9月28日(水) 庄司山

山楽人2

2022年09月30日 09:00

 函館市中心部からほど近い庄司山(570.3m)は当クラブ納会登山で定番の山だが、今回は自然部の山野草観察会として、この時期に企画した。参加は20名(フリー参加1名を含む)。

 函館市亀田中野町の開拓地農道終点(C250)に駐車して、蒜沢川左岸の通称「送電線コース」を9時24分に出発。緑のアーチをくぐる。


 最初に目についたのは、鮮やかなコウライテンナンショウ(高麗天南星)の実。


 こちらは地味なフユノハナワラビ(冬の花蕨)。その周りには、葉の形が笹に似ていて、縮んだようなしわがあるイネ科のチジミザサ(縮み笹)。


 針葉樹の人工林と広葉樹の自然林の間に付けられたコースを、山野草を探しながらゆっくりと辿る。


 秋らしい木の実が目に入る。[左上]ミズナラ(水楢)のドングリ、[右上]サルナシ(猿梨)の実(コクワ)、[左下]シバグリ(柴栗)またはヤマグリ(山栗)とも、[右下]ハクウンボク(白雲木)の実は熟すにつれて褐色を帯び、自然に裂ける。


 オオバクロモジ(大葉黒文字)の枝先に付いていた花の蕾のようなものは、越冬芽に形成された虫こぶで、オオバクロモジメウロコフシ(大葉黒文字芽鱗附子)というらしい。


 蒜沢川右岸から辿るコースとの三叉路(C330)を過ぎてやや急な登りに取り付くと、立ち止まって山野草を観察する回数が増える。


 頂上付近に至るまで、たくさん見かけたキク科のオヤマボクチ(雄山火口)の花は、マルハナバチにとって、この時期の貴重な食料源。


 こちらが観察されているかのように思える、「眼力」鋭い木の節。


 まだ見られたサラシナショウマ(晒菜升麻)の花。


 ホソバ(ノ)ツルリンドウ(細葉(の)蔓竜胆)の花。


 こちらはツルリンドウ(蔓竜胆)の実。


 C505稜線に上がるまで、登山道は5か所で折れ曲がる。


 花芽を付け、来春に向けて準備中のナニワズ(難波津)。


 大きな岩が続いて現れる場所で、ダイモンジソウ(大文字草)が見られた。


 可愛らしいチゴユリ(稚児百合)の実。


 シラヤマギク(白山菊)の花は盛りを過ぎたようだ。


 花の時期が長いオオノアザミ(大野薊)。名前の区切りは「オオ・ノアザミ」。


 11時17分、頂上に到着。三吉(みよし)神社の前で恒例の全体写真を撮る。


 神社の鳥居前から函館市街地などの展望を楽しみながら、早めのランチタイムとする。


 頂上からの展望をどうぞ。先ず函館市の中心部と函館山(334m)。


 湯の川温泉街のホテル群と、左の海岸付近に函館空港。


 五稜郭タワーをズームアップで。


 南東方向は、眼下に新中野ダム。中央の遠くに汐首岬(290.6m)と、右奥は下北半島の山。


 東南東に亀田川が流れる谷を挟んで、雁皮山や蝦夷松山を望む。580峰は「雁皮山溶岩」でできたと思われる岩峰で、本年3月下旬に雁皮山北峰・本峰を訪れた際に近くから眺めた(こちら)。


 12時2分、下山にかかる。登りでは目に入らなかったタラノキ(楤木)の実が観察できた。新芽「タラノメ」は春の恵みであるが、夏にクリーム色の花を咲かせた姿や、秋に黒紫色の実をつけた様子をあまり目にしたことがない。花言葉はトゲトゲのタラノキにふさわしく(?)、「強い態度」「他を寄せつけない」だとか。


 三叉路(C330)を過ぎて緩く下っていくと大きなスズメバチの巣があったが、幸い「築1年以上の空き家」だった。


 13時15分、開拓地農道終点に到着して、下山を終了。人数確認と挨拶ののち、現地で解散した。

 車で葡萄畑の間を下っていくと、津軽海峡の上空に積み重なったようなレンズ雲(高積雲)が現れていた。上空では強い風が吹いていたようだ。右端は当別丸山(482.3m)。


 おしまいに、北アメリカ原産のキクイモ(菊芋)の花と庄司山の姿をどうぞ。


 穏やかな秋の一日、馴染みの庄司山でのんびりと山野草観察を楽しんだ。思っていた以上に、多くの種類の山野草や木の実を見ることができた。

 登山道の笹は、きれいに刈り払われていました。Tさん、ありがとうございます。

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