自然部の企画として、七飯町・大沼国際セミナーハウスの周辺でスノーハイクを楽しんだ。平年より高い気温の日が続いているため雪融けが進み、壷足でのんびりと散策できた。参加は19名(フリー参加2名を含む)。
9時40分、駐車場出入口(「杉風館」付近)を出発し、時計回りに歩き始める。陽当たりが良い場所は、地表面が出ている。
積雪期を越しても濃い緑色をしたツルリンドウ(蔓竜胆)の葉。
ハイイヌツゲ(這犬黄楊)の幼木。
コケイラン(小蕙蘭)の葉。
駒ヶ岳が大噴火した際の岩屑(がんせつ)なだれが残した丘、いわゆる「流れ山」を越える。大沼と小沼に浮かぶ島々も、同じ成因。
ツルマサキ(蔓柾)はニシキギ科のツル性植物。
フユノハナワラビ(冬の花蕨)は、夏に枯れる冬緑性。
ナニワズ(難波津)の花蕾は、まだ小さい。
太い松の幹に開けられた、クマゲラかアカゲラの食痕。
サイハイラン(采配蘭)の葉。一つの株に葉が1枚だけ付く。名前の由来は、花序の様子を昔の戦場で兵を指揮する軍師の采配に見立てたもの。
長沼に沿う函館本線を、函館に向かう特急「北斗4号」が通過していった。線路の向こうにあるゴルフ場の林から、クマゲラが木をつつく音(ドラミング)が聞こえていた。
沼の畔に、一つの株から高さ30mを超えるような3本のヤチダモが幹を伸ばしていた。
沼で見かけたオシドリ(鴛鴦)のペア。前にいる雄が派手な姿になるのは秋からで、春になると雌と同じ地味な色彩に変わるという。雄のくちばしは年中ピンク色なので、区別できる。観察しながら「オシドリ夫婦」談義が交わされたが、オシドリは年ごとにペアを替えるそう。
長沼から更に奥へ向かう。この辺りはまだ雪原が残っている。
線路近くの陽当たりが良い土手で見かけた、ベニバナイチヤクソウ(紅花一薬草)の葉。線路向こうのゴルフ場にある池(ウォーターハザード)にミコアイサ(神子秋沙)のつがいがいたが、すぐに飛び立ってしまった。
林の奥はまだ一面の雪原。シジュウカラ(四十雀)雄のさえずり「ツピツピツピ」「ツツピーツツピー」、シマエナガ(島柄長)の「ジュリジュリ」など、鳥の声は聞こえるが姿は見えない。
残雪の上に落ちていた、ツルアジサイ(蔓紫陽花)の実と装飾花のドライフラワー。
散策路の案内図にある「現在地」に到着。残雪を利用して、寄り道をしながらやってきた。ここから北の「大きな岩」に向かう。
灌木の枝に下がったウスタビガ(薄手火蛾、薄足袋蛾)の繭を見つけた。薄緑色なので、積雪があると目立つ。晩秋に羽化した抜け殻で、上の水平なところが出口。
「大きな岩」に上がって、下から恒例の集合写真を撮る。
岩の傍に立つ木の幹に開けられた、クマゲラ食痕の大きな穴。木の根元に、たくさんの木屑が散らばっていた。
湿地からミズバショウ(水芭蕉)の芽が伸び始めていた。
針葉樹林内で見かけたジンヨウイチヤクソウ(腎葉一薬草)の葉。葉の形が腎臓に似る。
11時44分、大沼国際セミナーハウスに到着。挨拶を済ませて、解散した。多数のメンバーは陽だまりの屋外で、ゆったり優雅にランチタイム。
帰路、大沼と小沼が繋がる「セバット」に架かる橋から、氷が融けた水面でくつろぐカモ類が見られた。
ほぼ同じ場所から、駒ヶ岳を仰ぐ。岩肌の面積が広がってきた。
【おまけ①】ドラミングは聞こえたが、姿を見せなかったクマゲラ(雄、Ay提供)。
【おまけ②】こちらも声は聞こえたが出会えなかった、人気のシマエナガ(Wtさん提供)。
スノーシューやわかんを装着しなくて良いほどに積雪が少なくなっていたが、残った雪面をつないでコースが自由にとれた。暖かい日差しを浴びて、ゆったりとした時間を過ごすことができた。目にできた鳥類は少なかったが、雪が融けたあとに現れた山野草などに春の兆しを感じた。