2024年07月26日
7月24日(水) 恵山・C300草原(高原コース)
函館市の旧・恵山町側から恵山(617.6m)や海向山(569.4m)に向かう高原コースを標高300mの草原まで上がり、この時期の山野草を観察した。参加は18名。
高原コースの登山道入り口に近い駐車場に集合。先ずは、駐車場と周辺で山野草を観察した。
ネジバナには右巻きと左巻きがあって、現れ方は半々だという。根元(下)から先端(上)に向かって時計回りに巻き上がるものを「右巻き」、反時計回りを「左巻き」という。写真の左側は左巻き、中央は巻かないタイプ、右側は右巻き。

[左上]イタヤカエデ(板屋楓)の実か、[右上]ミツバウツギ(三葉空木)の実、[左下]クサレダマ(草連球)はサクラソウ科で、和名は地中海地方とカナリア諸島に自生する「レダマ(連玉)」というマメ科・小低木の黄色い花に似ていることから、[右下]クズ(葛)はマメ科のつる草。

うっそうと茂る木のアーチを潜って、登山口を9時40分に出発。

ツチアケビ(土木通)は花がほぼ咲き終わり、果実が実り始めていた。

このオオウバユリ(大姥百合)の花はこれから。

サンショウ(山椒)の実。

リョウブ(令法)の花が咲いていた。花はウメに似た小花の集合体。
北海道南部(道南)から本州、四国、九州の丘陵や山の尾根に自生する。若葉が食用となるため飢饉に備えて植栽、貯蔵、採取を「令法(りょうぼう)」によって命じたことから、名付けられたとされる。

大小のキノコを4枚。右上のキノコは、あのチョコレート菓子のよう。

この時期を代表するラン科のエゾスズラン(蝦夷鈴蘭)。別名はアオスズラン(青鈴蘭)。

最初の小さい草原に到着。トウゲブキ(峠蕗)が小さな群落を作っていた。別名はエゾタカラコウ(蝦夷宝香)。

シナノキ(科の木)の花。「シナ」はアイヌ語の「結ぶ・縛る」の意で、アイヌは皮から作った布で衣類や織物を仕上げたという。合板(シナベニヤ)の原料としても使われてきた。

たわわに付いたヤマブドウ(山葡萄)の実。秋には羆が喜びそう。

傾斜が緩くなって、トウゲブキがポツポツと咲く小さい草原を通過する。この辺りは、エゾシカのねぐらになっている。

ズミ(酢実)の実。バラ科リンゴ属の落葉小高木で、実は小さい。

高原コース最高地点(C315、温泉ポンプ中継所付近の小さい峠)の前後で見かけた花々。[左上]キンコウカ科のノギラン(芒蘭)、[右上]シソ科のウツボグサ(靭草)、[左下]シソ科のミソガワソウ(味噌川草)、[右下]サクラソウ科のコナスビ(小茄子)。

樹林を抜けてC300付近の草原の一角に出ると、一面にトウゲブキの群落が広がっている。

しかし、今年はトウゲブキの株数が少ない。試みに、ここ数年の状況を比較してみた。[左上]2020年8月8日(自主山行)、[右上]2022年7月27日(会山行)、[左下]2023年7月26日(会山行)、[右下]2024年7月24日(今年、会山行)。やはり、今年は少ないようだ。まだ蕾の株も多くあったので、持ち直してもらいたい。

元気な株を一枚。

11時15分、C300草原の西端に到着し、ここを山野草探訪の終点とする。生憎と恵山は雲の中であったが、草原とトウゲブキを眺めながらのんびりとランチタイム。

トウゲブキを前景に集合写真を撮って、11時50分に下山を開始。

ノリウツギ(糊空木)の花。

トウゲブキ群落の向こうは、ウラジロナナカマド(裏白七竃)の花か。

高さ1mほどのオニノヤガラ(鬼の矢柄)を見つけた。花は咲き終わっている。葉緑素を持たず、クヌギタケとナラタケの菌糸と共生する腐生植物。和名の由来は、長くまっすぐ伸びた花茎の姿を、鬼が使う弓の矢に見立てたことから。

登山道を外れたところに、コイチヨウラン(小一葉蘭)が咲いていた。花茎の高さは10〜20cm、先端に花弁の長さ5〜6mmの小さな花を数個付ける。名前のとおり、葉を地表近くに一枚だけ付ける。

二度咲きの花を付けたエゾヤマツツジ(蝦夷山躑躅)の木を2本見かけた。

秋に羆が喜ぶサルナシ(猿梨)、別名コクワの実。
![サルナシ[コクワ] サルナシ[コクワ]](//img01.naturum.ne.jp/usr/s/a/n/sangakuclub2/20240724-Z1%E6%81%B5%E5%B1%B1C300%E8%8D%89%E5%8E%9Fk%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%83%8A%E3%82%B7%5B%E3%82%B3%E3%82%AF%E3%83%AF%5Dk.jpg)
13時ちょうど、駐車場に到着して下山を終了。人数確認と挨拶ののち、現地で解散した。多数は近場の公共温泉で汗を流し、一部は買い物へ。その後は全員で、海辺に咲く野草の観察にいそしんだ。
マツムシソウ(松虫草)。

[左上]キキョウ科のツリガネニンジン(釣鐘人参)、[右上]ベンケイソウ科のキリンソウ(麒麟草)、[左下]ナデシコ科のエゾカワラナデシコ(蝦夷河原撫子)、[右下]シソ科のナミキソウ(浪来草)。

おしまいに、ゴマノハグサ科のエゾヒナノウスツボ(蝦夷雛臼壷)。舌を噛みそうな名前。赤く小さな花は咲き終わっていた。

朝夕の雨の隙間を縫って、トウゲブキをメインとする季節の植生を観察した。花が咲き終わって実を付けてきたもの、今が盛りのもの、これから花を開くものなど、多くの植生が目を楽しませてくれた。C300草原のトウゲブキの株数が少ないのが気掛かりなので、できれば来年も訪れて確かめたい。
高原コースの登山道入り口に近い駐車場に集合。先ずは、駐車場と周辺で山野草を観察した。
ネジバナには右巻きと左巻きがあって、現れ方は半々だという。根元(下)から先端(上)に向かって時計回りに巻き上がるものを「右巻き」、反時計回りを「左巻き」という。写真の左側は左巻き、中央は巻かないタイプ、右側は右巻き。

[左上]イタヤカエデ(板屋楓)の実か、[右上]ミツバウツギ(三葉空木)の実、[左下]クサレダマ(草連球)はサクラソウ科で、和名は地中海地方とカナリア諸島に自生する「レダマ(連玉)」というマメ科・小低木の黄色い花に似ていることから、[右下]クズ(葛)はマメ科のつる草。

うっそうと茂る木のアーチを潜って、登山口を9時40分に出発。

ツチアケビ(土木通)は花がほぼ咲き終わり、果実が実り始めていた。

このオオウバユリ(大姥百合)の花はこれから。

サンショウ(山椒)の実。

リョウブ(令法)の花が咲いていた。花はウメに似た小花の集合体。
北海道南部(道南)から本州、四国、九州の丘陵や山の尾根に自生する。若葉が食用となるため飢饉に備えて植栽、貯蔵、採取を「令法(りょうぼう)」によって命じたことから、名付けられたとされる。

大小のキノコを4枚。右上のキノコは、あのチョコレート菓子のよう。

この時期を代表するラン科のエゾスズラン(蝦夷鈴蘭)。別名はアオスズラン(青鈴蘭)。

最初の小さい草原に到着。トウゲブキ(峠蕗)が小さな群落を作っていた。別名はエゾタカラコウ(蝦夷宝香)。

シナノキ(科の木)の花。「シナ」はアイヌ語の「結ぶ・縛る」の意で、アイヌは皮から作った布で衣類や織物を仕上げたという。合板(シナベニヤ)の原料としても使われてきた。

たわわに付いたヤマブドウ(山葡萄)の実。秋には羆が喜びそう。

傾斜が緩くなって、トウゲブキがポツポツと咲く小さい草原を通過する。この辺りは、エゾシカのねぐらになっている。

ズミ(酢実)の実。バラ科リンゴ属の落葉小高木で、実は小さい。

高原コース最高地点(C315、温泉ポンプ中継所付近の小さい峠)の前後で見かけた花々。[左上]キンコウカ科のノギラン(芒蘭)、[右上]シソ科のウツボグサ(靭草)、[左下]シソ科のミソガワソウ(味噌川草)、[右下]サクラソウ科のコナスビ(小茄子)。

樹林を抜けてC300付近の草原の一角に出ると、一面にトウゲブキの群落が広がっている。

しかし、今年はトウゲブキの株数が少ない。試みに、ここ数年の状況を比較してみた。[左上]2020年8月8日(自主山行)、[右上]2022年7月27日(会山行)、[左下]2023年7月26日(会山行)、[右下]2024年7月24日(今年、会山行)。やはり、今年は少ないようだ。まだ蕾の株も多くあったので、持ち直してもらいたい。

元気な株を一枚。

11時15分、C300草原の西端に到着し、ここを山野草探訪の終点とする。生憎と恵山は雲の中であったが、草原とトウゲブキを眺めながらのんびりとランチタイム。

トウゲブキを前景に集合写真を撮って、11時50分に下山を開始。

ノリウツギ(糊空木)の花。

トウゲブキ群落の向こうは、ウラジロナナカマド(裏白七竃)の花か。

高さ1mほどのオニノヤガラ(鬼の矢柄)を見つけた。花は咲き終わっている。葉緑素を持たず、クヌギタケとナラタケの菌糸と共生する腐生植物。和名の由来は、長くまっすぐ伸びた花茎の姿を、鬼が使う弓の矢に見立てたことから。

登山道を外れたところに、コイチヨウラン(小一葉蘭)が咲いていた。花茎の高さは10〜20cm、先端に花弁の長さ5〜6mmの小さな花を数個付ける。名前のとおり、葉を地表近くに一枚だけ付ける。

二度咲きの花を付けたエゾヤマツツジ(蝦夷山躑躅)の木を2本見かけた。

秋に羆が喜ぶサルナシ(猿梨)、別名コクワの実。
![サルナシ[コクワ] サルナシ[コクワ]](http://img01.naturum.ne.jp/usr/s/a/n/sangakuclub2/20240724-Z1%E6%81%B5%E5%B1%B1C300%E8%8D%89%E5%8E%9Fk%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%83%8A%E3%82%B7%5B%E3%82%B3%E3%82%AF%E3%83%AF%5Dk.jpg)
13時ちょうど、駐車場に到着して下山を終了。人数確認と挨拶ののち、現地で解散した。多数は近場の公共温泉で汗を流し、一部は買い物へ。その後は全員で、海辺に咲く野草の観察にいそしんだ。
マツムシソウ(松虫草)。

[左上]キキョウ科のツリガネニンジン(釣鐘人参)、[右上]ベンケイソウ科のキリンソウ(麒麟草)、[左下]ナデシコ科のエゾカワラナデシコ(蝦夷河原撫子)、[右下]シソ科のナミキソウ(浪来草)。

おしまいに、ゴマノハグサ科のエゾヒナノウスツボ(蝦夷雛臼壷)。舌を噛みそうな名前。赤く小さな花は咲き終わっていた。

朝夕の雨の隙間を縫って、トウゲブキをメインとする季節の植生を観察した。花が咲き終わって実を付けてきたもの、今が盛りのもの、これから花を開くものなど、多くの植生が目を楽しませてくれた。C300草原のトウゲブキの株数が少ないのが気掛かりなので、できれば来年も訪れて確かめたい。