10月30日(日) 小鉾岳

山楽人2

2022年10月31日 23:50

 渡島半島がくびれた所に位置する八雲町・小鉾岳(791.7m)は山頂部に鋭い岩塔群を立ち上げており、内浦湾沿いの国道5号線からも指呼できる。当クラブも良く訪れており、「会創立25周年記念」の第22座目となった。参加は10名。

 八雲町の道道573号線(桜野・野田生線)を走行中、小鉾岳が望めた。左の山腹にも小さな岩塔が見えている。


 道道のゲート前を右に折れ、牧草地の脇に駐車する。ここから野田追川の谷の向こうに、レーダ雨雪量観測所のドームをのせた乙部岳(1016.9m)が見えた。頂上までの距離は約9km。


 同じ牧草地から、これから辿る小鉾岳の尾根を仰ぐ。


 9時34分に出発。トドマツ林を抜けると、ブナなどの広葉樹林帯になる。柔らかい陽射しを浴びて、黄葉が美しい。だが、予想される天気の急変には気を抜けない。


 中二股川の対岸に、小さな滝が見えた。


 登山道は急なアップと緩いダウンを繰り返しながら登っていく。傾斜が緩い所で休憩。この少し前、右手(中二股川方向)斜面の高い木にアカゲラを見かけた(写真なし)。


 休憩中、足元にあったツルシキミ(蔓樒)の紅い実。


 細い尾根の登りは、転滑落に注意しながら慎重に。後ろのメンバーが見ているのは…。


 中二股川を挟んで、853峰が見えていた。この山は、横山(928.8m)から南に伸びる尾根の先端に聳えている。雲が広がってきた。


 C500を過ぎると、根曲がり竹(千島笹)がうるさくなってくる。時雨が降り出したので、雨具を着用する。


 回りが見えない笹薮の中で、背の低い木の葉の色彩が目に入る。仁山高原のブログに続き、緑色、黄色、赤色の葉を揃えて、交通信号に見立ててみた。緑色の葉はハイイヌツゲ(這犬柘植)か。


 標高点616を過ぎると、根曲がり竹の高さと密度が一層増してきた。足元を見ながら忍耐強く、ひたすら我慢して足を出す。


 笹薮の向こうに、ようやく頂上部の岩塔群が見えてきた。


 時雨に三度降られたが、幸い本降りにはならなかった。


 前衛の小ピークから最後の登りに掛かる。当クラブでは、初めて登頂するメンバーがトップに立つのが慣例になっている(危険な箇所は除く)。


 12時15分、頂上に到着。濃密な笹薮の影響で、予定時間を30分オーバーした。頂上から東の野田追川上流部を俯瞰する。


 野田追川を挟んで東に対峙する野田追岳(705.8m)。


 三角点と山名標識がある頂上から南西には、さらに10mほど高そうな岩塔群が聳えているが、登山道はない。


 岩塔群の右(西北西方向)に、沖沢山(951.8m)が望めた。この山に登山道はなく、積雪期に長い距離を辿らなければ登ることができない。


 ランチタイムのあと、恒例の全体集合写真を撮る。


 山名標識の裏面に、設置の記録が残されていた。設置年月は「H18.10.吉日」、山の先輩達の名前があり、何人かは知った方々だと思う。


 頂上の北側は、樹木のため見通しが良くないが、陽が射してきた853峰(前に記述したように、横山(928.8m)と尾根続き)が望めた。


 北隣りの砂蘭部岳(984.1m)と横山(928.8m)の頂上は、残念ながら雲で隠れていた。


 12時47分、下山にかかる。南南東の方向に、乙部岳(1016.9m)が見渡せた。観測所ドームがある本峰の右は、尾根続きの1010峰。


 時雨が通り過ぎたあと、野田追川の谷に虹が架かった。しばし、見惚れる。


 半分ほど下がってきたところに、急傾斜の下りが控えている。登山道は濡れた落ち葉や泥土で滑りやすいため、軽アイゼンを装着して安全を図った。急な下りの順番を待っていたところで目に入った、紅葉と黄葉(ブナ)のコラボレーション。


 急な下りが続く箇所を慎重に下っていく。


 トドマツが現れると、ゴールは近い。14時35分、車を停めた牧草地の脇に下り立って、下山を終了した。


 登山口で挨拶を済ませ、その場で解散した。
 今回は変化に富んだ登山であった。標高点616のかなり手前から頂上近くまで根曲がり竹が最大高3mほどに繁茂して、以前より歩きづらかった。予想通り、寒気流入による時雨が通り過ぎて、降ったり照ったり虹が出たりと、天気が目まぐるしく変わった。羆の生息密度が高い山域で、登山道にも落とし物が結構あった。コクワを食べているようだった。標高こそやや低いが、野性的な山を堪能した。

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