2025年04月29日
4月27日(日) 元山~笹山周回
江差町の元山(522.0m、三等三角点、点名:同じ)と笹山(611m、厚沢部町との境界)を、この時期として3年ぶりに訪れた。参加はフリーを含めて22名。
豊部内川支流のサダサ川に沿って元山登山道入り口へ向かう林道が、路面陥没のため通行止めになっている(2023年夏頃からか)。
このため、金堀ノ沢に沿う林道との分岐にある笹山稲荷神社鳥居前(C60m)に車を停め、8時50分に登山道入り口(C235m)まで約2.6kmの道のりを歩き始める。

サダサ川に架かる橋を何度か渡り返しながら、少しずつ高度を上げていく。林道の脇には春の花々。花の房を付けたキブシ(木五倍子)の木が多く見られた。

歩き始めて20分足らずの箇所で、路面の真ん中に丸い陥没穴が開いていた。道路下を潜る暗渠の太い管が見えている。

林道の脇で見られた植生は、[左上]キクザキイチゲ(菊咲一華)の群落。花弁はなく、見えているのはガク片。[右上]淡い青色のキクザキイチゲ、[左下]スミレサイシン(菫細辛)か、[右下]ナニワズ(浪花津)の黄色いのもガク片で、暖かくなると筒形の先が4つに裂けて、間に花を付ける。

鳥居前から約1時間で元山と笹山の登山道入り口(分岐)に到着。小休止のあと、元山に向かって登り始める。

途中の林道と山道で見られた植生は、[左上]オオサクラソウ(大桜草)、[右上]ネコノメソウ(猫の目草)は多湿な場所に生え、果実が裂けるとネコの目のように見える、[左下]エンレイソウ(延齢草)、[右下]はて、なんだろう。花?も茎もピンク色で葉が見えない、高さ5~6cmの植物(キノコ類かも?)。

45分ほど登って笹山との縦走路に合流し、ピストンで元山に向かう。合流点から427mコルに少し下がってから、標高差約95mを上がる。コル付近は落葉樹の林だが…。

林を抜けると、風衝草原(強風が吹く山頂などで風によって雪が吹き飛ばされ、植物の生育が制限された草原)になっている。11時8分、ドーム状の元山頂上に到着。

元山の頂上は標高こそ522mと低いが、笹原になっているため展望が素晴らしい。まず、北方向を眺める。
北北西~北西には、雪をまとった雄大な遊楽部山塊。主峰の遊楽部岳(最高点1277m、北東に570mほど離れたところに一等三角点(1275.6m)、点名:見市岳)、冷水岳、白水岳、白泉岳(三等三角点、点名:臼別岳)などの「道南アルプス」と呼ばれる峰々と、左の遠くには道南に五つある毛無山のうちの最高峰であるせたな町(旧・大成町)の毛無山。他は、熊石(720.6m)、濁川(684.5m)、北斗(750.4m)、蛾眉野(630.6m)の毛無山。

北北東には乙部岳本峰の周りにある峰々。乙部岳本峰の頂上は、1010m峰の後ろに重なって見えていない。1010m峰は、乙部岳沢コースから主稜線に出て頂上に向かう際、尾根コース合流点の手前で頂部を踏むピーク。
紋内岳(三等三角点、点名:同じ)は積雪期、八雲町の野田追川に沿う道道573号線(桜田野田生停車場線)の桜田ゲート(小鉾岳に向かう林道の分岐)から、長い尾根を辿らないと登頂できない、奥深い峰である。

南方向に目を転じる。左手には上ノ国・知内・福島三町境にあるジャンクションピークで形が良い七ッ岳(二等三角点、点名:七ツ岳[大きい「ツ」])と、右の奥に北海道最南端の千メートル峰である上ノ国・松前町境の大千軒岳(一等三角点[北海道で二番目に選点]、点名:千軒岳)。手前の大赤岳(三等三角点、点名:同じ)は上ノ国町内にあり、回りに急峻な壁を纏う。

その少し右(西方)には、上ノ国町内の大岳(三等三角点、点名:同じ)と、上ノ国・松前町境にある木無山。

上ノ国町の海岸線を眺める。見通しが良ければ洲根子岬の少し右、約80km沖合に日本最大の無人島と言われる渡島大島(火山)が見えるのだが…。

回りの展望をグルッと楽しんで、恒例の全体集合写真を撮る。
このあと、紙ベースの地形図とオリエンテーリング用コンパス(透明なプレートとコンパスが一体になったタイプ)を使って、目的の山を同定する方法を実践してみた。短時間で十分には行えなかったが、五月例会(学習会)で詳しく解説する予定。

11時28分、頂上を後にして、笹山へ向かう。この画像は、写真2枚を繋いだ。左から並ぶ530m峰と567m峰を越えて、右の笹山に至る。笹山の左奥に八幡岳の姿が少し覗いている。

元山から落葉樹林に入る前、北東方向を眺める。左は厚沢部町内にあって、なだらかな頂部を持つ827.2m峰(三等三角点、点名:下俄郎)。中央奥に北海道駒ヶ岳、手前に北斗市・森町境にある通称・中二股山(三等三角点、点名:中二股川)、右は同じく北斗市・森町境の二股岳(二等三角点、点名:二股山)

縦走路で見かけた山野草は、[左上]カタクリ(片栗)、[右上]オオウバユリ(大姥百合)の葉は光沢がある、[左下]ナニワズ(浪花津)、[右下]ガク片が13枚あるキクザキイチゲ(菊咲一華)。

530m峰の登りはけっこう傾斜がきつい。

530m峰のピークを過ぎ、567m峰とのコル近くに下がって傾斜が緩くなった箇所で、ランチタイム(25分間)とする。
コルから567m峰に向かうと、左の谷越えに八幡岳(664.6m、一等三角点[北海道で三番目に選点]、点名:同じ)が望めた。今回はそこまで足を延ばさない。

567m峰を越えると、目の前に笹山が近づいてきた。

笹山の登りで見かけた山野草。[左上]オオバキスミレ(大葉黄菫)、[右上]ツルシキミ(蔓樒)、[左下]ギョウジャニンニク(行者大蒜)、[右下]エゾエンゴサク(蝦夷延胡索)。

笹山の登りから、越えてきた二つの峰(右:567m峰、左:530m峰)を振り返る。すっかり曇り空になったが、左の遠くに遊楽部山塊、567m峰の左後ろに雄鉾岳も眺められた。
雄鉾岳は最近、三角点が設置されている標高999.5mの本峰よりも西峰の方が高く、千メートルを超えていることが国土地理院の最新のデータから分かったという。

最初に登頂した元山と、沖合遠くに奥尻島もうっすらと見えた。

13時37分、笹山稲荷神社の奥宮に到着。正面の参詣階段で、季節遅れの雛段形式で集合写真に納まる。

社殿に向かって右に回り込むと、岩場の基部に稲荷さんの祠が祀られている。

少し休憩して、13時50分に稲荷神社を後に、谷に向かって山道(参詣道)を下る。15分ほどで、小さい沢の水場に建つ祠の前を通過。

サダサ川上流の沢に沿う山道になると、雪解け流水の傍にエゾノリュウキンカ(蝦夷立金花)が鮮やかな黄色の花を開いていた。四枚組でどうぞ。

C403m付近で笹山から尾根経由で下がってきた作業道(参詣道)と合流。そのまま西に向かって作業道を下がっていく。
![旧い林道[参道]を下る 旧い林道[参道]を下る](//img01.naturum.ne.jp/usr/s/a/n/sangakuclub2/20250427-Z3%E5%85%83%E5%B1%B1%EF%BD%9E%E7%AC%B9%E5%B1%B1%E5%91%A8%E5%9B%9Ek%E6%97%A7%E3%81%84%E6%9E%97%E9%81%93%5B%E5%8F%82%E9%81%93%5D%E3%82%92%E4%B8%8B%E3%82%8Bk.jpg)
途中で元山と笹山の登山道入り口(分岐)には下がらず、作業道を直進して今回の出発点である笹山稲荷神社鳥居(C60m)に向かう。

作業道の脇で見られた植生は、[左]ウハウチワカエデ(羽団扇楓)、別名メイゲツカエデ(名月楓)の花。[右]ナガハシスミレ(長嘴菫)は花の後ろにある「距」がくちばし状に非常に細長く目立つことが特長で、別名のテングスミレ(天狗菫)の由来になっている。

作業道から、金堀ノ沢に沿う林道に降り立ち、神社鳥居に向かう。右の杉林向こうに白い車が見えてきた。

15時33分、神社鳥居前に到着して下山を終えた。

おしまいに、ツツジ科イワナシ属の常緑小低木・イワナシ(岩梨)の花をどうぞ。北海道西南部と本州日本海側に分布するという。

鳥居前で慰労の挨拶と今後予定の留意事項を伝えて解散し、車ごとに買い物や日帰り温泉に立ち寄ったり直帰したりと、帰宅の途についた。
サダサ川に沿う林道が道路陥没で通行止めだったため、尾根下山の作業道と合わせて5kmあまり2時間弱を余計に辿ることになった。このため、八幡岳ピストンは省略した。
少し心配していた雨には降られず、昼前は一時的に青空が覗いて、まずまずの展望も得られた。約2万歩の歩数が、心地よい疲れとして残った。
豊部内川支流のサダサ川に沿って元山登山道入り口へ向かう林道が、路面陥没のため通行止めになっている(2023年夏頃からか)。
このため、金堀ノ沢に沿う林道との分岐にある笹山稲荷神社鳥居前(C60m)に車を停め、8時50分に登山道入り口(C235m)まで約2.6kmの道のりを歩き始める。

サダサ川に架かる橋を何度か渡り返しながら、少しずつ高度を上げていく。林道の脇には春の花々。花の房を付けたキブシ(木五倍子)の木が多く見られた。

歩き始めて20分足らずの箇所で、路面の真ん中に丸い陥没穴が開いていた。道路下を潜る暗渠の太い管が見えている。

林道の脇で見られた植生は、[左上]キクザキイチゲ(菊咲一華)の群落。花弁はなく、見えているのはガク片。[右上]淡い青色のキクザキイチゲ、[左下]スミレサイシン(菫細辛)か、[右下]ナニワズ(浪花津)の黄色いのもガク片で、暖かくなると筒形の先が4つに裂けて、間に花を付ける。

鳥居前から約1時間で元山と笹山の登山道入り口(分岐)に到着。小休止のあと、元山に向かって登り始める。

途中の林道と山道で見られた植生は、[左上]オオサクラソウ(大桜草)、[右上]ネコノメソウ(猫の目草)は多湿な場所に生え、果実が裂けるとネコの目のように見える、[左下]エンレイソウ(延齢草)、[右下]はて、なんだろう。花?も茎もピンク色で葉が見えない、高さ5~6cmの植物(キノコ類かも?)。

45分ほど登って笹山との縦走路に合流し、ピストンで元山に向かう。合流点から427mコルに少し下がってから、標高差約95mを上がる。コル付近は落葉樹の林だが…。

林を抜けると、風衝草原(強風が吹く山頂などで風によって雪が吹き飛ばされ、植物の生育が制限された草原)になっている。11時8分、ドーム状の元山頂上に到着。

元山の頂上は標高こそ522mと低いが、笹原になっているため展望が素晴らしい。まず、北方向を眺める。
北北西~北西には、雪をまとった雄大な遊楽部山塊。主峰の遊楽部岳(最高点1277m、北東に570mほど離れたところに一等三角点(1275.6m)、点名:見市岳)、冷水岳、白水岳、白泉岳(三等三角点、点名:臼別岳)などの「道南アルプス」と呼ばれる峰々と、左の遠くには道南に五つある毛無山のうちの最高峰であるせたな町(旧・大成町)の毛無山。他は、熊石(720.6m)、濁川(684.5m)、北斗(750.4m)、蛾眉野(630.6m)の毛無山。

北北東には乙部岳本峰の周りにある峰々。乙部岳本峰の頂上は、1010m峰の後ろに重なって見えていない。1010m峰は、乙部岳沢コースから主稜線に出て頂上に向かう際、尾根コース合流点の手前で頂部を踏むピーク。
紋内岳(三等三角点、点名:同じ)は積雪期、八雲町の野田追川に沿う道道573号線(桜田野田生停車場線)の桜田ゲート(小鉾岳に向かう林道の分岐)から、長い尾根を辿らないと登頂できない、奥深い峰である。

南方向に目を転じる。左手には上ノ国・知内・福島三町境にあるジャンクションピークで形が良い七ッ岳(二等三角点、点名:七ツ岳[大きい「ツ」])と、右の奥に北海道最南端の千メートル峰である上ノ国・松前町境の大千軒岳(一等三角点[北海道で二番目に選点]、点名:千軒岳)。手前の大赤岳(三等三角点、点名:同じ)は上ノ国町内にあり、回りに急峻な壁を纏う。

その少し右(西方)には、上ノ国町内の大岳(三等三角点、点名:同じ)と、上ノ国・松前町境にある木無山。

上ノ国町の海岸線を眺める。見通しが良ければ洲根子岬の少し右、約80km沖合に日本最大の無人島と言われる渡島大島(火山)が見えるのだが…。

回りの展望をグルッと楽しんで、恒例の全体集合写真を撮る。
このあと、紙ベースの地形図とオリエンテーリング用コンパス(透明なプレートとコンパスが一体になったタイプ)を使って、目的の山を同定する方法を実践してみた。短時間で十分には行えなかったが、五月例会(学習会)で詳しく解説する予定。

11時28分、頂上を後にして、笹山へ向かう。この画像は、写真2枚を繋いだ。左から並ぶ530m峰と567m峰を越えて、右の笹山に至る。笹山の左奥に八幡岳の姿が少し覗いている。

元山から落葉樹林に入る前、北東方向を眺める。左は厚沢部町内にあって、なだらかな頂部を持つ827.2m峰(三等三角点、点名:下俄郎)。中央奥に北海道駒ヶ岳、手前に北斗市・森町境にある通称・中二股山(三等三角点、点名:中二股川)、右は同じく北斗市・森町境の二股岳(二等三角点、点名:二股山)

縦走路で見かけた山野草は、[左上]カタクリ(片栗)、[右上]オオウバユリ(大姥百合)の葉は光沢がある、[左下]ナニワズ(浪花津)、[右下]ガク片が13枚あるキクザキイチゲ(菊咲一華)。

530m峰の登りはけっこう傾斜がきつい。

530m峰のピークを過ぎ、567m峰とのコル近くに下がって傾斜が緩くなった箇所で、ランチタイム(25分間)とする。
コルから567m峰に向かうと、左の谷越えに八幡岳(664.6m、一等三角点[北海道で三番目に選点]、点名:同じ)が望めた。今回はそこまで足を延ばさない。

567m峰を越えると、目の前に笹山が近づいてきた。

笹山の登りで見かけた山野草。[左上]オオバキスミレ(大葉黄菫)、[右上]ツルシキミ(蔓樒)、[左下]ギョウジャニンニク(行者大蒜)、[右下]エゾエンゴサク(蝦夷延胡索)。

笹山の登りから、越えてきた二つの峰(右:567m峰、左:530m峰)を振り返る。すっかり曇り空になったが、左の遠くに遊楽部山塊、567m峰の左後ろに雄鉾岳も眺められた。
雄鉾岳は最近、三角点が設置されている標高999.5mの本峰よりも西峰の方が高く、千メートルを超えていることが国土地理院の最新のデータから分かったという。

最初に登頂した元山と、沖合遠くに奥尻島もうっすらと見えた。

13時37分、笹山稲荷神社の奥宮に到着。正面の参詣階段で、季節遅れの雛段形式で集合写真に納まる。

社殿に向かって右に回り込むと、岩場の基部に稲荷さんの祠が祀られている。

少し休憩して、13時50分に稲荷神社を後に、谷に向かって山道(参詣道)を下る。15分ほどで、小さい沢の水場に建つ祠の前を通過。

サダサ川上流の沢に沿う山道になると、雪解け流水の傍にエゾノリュウキンカ(蝦夷立金花)が鮮やかな黄色の花を開いていた。四枚組でどうぞ。

C403m付近で笹山から尾根経由で下がってきた作業道(参詣道)と合流。そのまま西に向かって作業道を下がっていく。
![旧い林道[参道]を下る 旧い林道[参道]を下る](http://img01.naturum.ne.jp/usr/s/a/n/sangakuclub2/20250427-Z3%E5%85%83%E5%B1%B1%EF%BD%9E%E7%AC%B9%E5%B1%B1%E5%91%A8%E5%9B%9Ek%E6%97%A7%E3%81%84%E6%9E%97%E9%81%93%5B%E5%8F%82%E9%81%93%5D%E3%82%92%E4%B8%8B%E3%82%8Bk.jpg)
途中で元山と笹山の登山道入り口(分岐)には下がらず、作業道を直進して今回の出発点である笹山稲荷神社鳥居(C60m)に向かう。

作業道の脇で見られた植生は、[左]ウハウチワカエデ(羽団扇楓)、別名メイゲツカエデ(名月楓)の花。[右]ナガハシスミレ(長嘴菫)は花の後ろにある「距」がくちばし状に非常に細長く目立つことが特長で、別名のテングスミレ(天狗菫)の由来になっている。

作業道から、金堀ノ沢に沿う林道に降り立ち、神社鳥居に向かう。右の杉林向こうに白い車が見えてきた。

15時33分、神社鳥居前に到着して下山を終えた。

おしまいに、ツツジ科イワナシ属の常緑小低木・イワナシ(岩梨)の花をどうぞ。北海道西南部と本州日本海側に分布するという。

鳥居前で慰労の挨拶と今後予定の留意事項を伝えて解散し、車ごとに買い物や日帰り温泉に立ち寄ったり直帰したりと、帰宅の途についた。
サダサ川に沿う林道が道路陥没で通行止めだったため、尾根下山の作業道と合わせて5kmあまり2時間弱を余計に辿ることになった。このため、八幡岳ピストンは省略した。
少し心配していた雨には降られず、昼前は一時的に青空が覗いて、まずまずの展望も得られた。約2万歩の歩数が、心地よい疲れとして残った。