところ、その病人が起き上がったという薬効伝説から、[左下]ヨツバヒヨドリ(四葉鵯)、[右下]オカトラノオ(丘虎の尾)。

11時43分、頂上に到着。一等三角点(点名:当別丸山)が設けられ、すぐ近くに台上部に指標鋲、側面に「第七号天測点 地理調査所」の銘板が取り付けられたコンクリート製の四角柱が残されている。
天測点とは、三角測量で求められた位置座標を規正する天文測量を行うため一等三角点のすぐそばに設けられた基準点で、全国48箇所(北海道内8箇所)で1954年(昭和29年)から観測がなされたが、その後は機器の軽量化により天測点を設置することはなくなったという。
天測点から真北あるいは真南へ数km離れた場所には、測量機材を正確な方位に設置するため子午線標という目印の石柱がペアで設置されており、当別丸山の子午線標は真北に約6km離れた鏡山の西、標高142mあたりにあるらしい。

頂上でランチをとってから、恒例の全体集合写真に納まる。手前の山名標識は、当クラブの会員だった故・Jiさんの手による。

頂上で夏の風情を味わう。キアゲハ、夏の山、夏の空…。



12時15分、頂上を後にして、ブナ林の尾根を下がっていく。

途中の登山道脇で、ラン科のツチアケビ(土木通)の花を見つけた。葉緑素を持たず、菌類からすべての養分を得て生活する腐生植物。

展望台に立ち寄る。新しい標識に描かれた「ゆずりは(譲葉)」は、春には枝先に黄緑色の若葉が生え、その下に花が咲いて、古くなった葉が垂れ下がって落ちる。古くから子孫繁栄を象徴する縁起の良い木とされ、正月飾りに使われる。有毒なアルカロイドを含むため、エゾシカなどは食さない。

展望台から修道院の全景が俯瞰できる。

葛登支岬灯台(かっとしみさきとうだい)と、函館湾を挟んで函館山も見えた。この灯台は北海道で4番目に古く、道南では最初に建設されたそうで、初点灯は1885年(明治18年)12月15日とのこと。トラピスト修道院(正式名称は「厳律シトー会燈台の聖母トラピスト大修道院」)が創立されたのは11年後の1896年(明治29年)で、「燈台の聖母…」は明るい光を照らし続ける葛登支岬灯台のように世の中を明るくとの願いを込めて付けられたと言う。

下山で見られたほかの野草は、[左上]シラネアオイ(白根葵)の実、[左下]ジャコウソウ(麝香草)の花、[右]二度目登場のヤマユリ(山百合)の花。

「ルルドの洞窟」の前も好い展望が得られる。函館山(334m)と函館市中心部を望む。

ここからは作業道(車道)を下った。

道路脇で見かけた花々。[左上]ツルアジサイ(蔓紫陽花)の花の白いガク片は4枚、[右上]コウライテンナンショウ(高麗天南星)が実を付けてきた、[左下]オオウバユリ(大姥百合)の花もそろそろ終わり、実を付けたものも、[右下]キンミズヒキ(金水引)。

牧草地から当別丸山の頂上方面を仰ぐ。すっかり夏らしい空になっていた。

13時35分、駐車場に到着して下山を終了した。挨拶を終えて解散したが、すぐに修道院正面駐車場に停め、 直営店で購入した濃厚な味のソフトクリーム(スプーンの代わりにトラピストクッキーが付く)を味わってから帰宅の途に就いた。
登り始めは霧っぽい空だったが、次第にすっきりとした青空に変わり、函館では今夏3番目に高い29.3℃の最高気温を観測した。気温の割に爽やかな天候のもと、ゆったりと自然を味わうことができた。
登山道を相前後して、会友のImさんを始めとする北登会の皆さんが草刈り(鎌による手刈り)に当たっておられた。ここの登山道の保全にいつも尽力されていることに感謝です。
北斗市三ツ石地区の修道院に向かう直線道路は「ローマへの道」と名付けられ、杉並木の間から正面に中世ゴシック風の建物が見える日本離れした風景。

修道院裏手の駐車場を9時47分に出発。牧草地を回り込んで、白樺やナナカマドなどの並木道を辿る。

大きなヤマユリ(山百合)の花が、強い芳香を漂わせていた。

「ルルドの洞窟」へのショートカット階段を上る。

「ルルドの洞窟」のモルタル壁面は改修工事中。

洞窟から山道に入る。展望台への分岐を過ぎた脇で、キノコとシダの葉が花のような造形を作っていた。

展望台経由の登山道との合流点付近にある杉の大木は、通称「パワーの木」。太い幹には、20年ほど前にクマゲラに開けられたと思われる人の顔以上の大きな穴が3箇所あったそうだが、今はほぼ自力修復していることに因む。

ブナ林内の木漏れ日が射す尾根道は、暑さを忘れさせてくれる。

尾根道で見かけた植生は、[左]イチヤクソウ(一薬草)の花、[右]シャクジョウソウ(錫杖草)はギンリョウソウ(銀竜草)と同じく葉緑素をもたない腐生植物で全体が淡い黄褐色、名の由来は姿が僧や修験者の持つ錫杖(金属環がついた杖)に似ていることから。

さらに、[左]ホウキタケの仲間、[右]アクシバ(灰汁柴)の花は深く4裂してクルクルっと外側に巻く。

尾根上部の傾斜が急な地点を過ぎたところで、転滑落の危険箇所を安全に通過するためのロープワークを実習した。全員が手を動かして「八の字結び(エイトノット)」や「マスト結び(クローブヒッチ、インクノット)」を作ってみた。「八の字結び」を一定間隔で作ったザイルを急な登山道に設置して、下山時に状況を確かめた。

尾根道から頂上までに見られた花は、[左上]アオチドリ(青千鳥)、[右上]クロバナヒキオコシ(黒花引起)、ヒキオコシの名の由来は弘法大師が病で倒れた旅人にこの草を煎じて飲ませたところ、その病人が起き上がったという薬効伝説から、[左下]ヨツバヒヨドリ(四葉鵯)、[右下]オカトラノオ(丘虎の尾)。

11時43分、頂上に到着。一等三角点(点名:当別丸山)が設けられ、すぐ近くに台上部に指標鋲、側面に「第七号天測点 地理調査所」の銘板が取り付けられたコンクリート製の四角柱が残されている。
天測点とは、三角測量で求められた位置座標を規正する天文測量を行うため一等三角点のすぐそばに設けられた基準点で、全国48箇所(北海道内8箇所)で1954年(昭和29年)から観測がなされたが、その後は機器の軽量化により天測点を設置することはなくなったという。
天測点から真北あるいは真南へ数km離れた場所には、測量機材を正確な方位に設置するため子午線標という目印の石柱がペアで設置されており、当別丸山の子午線標は真北に約6km離れた鏡山の西、標高142mあたりにあるらしい。

頂上でランチをとってから、恒例の全体集合写真に納まる。手前の山名標識は、当クラブの会員だった故・Jiさんの手による。

頂上で夏の風情を味わう。キアゲハ、夏の山、夏の空…。



12時15分、頂上を後にして、ブナ林の尾根を下がっていく。

途中の登山道脇で、ラン科のツチアケビ(土木通)の花を見つけた。葉緑素を持たず、菌類からすべての養分を得て生活する腐生植物。

展望台に立ち寄る。新しい標識に描かれた「ゆずりは(譲葉)」は、春には枝先に黄緑色の若葉が生え、その下に花が咲いて、古くなった葉が垂れ下がって落ちる。古くから子孫繁栄を象徴する縁起の良い木とされ、正月飾りに使われる。有毒なアルカロイドを含むため、エゾシカなどは食さない。

展望台から修道院の全景が俯瞰できる。

葛登支岬灯台(かっとしみさきとうだい)と、函館湾を挟んで函館山も見えた。この灯台は北海道で4番目に古く、道南では最初に建設されたそうで、初点灯は1885年(明治18年)12月15日とのこと。トラピスト修道院(正式名称は「厳律シトー会燈台の聖母トラピスト大修道院」)が創立されたのは11年後の1896年(明治29年)で、「燈台の聖母…」は明るい光を照らし続ける葛登支岬灯台のように世の中を明るくとの願いを込めて付けられたと言う。

下山で見られたほかの野草は、[左上]シラネアオイ(白根葵)の実、[左下]ジャコウソウ(麝香草)の花、[右]二度目登場のヤマユリ(山百合)の花。

「ルルドの洞窟」の前も好い展望が得られる。函館山(334m)と函館市中心部を望む。

ここからは作業道(車道)を下った。

道路脇で見かけた花々。[左上]ツルアジサイ(蔓紫陽花)の花の白いガク片は4枚、[右上]コウライテンナンショウ(高麗天南星)が実を付けてきた、[左下]オオウバユリ(大姥百合)の花もそろそろ終わり、実を付けたものも、[右下]キンミズヒキ(金水引)。

牧草地から当別丸山の頂上方面を仰ぐ。すっかり夏らしい空になっていた。

13時35分、駐車場に到着して下山を終了した。挨拶を終えて解散したが、すぐに修道院正面駐車場に停め、 直営店で購入した濃厚な味のソフトクリーム(スプーンの代わりにトラピストクッキーが付く)を味わってから帰宅の途に就いた。
登り始めは霧っぽい空だったが、次第にすっきりとした青空に変わり、函館では今夏3番目に高い29.3℃の最高気温を観測した。気温の割に爽やかな天候のもと、ゆったりと自然を味わうことができた。
登山道を相前後して、会友のImさんを始めとする北登会の皆さんが草刈り(鎌による手刈り)に当たっておられた。ここの登山道の保全にいつも尽力されていることに感謝です。