2024年10月19日
10月12日(土) 白神岳と十二湖散策(東北ツアー:3/4)
「東北ツアー」第3日目は、白神山地の主峰・白神岳(1232.4m)を蟶山(まてやま)コース利用で登る組(9名)と十二湖を散策する組(3名)に分かれて行動した。
白神山地は、1993年(平成5年)12月に世界遺産(自然遺産)に登録された。白神岳の北に位置する大峰岳(1020m)から白神岳を経て南の青森・秋田県境861峰を結ぶ主稜線が、世界自然遺産A地域・B地域の西縁になっている。
十二湖は白神山地の西側に位置して、津軽国定公園と自然休養林に指定されており、整備された歩道を辿って様々な散策コースが楽しめる。
【白神岳登山組の様子】
深浦町のペンションを5時30分に出発し、国道101号線と日野林道を走行して白神岳登山口下駐車場(C185)に6時10分到着。土曜日で天気が良いため、すでに30台近くが駐車していた。車内で朝食の大きなお握り弁当をいただいてから、出発の準備を整える。
写真の高台にある建物は、休憩所とトイレ。

駐車場を6時40分に出発。駐車場入り口のすぐ先に車止めがある林道へショートカットで上がり、6~7分歩いて小さな三角小屋内で入山記帳を済ませると、この先から山道になる。

登山口から30分ほど歩いたところのブナ林の様子。

前後で見られた植生は、[左上]ツリバナ(吊花)の弾けた実、[右上]試験管ブラシのようなサラシナショウマ(晒菜升麻)の花穂、[左下]モミジガサ(紅葉笠・紅葉傘)の控えめな花、[右下]コウライテンナンショウ(高麗天南星)の実。

オクトリカブト(奥鳥兜)の花。全草に有毒なアコニチン系アルカロイドを含む。トリカブトによる中毒は、重篤になりやすいという。

カエンタケ(火炎茸・火焔茸)への注意を喚起する看板が2か所に掲げられていた。このキノコは毒性が強く、誤って食べると発熱や悪寒、おう吐それに下痢や腹痛などの症状が出て、場合によっては死に至る可能性もあり、触れただけでも皮膚に炎症等を起こす。全国的にこのキノコの確認事例が増加しており、街中の公園などで発見されたとの報告もあるという。

登山口下駐車場から55分で二股コースの分岐点に到着して休憩した。休んでいた年配グループ5名のカメラシャッターを押したりして交歓。このあと、斜面を上がる蟶山コ-スに入る。

蟶山コースに入って暫くは、ブナ林内の緩い登りが続く。木の階段が壊れている所は慎重に…。

小さな沢地形を渡る所にはブナ林内らしく水が流れたり湧き出したりして、水飲み場になっている。最後の水場を過ぎてしばらく行くと、蟶山分岐に向かう急登が待ち構えている。

ブナの倒木に生じたキノコ。食べられるのかな。

蟶山分岐への登りはかなり急なので、落石に注意しながらゆっくりと足を上げる。

胸突き八丁を登りきると、このコースのほぼ中間にあたる蟶山分岐に到着。ここから蟶山(まてやま、841.5m、三等三角点、点名も同じ)を往復することができるが、行き帰りとも立ち寄らなかった。ここから頂上まで、ほぼ1kmごとにこの標識が立っていて、程よい休憩ポイントになっていた。
ちなみに、「蟶」という漢字は、海にいる細長い筒状の殻を持つマテ貝に充てられる。しかし、この山に「蟶」と付けられた理由は分からないと聞く。山の形がマテ貝に似ているからか。

蟶山分岐からは、緩い尾根道が続く。陽の光を受けて、黄葉の中を進む。

前後で見られた植生は、[左上]ユキザサ(雪笹、別名:アズキナ)の赤く透き通った実、[右上]岩木山でも見かけたヒメモチ(姫黐)の実、[左下]ナナカマド(七竈)の実、[右下]オヤマリンドウ(御山竜胆)の花。

二回目の胸突き八丁も登り切り、主稜線の大峰分岐が近づいてきた。

大峰分岐の手前で日本海方面を振り返る。左に蟶山、右は深浦町の海岸で、手前の小さな岬は森山海岸(「象岩」がある)、奥の日本海に突き出た半島(艫作埼:へなしざき)には艫作埼灯台や海辺の露天風呂で有名な黄金崎不老ふ死温泉がある。

主稜線の大峰分岐に到着。右の白神岳頂上まで、小さなアップダウンを繰り返して、あと700m。


頂上手前にあるトイレの三角屋根が見えた。あと少しだと、俄然元気になる。

進行方向左側(東方向)の山々は、ほとんどが世界自然遺産地域内にあり、広大なブナ林が広がっている。

頂上トイレ少し手前の登山道脇に、白神大権現の祠と講中石が鎮座していた。

11時30分、白神岳の頂上に立った。すぐ近くに、三角屋根の白神岳避難小屋(右)とトイレ(左)が建っている。

北東に見える、前日登頂の岩木山(1624.6m)をズームアップ。2日連続登頂の余韻に浸る。

南には、秋田県の男鹿半島も見えていた。

頂上で、遠くに岩木山を入れて、全体集合写真をとる。天気良し、眺め良し、メンバー良し。

12時5分、下山を開始。大峰分岐から蟶山に向かって下っていく。

下山途中で見かけた古い道標。書いてある文字は読めないが、年代を感じる。

ブナの大樹を過ぎると、ゴールは近い。どこからか、クマゲラのドラミングが聞こえていた。

通行が止められた林道からショートカットの短い山道と階段を下がり、15時35分に白神岳登山口下駐車場へ降り立った。

山の装備を解いて車に分乗し、十二湖散策組が待つ黄金崎不老ふ死温泉へ向かった。
【十二湖散策組の様子】
深浦町のペンションでゆっくりと朝食を頂いた。しっかりした正統派の和食。

ペンションの方に黄金崎不老ふ死温泉まで送っていただき、ここを始発とする奥十二湖行きの路線バスに乗車。9時35分、奥十二湖に着いた。
「レストランでお昼も素敵だけれど、見たいところを廻ろう」「時間があったらお茶しよう」とまとまり、あちこちの池を巡った。写真は湧壺の池(わきつぼのいけ)。
この池は日本名水百選で透明度の高い水質を誇り、青池と並んで非常に美しい(青池より青いかも…)。湧き水が流れ込んでいるため、一年を通して凍ることはない。

日本キャニオンを眺めながら、ランチタイムとする。展望ポイントから、浸食によって露出した凝灰岩の白い岩肌が特徴の断崖と、左に崩山(940.2m、三等三角点、点名も同じ)、右の樹木の陰は白神岳方面。

散策道で見かけた土留めは、カーテンのような、地層のような、アートっぽい仕様であった。

池の廻りを歩けると思ったところは、崩れて通行できず残念。戻ろうとしたら、ヒョコっとバス通りの道に出た。日本キャニオン入り口のカフェ&蕎麦屋で、八景の池を眺めながらゆっくりコーヒータイム。辿ったコースは、写真のマップのとおり。

15時発の路線バスで不老ふ死温泉へ戻り、白神岳登山組の迎えを待った。
【合流して宿へ】
12名が揃って、鰺ヶ沢町の山奥にある宿に向かって移動した。深浦町のコンビニで今夜の祝杯用缶ビールを買い、日本海に落ちる夕陽を眺めながら国道101号線を走る。
赤石川に沿う県道190号線、191号線を通って海岸から14kmほど山奥に入り、すっかり暗くなったころに無事投宿することができた。温泉に浸かってさっぱりしたあとの夕食は、山の幸づくし。

宿の玄関ホール兼食堂に、2020年4月に79歳で亡くなった小説家、随筆家、環境保護活動家のC.W.(クライヴ・ウィリアム)ニコルさんが、1996年7月に宿泊された時の寄せ書きが飾ってあった。

翌日は函館に帰る前、青森県民の森にある梵珠山(468.3m)に立ち寄る。梵珠山は、五所川原農林高等学校スキー部の部歌「シーハイルの歌」で、「梵珠嶺(ぼんじゅね)」と歌われる。宿で食後、楽譜付き歌詞のコピーを配って、全員で歌った。初めて聞いた、歌ったというメンバーもいて、びっくり。(続く)。
白神山地は、1993年(平成5年)12月に世界遺産(自然遺産)に登録された。白神岳の北に位置する大峰岳(1020m)から白神岳を経て南の青森・秋田県境861峰を結ぶ主稜線が、世界自然遺産A地域・B地域の西縁になっている。
十二湖は白神山地の西側に位置して、津軽国定公園と自然休養林に指定されており、整備された歩道を辿って様々な散策コースが楽しめる。
【白神岳登山組の様子】
深浦町のペンションを5時30分に出発し、国道101号線と日野林道を走行して白神岳登山口下駐車場(C185)に6時10分到着。土曜日で天気が良いため、すでに30台近くが駐車していた。車内で朝食の大きなお握り弁当をいただいてから、出発の準備を整える。
写真の高台にある建物は、休憩所とトイレ。

駐車場を6時40分に出発。駐車場入り口のすぐ先に車止めがある林道へショートカットで上がり、6~7分歩いて小さな三角小屋内で入山記帳を済ませると、この先から山道になる。

登山口から30分ほど歩いたところのブナ林の様子。

前後で見られた植生は、[左上]ツリバナ(吊花)の弾けた実、[右上]試験管ブラシのようなサラシナショウマ(晒菜升麻)の花穂、[左下]モミジガサ(紅葉笠・紅葉傘)の控えめな花、[右下]コウライテンナンショウ(高麗天南星)の実。

オクトリカブト(奥鳥兜)の花。全草に有毒なアコニチン系アルカロイドを含む。トリカブトによる中毒は、重篤になりやすいという。

カエンタケ(火炎茸・火焔茸)への注意を喚起する看板が2か所に掲げられていた。このキノコは毒性が強く、誤って食べると発熱や悪寒、おう吐それに下痢や腹痛などの症状が出て、場合によっては死に至る可能性もあり、触れただけでも皮膚に炎症等を起こす。全国的にこのキノコの確認事例が増加しており、街中の公園などで発見されたとの報告もあるという。

登山口下駐車場から55分で二股コースの分岐点に到着して休憩した。休んでいた年配グループ5名のカメラシャッターを押したりして交歓。このあと、斜面を上がる蟶山コ-スに入る。

蟶山コースに入って暫くは、ブナ林内の緩い登りが続く。木の階段が壊れている所は慎重に…。

小さな沢地形を渡る所にはブナ林内らしく水が流れたり湧き出したりして、水飲み場になっている。最後の水場を過ぎてしばらく行くと、蟶山分岐に向かう急登が待ち構えている。

ブナの倒木に生じたキノコ。食べられるのかな。

蟶山分岐への登りはかなり急なので、落石に注意しながらゆっくりと足を上げる。

胸突き八丁を登りきると、このコースのほぼ中間にあたる蟶山分岐に到着。ここから蟶山(まてやま、841.5m、三等三角点、点名も同じ)を往復することができるが、行き帰りとも立ち寄らなかった。ここから頂上まで、ほぼ1kmごとにこの標識が立っていて、程よい休憩ポイントになっていた。
ちなみに、「蟶」という漢字は、海にいる細長い筒状の殻を持つマテ貝に充てられる。しかし、この山に「蟶」と付けられた理由は分からないと聞く。山の形がマテ貝に似ているからか。

蟶山分岐からは、緩い尾根道が続く。陽の光を受けて、黄葉の中を進む。

前後で見られた植生は、[左上]ユキザサ(雪笹、別名:アズキナ)の赤く透き通った実、[右上]岩木山でも見かけたヒメモチ(姫黐)の実、[左下]ナナカマド(七竈)の実、[右下]オヤマリンドウ(御山竜胆)の花。

二回目の胸突き八丁も登り切り、主稜線の大峰分岐が近づいてきた。

大峰分岐の手前で日本海方面を振り返る。左に蟶山、右は深浦町の海岸で、手前の小さな岬は森山海岸(「象岩」がある)、奥の日本海に突き出た半島(艫作埼:へなしざき)には艫作埼灯台や海辺の露天風呂で有名な黄金崎不老ふ死温泉がある。

主稜線の大峰分岐に到着。右の白神岳頂上まで、小さなアップダウンを繰り返して、あと700m。


頂上手前にあるトイレの三角屋根が見えた。あと少しだと、俄然元気になる。

進行方向左側(東方向)の山々は、ほとんどが世界自然遺産地域内にあり、広大なブナ林が広がっている。

頂上トイレ少し手前の登山道脇に、白神大権現の祠と講中石が鎮座していた。

11時30分、白神岳の頂上に立った。すぐ近くに、三角屋根の白神岳避難小屋(右)とトイレ(左)が建っている。

北東に見える、前日登頂の岩木山(1624.6m)をズームアップ。2日連続登頂の余韻に浸る。

南には、秋田県の男鹿半島も見えていた。

頂上で、遠くに岩木山を入れて、全体集合写真をとる。天気良し、眺め良し、メンバー良し。

12時5分、下山を開始。大峰分岐から蟶山に向かって下っていく。

下山途中で見かけた古い道標。書いてある文字は読めないが、年代を感じる。

ブナの大樹を過ぎると、ゴールは近い。どこからか、クマゲラのドラミングが聞こえていた。

通行が止められた林道からショートカットの短い山道と階段を下がり、15時35分に白神岳登山口下駐車場へ降り立った。

山の装備を解いて車に分乗し、十二湖散策組が待つ黄金崎不老ふ死温泉へ向かった。
【十二湖散策組の様子】
深浦町のペンションでゆっくりと朝食を頂いた。しっかりした正統派の和食。

ペンションの方に黄金崎不老ふ死温泉まで送っていただき、ここを始発とする奥十二湖行きの路線バスに乗車。9時35分、奥十二湖に着いた。
「レストランでお昼も素敵だけれど、見たいところを廻ろう」「時間があったらお茶しよう」とまとまり、あちこちの池を巡った。写真は湧壺の池(わきつぼのいけ)。
この池は日本名水百選で透明度の高い水質を誇り、青池と並んで非常に美しい(青池より青いかも…)。湧き水が流れ込んでいるため、一年を通して凍ることはない。

日本キャニオンを眺めながら、ランチタイムとする。展望ポイントから、浸食によって露出した凝灰岩の白い岩肌が特徴の断崖と、左に崩山(940.2m、三等三角点、点名も同じ)、右の樹木の陰は白神岳方面。

散策道で見かけた土留めは、カーテンのような、地層のような、アートっぽい仕様であった。

池の廻りを歩けると思ったところは、崩れて通行できず残念。戻ろうとしたら、ヒョコっとバス通りの道に出た。日本キャニオン入り口のカフェ&蕎麦屋で、八景の池を眺めながらゆっくりコーヒータイム。辿ったコースは、写真のマップのとおり。

15時発の路線バスで不老ふ死温泉へ戻り、白神岳登山組の迎えを待った。
【合流して宿へ】
12名が揃って、鰺ヶ沢町の山奥にある宿に向かって移動した。深浦町のコンビニで今夜の祝杯用缶ビールを買い、日本海に落ちる夕陽を眺めながら国道101号線を走る。
赤石川に沿う県道190号線、191号線を通って海岸から14kmほど山奥に入り、すっかり暗くなったころに無事投宿することができた。温泉に浸かってさっぱりしたあとの夕食は、山の幸づくし。

宿の玄関ホール兼食堂に、2020年4月に79歳で亡くなった小説家、随筆家、環境保護活動家のC.W.(クライヴ・ウィリアム)ニコルさんが、1996年7月に宿泊された時の寄せ書きが飾ってあった。

翌日は函館に帰る前、青森県民の森にある梵珠山(468.3m)に立ち寄る。梵珠山は、五所川原農林高等学校スキー部の部歌「シーハイルの歌」で、「梵珠嶺(ぼんじゅね)」と歌われる。宿で食後、楽譜付き歌詞のコピーを配って、全員で歌った。初めて聞いた、歌ったというメンバーもいて、びっくり。(続く)。