8月4日(日) 横津岳~烏帽子岳

山楽人2

2024年08月06日 07:00

 関東から西の地方は猛烈な暑さに見舞われているが、函館では7月21日に最高気温30.2℃の真夏日を観測して以降、オホーツク海高気圧と前線を伴う低気圧の影響で30℃未満の曇りや雨の天候が続いていた。
 そんな中、近場の横津岳(1167m)から烏帽子岳(1078m)までをのんびり歩いて、夏の花観察を楽しんだ。参加は25名(フリー参加の1名を含む)。


 9時7分、横津岳登山道路の上部ゲート前駐車場を出発して、先ずは横津岳の頂上を目指す。


 舗装道路の両脇には、この時期の植生が次々に姿を見せてきた。先ずは、爽やかな薄紫色の花を付けるツリガネニンジン(釣鐘人参)。秋の到来を感じさせる。


 ノビネチドリ(延根千鳥)の果実は、乾燥すると裂けて種子を放出する蒴果(さくか)。


 横津岳までに見られた花々。[左上]ウツボグサ(靫草)、[右上]ハナイカリ(花碇)の右端の花に蟻が一匹、[左下]アキノキリンソウ(秋の麒麟草)、[右下]オオハンゴンソウ(大反魂草)は北米原産のキク科多年草で環境省指定特定外来生物(植物)。


 霧の中から、横津岳の頂上に建つ国土交通省東京航空局運用の航空路監視レーダーが現れてきた。


 横津岳頂上の建物前で、函館市内の高校生物部の先生や生徒、OBの方によるアサギマダラ移動状況調査のためのマーキング作業が行われていて、その様子を見せてもらうことができた。
 この蝶は非常に長い距離を渡ることで知られ、マークをつけて放された蝶がどこかで再捕獲されることによって、移動の距離や所要日数を知ることができるという。


 翅の裏側(蝶が花などに止まっているときに読みやすい)に、マーキングした地名や番号、人名が油性フェルトペンで記されて放たれる。メンバーのザックにぶら下がった、マーキング済みの個体。


 頂上の一角にあるケルンと山名標識を入れて、集合写真を撮る(よく見るとひとり足りなかった)。晴れていれば、背景に北海道駒ヶ岳(1131m)の秀麗な姿が見えるのだが…。


 ケルンの近くにあったコケモモ(苔桃)の実。


 頂上の西側斜面に広がるトウゲブキ(峠蕗)の群落。


 このあと向かう烏帽子岳と逆に、昨年に建設された新しい施設を確かめるため、有志で道路を北西に少し歩く。手前に見えるのがその施設で、奥は東京航空局のRCAG対空受信所。


 これも東京航空局が運用する施設で、航空管制用SSR(二次監視レーダー)らしい。


 烏帽子岳に向かう道路から少し入った横津神社前に広がる雲井沼。横津岳の山頂直下にも関わらず、枯れることなく水を湛えている。


 雲井沼に咲く美しいスイレン(睡蓮)。うっとり眺めていると眠くなってくる。


 函館地方気象台が運用する横津岳気象レーダーに到着。一息入れて、この左から山道に入っていく。


 幅広く刈り払われた山道をゆっくりと歩く。時折り霧が晴れて、前方に目指す烏帽子岳が見えた。

 
 横津岳~烏帽子岳間の最低コル(C1040)には、小さな沼を持つ第2湿原が広がる。


 山道で見かけた花々。[左上]ハイオトギリ(這弟切)、[右上]ネジバナ(捩花)、[左下]チシマフウロ(千島風露)、[右下]ハナニガナ(花苦菜)は食したことはないが名前の通り驚くほど苦いという。


 11時58分、広い烏帽子岳の頂上に到着。一面にトウゲブキの群落が広がっていた。ここでランチタイムとする。


 トウゲブキの花の蜜を求めて、たくさんの昆虫が集まっていた。代表は、やはりアサギマダラ。


 同じくアサギマダラを4枚。


 マルハナバチの仲間とキアゲハ。


 烏帽子岳から第2湿原方面を眺める。


 霧が流れる烏帽子岳の頂上で、山名標識を入れて集合写真に納まる。


 12時30分、烏帽子岳を後にして往路を戻る。第1湿原に来ると霧が晴れて、横津岳頂上周辺にある5つの通信施設群が見えてきた。
 左から陸上自衛隊の横津岳無線中継所、東京航空局のRCAG対空送信所、気象庁の横津岳気象レーダー、東京航空局の航空路監視レーダー、北海道開発局の横津無線中継所。


 第1湿原を回り込む。この湿原は乾燥化が進んでいる。


 往路で見かけた植生。[左上]ミネザクラ(嶺桜、峰桜)かチシマザクラ(千島桜)の実、[右上]タカネトウウチソウ(高嶺唐打草)は特徴的な葉を持つ、[左下]モウセンゴケ(毛氈苔)、[右下]エゾオヤマリンドウ(蝦夷御山竜胆)は8月も下旬になると賑やかになる。


 横津岳登山道路から少し入ったところに立つ石仏(弘法大師像)。錫杖(しゃくじょう)を突き、白色と金色に採色されている。


 14時35分、上部ゲート前駐車場に到着。人数確認と挨拶を済ませ、その場で解散して各車慎重に麓へ下がった。
 横津岳から烏帽子岳まで、トウゲブキなど多くの花を観察することができた。山は雲の中だったが、時には近場の展望も得られた。また、時折り雨粒が落ちてきたが短時間で止み、本降りにならずに済んだ。総じて、まずまずの天気であった。
 横津岳の頂上でアサギマダラ移動状況調査のためのマーキングの様子を見せてもらうことができ、烏帽子岳でも何匹も観察できた。「チョー・ラッキー」ということで…。

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