10月24日(木) 恵山外輪周回

山楽人2

2024年10月26日 07:00

 恵山の火口原駐車場を出発し、海向山・周遊コースから恵山・八幡川コースをつなぎ、恵山外輪の一角を成す461峰を訪れて、下った賽の河原から駐車場に戻るという時計回りの行程で、植生観察と紅葉鑑賞、展望を楽しんだ。参加は23名。

 前日にまとまった雨を降らせた低気圧がオホーツク海に進み、天気は回復したが、西風がやや強く肌寒かった。火口原駐車場で、Amさんにリードを頼んでストレッチ体操を行い、身体をほぐした。
 駐車場の北、この後に左から登る461峰を見上げる。


 駐車場の東、サラサドウダン(更紗灯台・更紗満天星)の紅葉越しに、噴煙を上げる恵山火口。


 9時44分、海向山の周遊コースに向けて駐車場を出発。前方の山は、右から海向山(569.4m)、456峰、410峰。このコースは、4日前(10月20日)にも辿っているが、紅葉が一段と進んでいた。


 旧「ホテル・モンテローザ」付近から上がる高原コースの終点であるC300草原と、トウゲブキ(峠蕗)の実(綿毛)。


 駐車場から800m(15分)ほど進んだところで右折し、八幡川に向かって広葉樹林内のほぼ平坦な道を進む。


 20分弱で八幡川上流の沢を渡り、対岸のやや急な斜面を登る。この上で、恵山に向かう八幡川コースの登山道に出合う。


 この斜面に、綺麗な赤い実を付けたアオハダ(青膚・青肌)の木があった(樹木などの植生に詳しいWtさんの解説による)。この木の和名は、外皮が爪で容易に剥がれ、緑色の内皮が見えることから。モチノキ科モチノキ属の落葉高木で、北海道から九州の山地の落葉樹林内に生える。


 八幡川コースの登山道を登る。始めは広葉樹林の中。


 恵山の代表的な植生の一つである、エゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅)の蕾。北海道の固有種で、正式な和名はイソツツジ(磯躑躅)だが、エゾツツジと言うところを誤って伝えられたのではないかと言われている。だから、磯(海岸)ではなく、山の岩礫地や火山灰地に自生しているのも道理。恵山では5月半ばから7月、可愛らしい小さな白い花が多数集まって球状に咲く。
 来年の開花に向けて蕾を準備している。八幡川コースの下部では葉が広く蕾の径も大きいが、上がるにつれて葉の面積と蕾の径が小さくなっているように感じた。掲載画像は[左上]→[右上]→[左下]→[右下]へ、撮影地点の標高順(低いところから高いところ)に並べた。


 八幡川コース登山道の上部は樹林を抜け、草付き斜面に代わってきた。頭上にC430尾根のスカイラインが見える。


 この登りで見かけた植生。[左上]二十四節気の「霜降(そうこう)」を過ぎたのに、何とツルリンドウ(蔓竜胆)の花と蕾があった、[右上]少し色付いたネバリノギラン(粘芒蘭)の葉、[左下]光沢があるイワカガミ(岩鏡)の葉も赤くなってきた、[右下]名前不明のキノコ。


 尾根に上がる手前から、後方(西南西方向)の右に海向山、左に456峰を望む。ともに4日前、頂上を踏んだ。


 同じく、北西方向に通称・古部丸山(右、691.0m、一等三角点、点名:古部岳)と頂部が平坦な572.1峰(中央、三等三角点、点名:平ケ岳)。


 海向山の右の遠くに、三森山(842.1m、三等三角点、点名も三森山)が見えた。


 南東方向には、これから向かう461峰。


 紅葉。


 ここのイワカガミの葉はまだ緑色で、名前のとおり鏡のように光っていた。


 光沢があるツルリンドウの赤い実。今の時期は、これが正しい。


 もうすぐ461峰の肩に上がろうかという地点で、振り向いてポーズ。


 461峰の肩に上がると、前方の展望が開けた。サラサドウダンの紅葉やナナカマド(七竈)の赤い実がある林の向こうに、太平洋が広がっていた。


 461峰の頂上へは、肩の分岐から踏み跡を50mほど進む。アカミノイヌツゲ(赤実の犬柘植)が実を付けていた。黒い実を付けるイヌツゲもあるという。果実は食用にならないが、動物は食べるらしい。


 461峰の頂上は、恵山の絶好の展望台。足元の火口原(賽の河原)も一望できる。


 恵山を入れて、全体集合写真を撮る(一人足りないようだが…はて?)。


 461峰を後にして、八幡川コースを下がる。前方に、戦後に建設された米軍レーダー監視所と関連建物の跡地が見える。


 ハナヒリノキ(嚏の木)の紅葉。ハナヒリとはクシャミの意味で、葉の臭いがクシャミを誘うことから。


 米軍レーダー監視所の跡地。長方形のコンクリート基礎と土台柱が残っている。この傍にある、庁舎または宿舎が建っていたと思われるコンクリート平面(2面)で、35分間のランチタイムとする。
 サンドイッチに挟んだジャムの香りに誘われたか、クロスズメバチが寄ってきた。土の中に営巣し(地蜂と呼ばれる)、スズメバチ科の中ではおとなしく毒も強くないが、刺激を加えると攻撃されることもあるため、手で追い払わずにやり過ごす。


 食後、賽の河原に向かって八幡川コースを下がっていく。椴法華漁港の沖に、回遊魚を捕獲する大謀網(だいぼうあみ)が設置されている。函館市東北部の旧南茅部町では、天保10年(西暦1839年)から北海道で最初にこの漁法を始めたという。尾札部町地区の黒鷲岬には、大謀網漁業の発祥の地であることを示す石碑が建っている。
 ちなみに、1ヶ統の定置網を敷設する費用は3億円、大規模なものになると5~7億円かかると言う。


 この前後で見かけた花。[左上]エゾヒメクワガタ(蝦夷姫鍬形)の花は直径約1cm、[右上]エゾオヤマリンドウ(蝦夷御山竜胆)の花が終わりに近づくと初雪はもうすぐ、[左下]エゾイソツツジの二度咲き、[右下]清楚なノコンギク(野紺菊)。


 正面に恵山が近づき、八幡川コースの下りも間もなく終わる。


 恵山の上部に立つ奇岩峰をズームアップで。


 海向山を眺めながら、賽の河原を火口原駐車場に向かう。


 駐車場の手前で、石仏が迎えてくれた。


 所要時間3時間5分(食事時間を含む)のハイクで、紅葉と植物観察、好展望など、晩秋の半日をゆったりと楽しんだ。マイナーな存在の461峰の頂上を初めて踏んだメンバーもいて、短時間ながら内容の濃い行程であった。

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