2024年09月04日
9月1日(日) 狩場山(千走新道コース~茂津多コース)
道南の最高峰である狩場山(1520.2m)は千走(ちはせ)新道を利用して往復するのが一般的だが、今回は下りに茂津多(もつた)コースを利用した。参加は5名。
前日は函館を車2台で出発し、せたな町を経由して、1台を茂津多コース下山口にデポ。車1台で島牧村に向かい、女性陣は民宿に、男性陣はキャンピングカーで道の駅に泊まった。
当日は5名がキャンピングカーで賀老高原キャンプ場に向かい、朝陽を受けた南狩場山方面を眺めながら、車内で民宿作成のお握り弁当を頂いた(豪華「ウニ」付き)。

千走新道コース入口を6時32分に出発。

登山道にはさっそく、秋の植生が姿を現してきた。[左上]ツバメオモト(燕万年青)の青色と黒色の実、[右上]ナナカマド(七竈)の実、[左下]オオカメノキ(大亀の木)の実、[右下]ウド(独活)の実の姿は線香花火のよう。

五合目付近の這松帯を登る。

登山道で見かけた黒いカタツムリ「ブドウマイマイ」。

六合目手前から南東方向、手前に二つの谷を挟んで聳えるメップ岳(二等三角点、点名:目名岳)とカスベ岳(三等三角点、点名:粕部岳)。両山とも登山道がないので、無積雪期は沢、積雪期は尾根を伝って登られる。

六合目手前に設置された熊除けの鐘。「誰がために鐘は鳴る」。

六合目先の下部花畑に到着。大平山と羊蹄山の饗宴が見られる。

花畑から南狩場山方面を見上げる。上部の稜線に雲がかかってきたが、暫くして消散した。

花畑とその前後で見られた植生は、[左上]サラシナショウマ(晒菜升麻)の花、[右上]ハクサンボウフウ(白山防風)の花、[左下]ハイオトギリ(這弟切)の実とウメバチソウ(梅鉢草)の花、[右下]エゾカンゾウ(蝦夷萱草)の実。

南方の遠くに、遊楽部岳(1277m、一等三角点、点名:見市岳)の大きな山容が美しい。
青空には凸レンズ状の高積雲が浮かんでいる。上空の強風を知らせる形状の雲で、この日の9時には札幌の上空6668mで西南西30.9メートル毎秒の強い風が観測されていた。

真駒内コース(ほぼ廃道)との合流点を過ぎたところから仰ぐ、南狩場山の岩壁と左に狩場山頂上。
![南狩場山と本峰頂上[左奥] 南狩場山と本峰頂上[左奥]](//img01.naturum.ne.jp/usr/s/a/n/sangakuclub2/20240901-L%E7%8B%A9%E5%A0%B4%E5%B1%B1k%E5%8D%97%E7%8B%A9%E5%A0%B4%E5%B1%B1%E3%81%A8%E6%9C%AC%E5%B3%B0%E9%A0%82%E4%B8%8A%5B%E5%B7%A6%E5%A5%A5%5Dk.jpg)
南狩場山の尾根から、困難な沢登りで名を知られる須築(すっき)川源流部と、茂津多コースが通る尾根を望む。右端に前山(1260.5m)が見えている。

たおやかな頂上台地を登る。

頂上台地で見られたのは、[左]イワイチョウ(岩銀杏)の名残り花、[右]ハイオトギリ(這弟切)の花と実。

数日来の大雨で、たっぷりと水を湛えた親沼。

10時20分、狩場山頂上に到着。一等三角点(点名:狩場岳)が設置されている。単独行の男性にシャッターを押してもらい、全員が集合写真に納まる。

頂上から北北東に、フモンナイ岳(1337.6m、三等三角点、点名:普門内)と、遠くに積丹半島。

北東には、羊蹄山とニセコの山々。

南東には、遠く北海道駒ヶ岳の双耳峰。右手前はメップ岳(頂上は三つのピークの左側)。

10時38分、頂上から茂津多コースに向かう。

少し進むと西側の好展望が得られた。左に瀬棚海岸と、遠くに奥尻島。中央から右の山塊にある最も高い山(屋根型の頂部稜線)は1002.5峰(三等三角点、点名:島歌山)。

足元の岩場に下降する手前で、茂津多コースを背景に集合写真を撮る。中央やや左の尾根分岐がこれから向かう前山(1260.5m、三等三角点、点名:乙骨内)、右端の枝の陰はオコツナイ岳(1170.6m、三等三角点、点名:乙内岳)。前山の三角点名に、支尾根繋がりのオコツナイと付いているのは面白い。

岩場を慎重に下降し、ホッと一息ついて頂上を振り返る。

コースの前方に見えるピークは、1289峰。

笹が伸びた登山道の左脇に、羆の寝床らしい丸い痕跡(笹が倒れている)があった。

1289峰を越えると、もう一つコブが見えた(1295峰)。

稜線で見られたハナヒリノキ(嚏の木)の紅葉。

前山が見えた。右はオコツナイ岳。

コースが通る尾根のすぐ右に、面白い姿の岩峰が見えた。向かいの尾根の左はフモンナイ岳。

狩場山頂上からちょうど2時間で、大きな岩が重なる前山の頂上に到着。ここでランチタイムとする。頂上からのコースは背の高い笹が被って、気分良く過ごせる場所がなかった。

狩場山の頂上を仰ぐ。右に見える2つのコブを越えてきた。

前山の三角点は灌木帯の中にあった。ここでも集合写真を一枚。

この前後で、羆の落とし物を頻繁に目にした。この落とし物には消化されていないナナカマドの実が入っている。山道の脇にあるハイマツも、実(マツボックリ)がほとんど食べられていた。

向かう先の尾根は、幅広い台地状になっている。狩場山は旧い楯状火山で、粘性の小さい玄武岩質の溶岩が広範囲に流れて広い裾野を形成した。

前山の前後で見られた植生は、[左上]ゴゼンタチバナ(御前橘)の実、[右上]エゾノホソバトリカブト(蝦夷細葉鳥兜)の花か、[左下]チシマフウロ(千島風露)の花、[右下]イブキトラノオ(伊吹虎の尾)の花。

C1054の山道の脇に、ひっそりとたたずむ茂津多小沼。小沼というには少し広い。

沼の畔で見かけたイトトンボ。

標高点661にある水場の前後から、ブナの樹が現れてきた。

樹林内で見られた木の実は、[左]大きく張り出した翼を持つヒロハツリバナ(広葉吊花)の実、[右]サルナシ(猿梨)の実。

幅広く刈り払われた山道になると、ゴールまでもう少し。

幹に空洞が広がったブナの老木。

16時32分、茂津多コースの出口に到着して下山を終了した。千走新道コース入口からの行程は、ちょうど10時間であった。

前日にデポしておいた車で、茂津多岬灯台を見学に行った。海面から灯台頂部までの高さ(標高)が290mの日本一高い灯台だとか。灯台の光は43.5km先の沖合まで届くという。灯台の前で、最後の集合写真を撮る。

茂津多岬から車1台に相乗りして、千走新道コース入口に停めた車を回収に向かった(片道約38km)。回収後は車2台に分乗し、島牧村から黒松内町経由で帰宅した。途中、長万部町のガソリンスタンドに閉店13分前に滑り込んで給油し、八雲町の日帰り温泉には閉店30分前に駆け込んで汗を流した。
距離10.3kmに及ぶ長い長い茂津多コースの下りは、地形や植生の変化があってなかなか面白く、好天に恵まれて気持ち良く辿ることができた。ただし、頂上直下の岩場の急下降や、前山までの細い笹付き稜線の通過に神経を使った。全体に背丈の高い笹が被っており、羆の落とし物も多数あって(多いところでは数mおきに)、笛や熊除けホーン(機械音)で存在を知らせながら歩くという、ワイルドなコースでもあった。
前日は函館を車2台で出発し、せたな町を経由して、1台を茂津多コース下山口にデポ。車1台で島牧村に向かい、女性陣は民宿に、男性陣はキャンピングカーで道の駅に泊まった。
当日は5名がキャンピングカーで賀老高原キャンプ場に向かい、朝陽を受けた南狩場山方面を眺めながら、車内で民宿作成のお握り弁当を頂いた(豪華「ウニ」付き)。

千走新道コース入口を6時32分に出発。

登山道にはさっそく、秋の植生が姿を現してきた。[左上]ツバメオモト(燕万年青)の青色と黒色の実、[右上]ナナカマド(七竈)の実、[左下]オオカメノキ(大亀の木)の実、[右下]ウド(独活)の実の姿は線香花火のよう。

五合目付近の這松帯を登る。

登山道で見かけた黒いカタツムリ「ブドウマイマイ」。

六合目手前から南東方向、手前に二つの谷を挟んで聳えるメップ岳(二等三角点、点名:目名岳)とカスベ岳(三等三角点、点名:粕部岳)。両山とも登山道がないので、無積雪期は沢、積雪期は尾根を伝って登られる。

六合目手前に設置された熊除けの鐘。「誰がために鐘は鳴る」。

六合目先の下部花畑に到着。大平山と羊蹄山の饗宴が見られる。

花畑から南狩場山方面を見上げる。上部の稜線に雲がかかってきたが、暫くして消散した。

花畑とその前後で見られた植生は、[左上]サラシナショウマ(晒菜升麻)の花、[右上]ハクサンボウフウ(白山防風)の花、[左下]ハイオトギリ(這弟切)の実とウメバチソウ(梅鉢草)の花、[右下]エゾカンゾウ(蝦夷萱草)の実。

南方の遠くに、遊楽部岳(1277m、一等三角点、点名:見市岳)の大きな山容が美しい。
青空には凸レンズ状の高積雲が浮かんでいる。上空の強風を知らせる形状の雲で、この日の9時には札幌の上空6668mで西南西30.9メートル毎秒の強い風が観測されていた。

真駒内コース(ほぼ廃道)との合流点を過ぎたところから仰ぐ、南狩場山の岩壁と左に狩場山頂上。
![南狩場山と本峰頂上[左奥] 南狩場山と本峰頂上[左奥]](http://img01.naturum.ne.jp/usr/s/a/n/sangakuclub2/20240901-L%E7%8B%A9%E5%A0%B4%E5%B1%B1k%E5%8D%97%E7%8B%A9%E5%A0%B4%E5%B1%B1%E3%81%A8%E6%9C%AC%E5%B3%B0%E9%A0%82%E4%B8%8A%5B%E5%B7%A6%E5%A5%A5%5Dk.jpg)
南狩場山の尾根から、困難な沢登りで名を知られる須築(すっき)川源流部と、茂津多コースが通る尾根を望む。右端に前山(1260.5m)が見えている。

たおやかな頂上台地を登る。

頂上台地で見られたのは、[左]イワイチョウ(岩銀杏)の名残り花、[右]ハイオトギリ(這弟切)の花と実。

数日来の大雨で、たっぷりと水を湛えた親沼。

10時20分、狩場山頂上に到着。一等三角点(点名:狩場岳)が設置されている。単独行の男性にシャッターを押してもらい、全員が集合写真に納まる。

頂上から北北東に、フモンナイ岳(1337.6m、三等三角点、点名:普門内)と、遠くに積丹半島。

北東には、羊蹄山とニセコの山々。

南東には、遠く北海道駒ヶ岳の双耳峰。右手前はメップ岳(頂上は三つのピークの左側)。

10時38分、頂上から茂津多コースに向かう。

少し進むと西側の好展望が得られた。左に瀬棚海岸と、遠くに奥尻島。中央から右の山塊にある最も高い山(屋根型の頂部稜線)は1002.5峰(三等三角点、点名:島歌山)。

足元の岩場に下降する手前で、茂津多コースを背景に集合写真を撮る。中央やや左の尾根分岐がこれから向かう前山(1260.5m、三等三角点、点名:乙骨内)、右端の枝の陰はオコツナイ岳(1170.6m、三等三角点、点名:乙内岳)。前山の三角点名に、支尾根繋がりのオコツナイと付いているのは面白い。

岩場を慎重に下降し、ホッと一息ついて頂上を振り返る。

コースの前方に見えるピークは、1289峰。

笹が伸びた登山道の左脇に、羆の寝床らしい丸い痕跡(笹が倒れている)があった。

1289峰を越えると、もう一つコブが見えた(1295峰)。

稜線で見られたハナヒリノキ(嚏の木)の紅葉。

前山が見えた。右はオコツナイ岳。

コースが通る尾根のすぐ右に、面白い姿の岩峰が見えた。向かいの尾根の左はフモンナイ岳。

狩場山頂上からちょうど2時間で、大きな岩が重なる前山の頂上に到着。ここでランチタイムとする。頂上からのコースは背の高い笹が被って、気分良く過ごせる場所がなかった。

狩場山の頂上を仰ぐ。右に見える2つのコブを越えてきた。

前山の三角点は灌木帯の中にあった。ここでも集合写真を一枚。

この前後で、羆の落とし物を頻繁に目にした。この落とし物には消化されていないナナカマドの実が入っている。山道の脇にあるハイマツも、実(マツボックリ)がほとんど食べられていた。

向かう先の尾根は、幅広い台地状になっている。狩場山は旧い楯状火山で、粘性の小さい玄武岩質の溶岩が広範囲に流れて広い裾野を形成した。

前山の前後で見られた植生は、[左上]ゴゼンタチバナ(御前橘)の実、[右上]エゾノホソバトリカブト(蝦夷細葉鳥兜)の花か、[左下]チシマフウロ(千島風露)の花、[右下]イブキトラノオ(伊吹虎の尾)の花。

C1054の山道の脇に、ひっそりとたたずむ茂津多小沼。小沼というには少し広い。

沼の畔で見かけたイトトンボ。

標高点661にある水場の前後から、ブナの樹が現れてきた。

樹林内で見られた木の実は、[左]大きく張り出した翼を持つヒロハツリバナ(広葉吊花)の実、[右]サルナシ(猿梨)の実。

幅広く刈り払われた山道になると、ゴールまでもう少し。

幹に空洞が広がったブナの老木。

16時32分、茂津多コースの出口に到着して下山を終了した。千走新道コース入口からの行程は、ちょうど10時間であった。

前日にデポしておいた車で、茂津多岬灯台を見学に行った。海面から灯台頂部までの高さ(標高)が290mの日本一高い灯台だとか。灯台の光は43.5km先の沖合まで届くという。灯台の前で、最後の集合写真を撮る。

茂津多岬から車1台に相乗りして、千走新道コース入口に停めた車を回収に向かった(片道約38km)。回収後は車2台に分乗し、島牧村から黒松内町経由で帰宅した。途中、長万部町のガソリンスタンドに閉店13分前に滑り込んで給油し、八雲町の日帰り温泉には閉店30分前に駆け込んで汗を流した。
距離10.3kmに及ぶ長い長い茂津多コースの下りは、地形や植生の変化があってなかなか面白く、好天に恵まれて気持ち良く辿ることができた。ただし、頂上直下の岩場の急下降や、前山までの細い笹付き稜線の通過に神経を使った。全体に背丈の高い笹が被っており、羆の落とし物も多数あって(多いところでは数mおきに)、笛や熊除けホーン(機械音)で存在を知らせながら歩くという、ワイルドなコースでもあった。