恵山の火口原周辺に咲く花を訪ねて、のんびりと逍遥した。参加は15名。
火口原駐車場を10時3分に出発。恵山(617.6m)の火口を眺めながら歩く。
道端には、高山植物で常緑小低木のガンコウラン(岩高蘭)やコケモモ(苔桃)が自生している。コケモモが蕾を付けていた。
火口原をそぞろ歩く。
茎を伸ばしてきたのはオトギリソウ(弟切草)だろうか。
エゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅)が花を開き始めていた。小さな白い花が多数集まって球状に咲く。「ボンボラッコ(ボンボリ)のよう」との表現も…。
エゾイソツツジの説明を聴く。名前に「イソ」と付くが海岸に咲くからではなく、数が多いことを意味する「五十(いそ)」からという説や、エゾが誤ってイソと伝えられたとする説がある。小さな花の数は、多いものだと30数個付けるとのこと。
火口原から恵山の頂上方面を見上げる。恵山は、北海道駒ヶ岳、函館山とともに、「日本百低山」に選定されている。登山家の岩崎元郎氏が選んだ「新日本百名山」にも入る。
火口原を外輪山が取り囲む。中央はそれらの最高峰である海向山(569.4m)。
イワカガミ(岩鏡)の名の由来は、岩場に自生して、艶のある葉が鏡のように見えることから付けられたという。
ミネズオウ(峰蘇芳)も花を開いてきた。名前は、葉の形がイチイ(スオウ)に似ることに由来する。
10メートル毎秒を超す強風が吹く中で、恵山を背景に全体集合写真に納まる。
空を見上げると、太陽の周りに暈がかかっていた。
太陽の下(角度では46度)に「環水平アーク」がうっすらと見えた。上空にある氷晶で太陽光が屈折して生じるもので、太陽高度が58度以上(4月~9月の昼前後)の時に出現する。
岬展望台に向かう。
岬展望台から椴法華海岸と古部丸山(691.0m)を望む。古部丸山は、1896年(明治29年)7月4日に北海道で最初の三角点(一等三角点、点名:古部岳)として選点された。
海岸の近くに設置して、回遊魚を捕獲する大謀網(だいぼうあみ)。函館市東北部の南茅部地区では、1839年(天保10年)から北海道で最初にこの漁法を始めたという。
恵山の頂上方面を見上げる。大きな岩は、いつ崩れてもおかしくない。家族と登山中に男子高校生が行方不明になってから、15日で3年になる。
恵山岬灯台とホテル恵風を俯瞰する。この恵山岬灯台と青森県の尻屋埼灯台を結んだ「東口線」、北海道松前町の白神岬灯台と青森県の龍飛埼灯台を結んだ「西口線」の間が津軽海峡になる。正確に言えば津軽海峡は日本海の一部なので、恵山岬灯台の右手の海が日本海、正面から左手にかけてが太平洋になる。
窪地で風を避けてランチタイムをとる。Wtさんの優雅なランチテーブル。
帰りは「賽の河原」を歩く。
箱館(現・函館)を拠点に北方交易で活躍した豪商・高田屋嘉兵衛が寄進したという、「海上安全」を祈願した石仏。台座の側面に、「施主 高田屋舩中」と彫られている。
薬師堂に立ち寄って、内部を撮らせてもらった。
川原には温い温泉水が流れている。以前にあった足湯が楽しめた堀は、土砂で埋まっていた。
13時12分、駐車場に到着。挨拶ののち、現地で解散した。風がやや強かったが、春の一日、花を訪ねてのんびりと楽しむことができた。